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マーク・ストローマン (アメリカ)
【1969 ~ 2011】



2001年9月15日、アメリカ・テキサス州ダラスで、マーク・アンソニー・ストローマン (1969年10月13日生まれ) は、コンビニエンスストアに侵入する。

そこで、店員のワカー・ハサン (46歳♂) を射殺する。

ハサンはパキスタンからの移民であった。


6日後の9月21日、ストローマンは散弾銃で武装すると、ダラスにある別のコンビニエンスストアに侵入した。

ストローマンはカウンターにいる店員のライス・ブイヤン (28歳♂) に近づき、

「お前はどこから来た?」

と尋ねた。

すると、ブイヤンが答える前にストローマンはブイヤンの顔面を撃った (ちなみにブイヤンはバングラデシュからの移民) 。

ストローマンはブイヤンを撃った後、店から出て逃走したが、ブイヤンは生きており、瀕死の状態で隣の理髪店に向かった。

理髪店の店員がすぐに911に連絡した。

ブイヤンは病院に運ばれ、懸命な治療の結果一命を取り留めた。

だが、ブイヤンは右目を失った。


警察はすぐに捜査を始めるが、同年10月4日、ストローマンはテキサス州メスキートで、ガソリンスタンドを経営していたヴァスデーヴァ・パテール (49歳♂) を射殺する。

パテールはインドからの移民であった。

このパテール殺害から間もなくしてストローマンは逮捕された。

ストローマンが標的としたのは南アジア・イスラム圏からの移民ばかりであったが、それには理由があった。

実はストローマンが殺人を犯した4日前に『アメリカ同時多発テロ』が起こっており、その復讐の為に犯行に及んだ事がわかった。


2002年4月5日、裁判でストローマンには死刑が言い渡された。

ストローマンに襲われ唯一生き残ったブイヤンは、ストローマンの死刑に反対し、上訴した。

ストローマンはテレビの取材に対し
「私は1人の命を救う為に最善を尽くそうとしています。可能な限りあらゆる方法で死刑を回避したいと思っています」
と答え、何故、撃たれた被害者なのにそこまでするのかと問い掛けられると、ブイヤンは
「イスラム文化圏では『1人の命を救う事は全人類を救う事と同じだ』という考え方があります。私は彼を許しました。なので、彼の処刑を止めさせ1つの命を救います」
と答えた。

実はブイヤンは撃たれた片方の目を手術で救う事が出来たのだが、お金がなかった為、断念していた。

また、散弾銃の破片が頭部に数多く残っており、痛みと触った時の感触が残っていた。

この破片を取り除く手術を数年かけて行い、その度に激しい痛みを伴っていた。

そんな大変な目に遭ったにも関わらず、ブイヤンはストローマンを許したのだった。

このブイヤンの対応にストローマンは、

「彼は本当に素晴らしい人間であり、私は感動した。私たちは全ての事の模範でなければならないし、憎しみは止まらなければならない。私たちは一緒にこの世界にいる」

とニューヨークタイムズのインタビューに答え、ストローマンはブイヤンと和解した。


2011年7月20日、ストローマンには致死量の注射による死刑が執行された。

享年41歳。

ストローマンの死刑が執行される数時間前、ブイヤンはストローマン逮捕後、初めて電話で話した。

ブイヤンは
「私はあなたを許し、もうあなたを憎んでいません」
と話すと、ストローマンは

「心から感謝します。私はあなたを愛しています。あなたは私の心に触れました」

と答え、ブイヤンも
「あなたも私の心に触れた」
と答えた。


最後に殺害動機について問われた際のストローマンの返答で終わりたいと思います。

「愛国心だ」



《殺人数》
2人
(他1人負傷)

《犯行期間》
2001年9月15日~同年10月4日




∽ 総評 ∽

『11 September revenge killer (9月11日の復讐殺人犯) 』と呼ばれ、2人を殺害し、1人を負傷させたストローマン。

ストローマンは『アメリカ同時多発テロ』を起こした犯人たちと同じイスラムまたは南アジア圏内の相手を標的にした。

ただ、事件発生当時は犯人が誰だか確定していたわけではなく、おそらく予想や想像で決めつけての犯行だと思われる。

ブイヤンは片目を失ったにも関わらずストローマンを許し、ストローマンの死刑の変更を求めた。

私が同じ立場であればとても許す事は出来ず、ブイヤンの寛大な心には頭が下がる。

ただ、それとストローマンの死刑反対は別である。

ブイヤンはまだ生きているが、他に2人が殺されているのだ。

正直、ブイヤンがストローマンを許すのは勝手だが、殺害された2人や遺族からすればとても許す事など出来ないだろう。

私が殺害された犠牲者の遺族だったら「せっかく死刑になったのに何余計な事してるんだ。死刑じゃなくなったらどうするんだ」としか思わない。

ブイヤンのストローマンへの死刑反対は美談に聞こえるかもしれないが、他の遺族の事を考えていなく、個人的にやり過ぎだと思う。

本人は愛国心と言っていたが、愛国心の意味を完全に履き違えている。

本当に愛国心をもって行動するのなら、実行を指示した人間を殺すべきだ。

結局、ストローマンは南アジアやイスラム圏の人間を日頃から嫌っており、多発テロはきっかけに過ぎないと個人的に感じる。