
張 桃芳 (ヂャン・タオファン 中国)
【1931 ~ 2007】
張桃芳は、1931年 (月日は不明) 、中国・江蘇省興化市で生まれた。
1951年3月、張は19歳の時、中国人民志願軍に志願し、入隊する。
軍に入隊した張はすぐにその才能を見出だされ、射撃訓練コースに送られた。
そこでは狙撃兵同士、経験や技術を教え合い、互いに切磋琢磨した。
トレーニングの終わりにシューティングゲームが行われたが、張は目標にはヒットしなかったものの、瞬時に4、5発放ち周囲を驚かせた。
1953年1月29日、張は第24軍団第214連帯の一員として上甘嶺に赴任し、朝鮮戦争に参加した。
張の役割は戦略拠点の防衛であり、北朝鮮との国境沿いの丘に配備された。
最前線に立った張は、迫り来る敵軍兵士を次々と射殺していく。
同年5月25日の約4ヶ月の間、張によって442発放たれた銃弾により214人 (1日平均6.68人、命中率は48.4%) を射殺する。
ただし、張は4ヶ月の間、常に戦場に立っていたわけではなく、ほとんどを訓練や会議に時間を費やしており、214人 (奇しくも所属連帯と同じ数字) を射殺したのは32日間の出来事であった。
張は朝鮮戦争における最も射殺した人物となった。
結局、張が戦場に立ったのは40日間であり、他に72人を負傷させた。
この活躍で張は二級狙撃英雄の称号を授与され、『狙神』と呼ばれ恐れ敬まれた。
また、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議からは一級国旗勲章を授与された。
1954年、張は志願軍の戦闘機のパイロットとなり、そして、陸軍兵士となった。
その後、張は徐州第五空軍予備校と済南51社航空学校で勉学に励み、空軍に移った。
1956年、張は中国共産党に参加した。
張は最新鋭の戦闘機のパイロットとして訓練基地に配備され、空軍防空部隊の責任者となった。
その後も中国は度々戦争を起こしたり参加したりしているが、張は戦場に行く事はなく、2度とライフルを握る事はなかった。
1980年、張は退職し、2007年10月29日、濰坊で死去した。
享年77歳。
張の狙撃は訓練と勉強の賜物とされ、張はライフルの反動に耐える為、毎日10キロもの砂袋を使い腕の筋肉を鍛えた。
また、張は弱い光の穴を標的と見定め訓練に励んだ。
2003年、中国の中部テレビCCTV―1は、ドキュメンタリー番組『スナイパー・ヒーロー』を放送し、張の事を取り上げた。
張は2、3回インタビューに答え、狙撃について経験した事を話している。
最後に射撃について問われた際の張の言葉で終わりたいと思います。
「視界が目標からどのくらいか見定め、その瞬間、何も考えず引き金を引くだけだ」
【射殺数】
214人 (他負傷者72人)
【期間】
1953年1月29日~同年5月25日
∽ 総評 ∽
朝鮮戦争で実に214人を射殺した張。
張がこれほどの人数を射殺したのは、朝鮮戦争の中でもわずか32日間の出来事であった。
狙撃手として最も有名であろうシモ・ヘイヘもそうであったが、スナイパーは短期間でとんでもない射殺数を記録する事が多い。
また、ヘイヘも狙撃のコツを聞かれた際同様の事を答えており、張もそうであったが全てが訓練の成果であった。
ただ、努力は当然必要だとして、個人的には何でもそうだが才能ももちろん関係あると思う。
しかも、これまたヘイヘ同様、射殺を記録して以降、戦争に参加せず (戦争自体が少なくなり平和になっているといえるが) 、銃すら握らない事が多い (ヘイヘの場合は顔面を怪我してしまっているが) 。
ヘイヘもそうだが、これほど人を殺めた人間たちは、戦後、穏やかな生活を送り天寿を全うする事がほとんどだ (アメリカのクリス・カイルは同胞に射殺されているが) 。
しかも、ほとんどの狙撃手が戦争の英雄として迎えられ、現在も尊敬の念を集めている事が多い。
もちろん戦争という有事で国の為に行った行為であり、彼らに殺意は微塵もなく殺人鬼とは全く違うが、個人的には人を散々殺しておいて英雄と呼ぶのは少し違う気がする。
