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ティモシー・ベイル (アメリカ)
【1968 ~ 】



1988年、アメリカ・ニューヨーク州ビンガムトンで、建築技師のティモシー・ベイルは、秘書の女性を強姦し、殺害した。

この女性は殺害された時、妊娠していた (胎児がどうなったかは不明) 。

裁判でベイルには懲役49年が言い渡された。

ベイルはニューヨーク州にあるエルマイラ刑務所に収監された。

このエルマイラ刑務所は20mの高さに加え厚さ1mにもなる屈強な塀に囲まれており、「The Hill」と呼ばれていた。

また、常に警備は厳戒態勢をとっており、まさに脱獄不可能な刑務所であった。

ベイルは刑務所に入った時、まだ20歳という事もあり、すぐに脱獄を考える。

そこで、ベイルは長い間、模範囚として過ごし、看守を信頼させた。


2003年4月、ベイルは15年の刑務所生活で脱獄計画を練り上げ完成させる。

ベイルは元々建築技師であり、建物の構図には相当詳しかった。

ベイルは刑務所の屋上にある通気口に目をつける。

ベイルは刑務所の3階の監房の天井に穴を開けて天井裏に行く。

そして、そこから通気口の中に入って屋上に出る。

屋上からロープで反対側に下りれば外に出られるというのが長い間刑務所で過ごして考えたベイルの脱獄計画であった。

そこで、ベイルは天井に穴を開ける為、3階の監房にいる受刑者ティモシー・モーガンと接触する。

そして、モーガンは脱獄に協力する。

ベイルはモーガンと同じ監房に移してもらえるよう看守に頼み、模範囚であった為、ベイルはまんまとモーガンと同じ監房となる事が出来た。

ベイルは天井のコンクリートに穴を開ける為、道具を探す。

すると、看守からベイルにクリスマリツリーの作成を依頼され、ベイルは木工所への出入りが自由となった。

ベイルは工具を持ち出そうとするが、厳重に管理されている為、簡単には持ち出せなかった。

そこでベイルは小さいネジ釘とそれを叩く鉄製のハンドルを持ち出す。

そして、地道に天井に穴を開け始めた。

削った場所は紙で覆いペンキを塗ってごまかし、削った破片はゴミ箱に捨てるかトイレに流して捨てた。

だが、コンクリート内には鉄筋が通っており、切断しない事には穴を開けられなかった。

そこでベイルはノコギリの刃を手に入れ、鉄筋を地道に切っていった。

また、ベイルは穴を開ける時間を短縮する為にハンマーを持ち出し、叩く事で発生する音を外で行われていた花火の音等で誤魔化し開け続けた。


同年7月、3ヶ月かけてようやく天井に穴を開ける事に成功する。

そして、事前に用意したワセリン (油で出来た保湿クリーム) を体に塗り、ベイルとモーガンは脱獄した。


しかし、脱獄からわずか2日後、刑務所からほど近い住宅街で、住民の通報によりベイルとモーガンはあっけなく逮捕された。

すぐ逮捕された理由は、ロープで20mの塀を降りる際、手を滑らして地面に落下し、腕と足首を骨折した為、思うように逃走出来なかったからだった。

滑った原因は体に塗ったワセリンであった。

再び刑務所に収監されたベイルには7年の独房生活が、モーガンには10年の独房生活が課せられた。



《殺人数》
1人

《犯行期間》
1988年



∽ 総評 ∽

地道な作業で穴を開け、まんまと脱獄に成功したベイル。

ベイルは15年に渡り緻密な脱獄計画を企て脱獄に成功したが、結局すぐに逮捕されてしまった。

15年間も脱獄の事だけを考え維持する精神力も凄いが、その長期間に及ぶ努力と根性をもっと真っ当な事に注げなかったのかと思う。

ベイルは脱獄後、わずか2日で逮捕されたが、他の脱獄犯も同様に比較的早く逮捕される傾向にある。

脱獄すると広大なアメリカの大地に溶け込み、捕まり辛いような気もするが、意外に逮捕される脱獄犯は多い。

脱獄犯に家族がいた場合、すぐに警察にマークされる為頼る事が出来ず、また、基本的に無一文な為、逃走資金もなく、再び窃盗や強盗を犯すしかなくなる。

その為、逮捕され易いのだ。

ただ、脱獄の為に使用したワセリンにより手を滑らして落下し、骨折した為にあっさり逮捕されるとは間抜けという他ない。