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フレッド・ニューランダー (アメリカ)
【1941 ~ 】



フレッド・ニューランダーは、1941年8月14日、アメリカで生まれた。


1963年、フレッドはトリニティカレッジを卒業する。

フレッドは大学で聖職者になる為の勉強をしていた。

この時、キャロルという女性と出会い、交際を始め、数年後に結婚した。


1974年夏、ニュージャージー州チェリーヒルで、フレッドはユダヤ教の教会を設立し、ユダヤ教を指導する聖職者ラビとなった。

その後、フレッドとキャロルには3人の子供が生まれる。

社交的で誠実なフレッドは、ラビとして近隣住民から慕われていた。

また、キャロルは自ら飲食店を経営し、商売も順調にいっていた。


1994年11月1日、1人暮らしを始めた長女レベッカがキャロルに電話を掛ける。

すると、キャロルは誰かが訪ねて来たと電話を切った。

その際、キャロルは
「トイレの人が来た」
と言った。

2時間後、教会から帰って来たフレッドが自宅で殺されているキャロルの死体を発見する。

すぐに現場検証が行われるが、殺害に使われた凶器や痕跡が見つからなかった。

しかし、フレッドがキャロルの財布と店の売上金がないと警官に述べた。

実はキャロルは売上金を毎日自宅に持ち帰っており、その金額は1日150万円近いものであった。

その為、警察は売上金目的の強盗の仕業だと考える。

ただ、警察には犯人の見当が皆目つかなかった。

すると、レベッカが電話の最中に「トイレの人」が家を訪ねて来たとキャロルが言っていたと供述した。

だが、結局、その「トイレの人」というのが誰かわからず、その後、捜査は打ち切られてしまう。


1995年2月、フレッドはラビを辞任した。


事件は迷宮入りの様相を呈したが、6年後の2000年、事件は急展開を見せる。

ローレンス・ジェノフという男性が出頭し、キャロル殺害をフレッドに依頼されたと告白したのだった。

ジェノフはフレッドの教会の信者であり、お金に困っている事に目をつけたフレッドが、キャロル殺害を3万5000ドル (約400万円) でジェノフに依頼した。

ジェノフはフレッドの家を訪ね、不在だと知るとキャロルにフレッドに渡して欲しいと封筒を渡した。

そして、ついでにトイレを貸して欲しいと頼んだ。

この時、ジェノフはキャロルを殺すつもりだったが、結局、実行に移す事が出来ずそのまま帰った。

やはり殺人は出来ないとフレッドに告げると、フレッドは

「次の失敗はない。もし、次に殺さなかったら別の人間を雇ってお前と家族も殺すからな」

とジェノフを脅した (ジェノフには妻と子供がいた) 。

自分1人では殺害出来ないと思ったジェノフは、友人のドニフ・ポール・ダニエルズに協力を仰ぎ、再びフレッドの家に向かった。

そして、2人がかりでキャロルを殴り撲殺したのであった。

肝心のキャロル殺害の動機だが、フレッドは女癖が悪いと信者の中でも評判で、複数の愛人がいた事がわかった。

その中で、フィラデルフィアのラジオパーソナリティー、エレイン・ソンシーニという女性がおり、ソンシーニにとはフレッドの教会で出会った。

当時、ソンシーニにはユダヤ人のケン・ガーランドという夫がいたのだが、病気で入院していた。

フレッドはガーランドの病院に見舞いに訪れ、その後、ガーランドが亡くなると葬儀にも出席した。

夫を亡くして落ち込むソンシーニを励ましたフレッドに、ソンシーニは次第に惹かれていき、不倫関係が始まった。

関係が2年程続いた時、ソンシーニがフレッドにキャロルとの離婚を求め、聖職者という立場上、離婚する事で信者への信頼を失うと考えたフレッドはキャロル殺害を依頼したのだった。


裁判でフレッドの2人の子供が証言台に立った。

フレッドは子供が自分に対して証言した事が非常に悲しかったと裁判後に述べている。


2003年1月15日、フレッドには懲役30年が言い渡された。

判決を聞いた際、フレッドは悪態をつきわめき散らした。



《殺人数》
1人


《犯行期間》
1994年11月1日




∽ 総評 ∽

教会の指導者という立場にありながら、妻の殺害を依頼して殺したフレッド。

ブレッドの殺害動機は不倫相手から離婚を迫られての犯行であったが、動機としては珍しいという事はない。

以前紹介したヴィンセント・ブラザーズは、教師という立場ながら妻とその母、実の子供3人を殺害しているが、理由はフレッドと同じく別の女性と一緒になりたいが為であった。

フレッドは離婚したらラビとしての信頼を失うと思ったから、ブラザーズは養育費を払いたくないからという理由でそれぞれ殺害に至っているが、どちらも動機としては安直で短絡的、全くもって救いようがない (ただ、フレッドの場合は子供を手にかけてない分、ブラザーズよりは多少ましと言えるが) 。

フレッドが逮捕されるまで6年を費やしたが、その間、一体何を思って子供たちと生活していたのだろうか (こういう異常者は何もなかったのかように平然と生活していたと思われるが) 。

また、フレッドがソンシーニと一緒になったのかも気になった。

ただ、個人的には一般の人間が、人を殺して欲しいと頼めしかもそんな相手が普通に存在する事に社会としての恐ろしさを感じる。