「1人殺せば人殺しだが、数千人殺せば英雄だ」とはまさにそういう事なのだろうが。
コメント
コメント一覧
そうですね。
いずれ掲載したいと思っています。
そうなるかもしれませんね。
戦争とそれを終わらせる為の平和。
結局、戦争というのは自国の利益しか考えないので自分勝手になって当然かもしれませんね。
祖国を守る為だったからです。
シモ・ヘイヘは最も多数の敵を狙撃により殺害していますが、強大なソヴエト軍から祖国を守り抜く為でした。
しかし、張桃芳の本人は祖国への忠誠心からかもしれませんが、朝鮮戦争では北朝鮮が韓国を侵略しているのを幇助する為に参戦しているので殺戮者と言っても過言じゃないと私は思います。
侵略の手助けをした時点で「殺戮」と揶揄されると考えます。
戦後に銃を握りたがらないのは、言わないだけで似たような事を考えているのかも知れませんね
ヘイヘは一応、猟師として戦後を生きていたから厳密には握ってるけど。一緒にしたら、ヘイヘにキレられるでしょうね
AK47は、最も人を殺した銃としてギネス登録されているようです。
もちろん祖国を守る為なので、自国からは英雄扱いされるのは当然ですね。
なるほど、そういう観点からすれば殺戮と言えなくもないですね。
>RAさん
そうかもしれませんね。
あくまでも戦争で生き抜く為に狙撃しただけなので、快楽殺人鬼とは違い戦争が終われば人を撃ちたいないて微塵も思わないのでしょう。
スナイパーはだいたい皆同じような余生を過ごしていますね。
スナイパーはちょっと特殊な兵士で、名前とか特定されやすく、ある意味狙われやすい兵士とも言えます。オーストラリアの人がギネス持ってたけど、最近更新されたっけかな?4㌔位だったか?離れた所からの狙撃で、音が聞こえる前に頭が吹っ飛ばされる。
ちなみに、富士演習とかで戦車砲使われるけど、戦車の射程は約2㌔位。凄いもんだ。
世界に名だたるスナイパーは全員が快楽殺人ではないですね。
戦争からがむしゃらに生き残る為に腕を磨いて敵兵を射殺したに過ぎませんからね。
私も聞いた事ありますね。
記録を更新したとか。
リクエストがあります、以前掲載されたエディ・ルースに殺された、クリス・カイルさんも載せてください。彼も優秀なスナイパーでカウボーイだったし、イラク戦争のヒーローとされているからです。彼も気になります。ぜひ載せていただけたら嬉しいです。
難しい事ですね。
相手国からすればただの人殺しですが、自国からすれば英雄になりますから。
クリス・カイルはスナイパーとしても優秀で、個人的には最後に同胞に殺害されている所に彼にもの凄い愛着が湧いているので、いずれ掲載したいと思います。
どの兵士も名誉を求めて戦争に赴いた訳でなく、国の危機や仲間を救いたい、それだけのことだと思います。
仲間からすればもちろん英雄ではありますね。
生き残る為に遂行したまでで、殺人自体に何の思い入れもないのはその通りでしょう。
戦後の立ち振舞いでわかりますね。
そうですね。
他にも沢山いますが。
ならば正式な兵士の戦争における任務を掲載するのは筋違いだと思います。
中華人民共和国の義勇兵だから正式な戦闘行為でない、
との判断で掲載されるのであれば仕方ありません。
もし、私が彼ら兵士の家族や血縁だったとしたら怒りを覚えると思いますが?
筋違いと言われれば反論は出来ません。
仰る通り本文にも記載してますが、スナイパーはもちろん猟奇殺人鬼ではありません。
掲載するか悩んだのですが、その為、狙撃手としての項目を追加しました。
以前、シモ・ヘイヘを掲載して欲しいと言われた事があり、スナイパーは掲載するつもりはなかったのですが、色々調べていく内に掲載しようと決めました。
項目が「狙撃手」とあっても筋違いが正当化されるものではないと考えます。
知らない人が見たら「狙撃手の猟奇殺人者か?」と読み始めるでしょう。
最後まで読めば貴殿の意図は分かりますが、憤慨して途中で読むのを
やめたら貴殿の意図は伝わりませんし、貴殿も不本意でしょう?
こないだのベガスの銃撃事件も、どっかの大学の90m撃ち下ろしも「狙撃による大量殺害」
と言えなくもないですから。乱射か狙撃かは議論が分かれますが、
狙って遠距離射撃したならば一応彼ら犯罪者のほうも「狙撃者」です。
ただ、ここで批判ばかりしても左巻きの野党連中のようになってしまうので、
不快なら見なきゃいいじゃん!wと言われてしまうので
じゃーどうしたら良いかと問われるのならば、提案としては、
①サイトのタイトルを「世界の猟奇殺害者・大量殺害者」に変える
②正式な兵士の記載はやめる
③項目を「狙撃兵(猟奇殺人者ではない)」等分かりやすくする
④「猟奇殺人者ではない大量殺害者」項目を新設し、そのサブ項目に「狙撃兵」とする。
(狙撃「兵」と狙撃者、狙撃手では意味合いが結構違います)
のいずれかか、あるいは複数か、とすれば好ましいと考えます。
もちろんあくまで提案ですので、どうするかは貴殿次第です。
堅苦しい意見で恐縮ですが、
ただせっかく莫大なデータベースを苦労して編集されて、
有意なサイトになっていると思いますので、
「ただ人殺しを集めた、殺人興味本位の有意でないサイト」と思われるのも
勿体無いと思いまして意見させてもらいました。
ご検討をば。
ご丁寧な提案恐縮です。
以前、冤罪事件を取り上げた際、全く同じ事を言われました。
内容が内容なので項目違いや筋違い等別にしても批判は多いです。
タイトルを変更する事は多分もうないと思うので、色々検討していきたいと思います。
ありがとう。私も確認します。
何の事にお礼を言って頂いているのかわかりませんが、こちらこそよろしくお願い致します。
私はQTさんの意見(特に②)に同意します。
このサイトは世界の殺人鬼を特集するサイトなんですから、軍人にスポットを当てるのは筋違いではないでしょうか?ただ、もしこれからも「軍人」を殺人者というカテゴリーに入れるのでしたら、専用項目を設置して掲載していくべきですね。膨大な人数になると思いますが。
ただ、生きるか死ぬかの極限状態の中で、国家のため仲間のため戦った人と殺人鬼を一緒にするのは左派系知識人と同じなわけで、死刑やそれ以上の刑罰を望む管理人さんが、そういった左派と同じ意見を口にするのはちょっと矛盾では。
あと軍人の掲載に批判的なのはもう一つ理由があって、掲示板がミリオタみたいな連中の自慢合戦の場になり兼ねないということ。
確かに筋違いと言われればそれまでですね。
『世界の猟奇殺人者』なので、軍人のみでなく独裁者や実験、犠牲者や冤罪事件も基本的に関係なく、本来取り上げるべきではないと思います。
個人的には深い意味はなく、猟奇殺人ではないですが有事といえど人を殺めた事を取り上げたいと思ったまでです。
「軍人の戦果」というものには必ずプロパガンダが混じるものですしねぇ。
特に一発目で紹介されたのは中国共産党です。
共産圏の戦果は吹聴が含まれたものが多くはっきりいってあてになりません。
というのは共産圏から見た自由主義圏に対しても言い返される訳でw
あおぞら氏のいわれる「ミリヲタの自慢合戦」(w)とか
あれはどうだのこうだの、あまり質の高くない議論になりそうな気配は濃厚です。
ご注意されることをお勧めします。
ご忠告ありがどうございます。
彼は2等兵で150人以上射殺したとされています。
57歳で亡くなるまで、平穏な生活を送ることはできず、死去した時はわずかなお金と貧乏な小屋で亡くなったといわれています。
狙撃手ですね。
今度調べてみたいと思います。
そうですね。
狙撃手は殺人鬼ではないですね。