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シェリア・エディー (アメリカ)
【 1995 ~      】



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レイチェル・ショーフ (アメリカ)
【 1996 ~      】



シェリア・レイ・エディーは、1995年9月28日、アメリカ・ウェストバージニア州ブラックスビルで生まれた。

父親をグレッグ・エディー、母親をタラ・クレンデネンといい、シェリアは夫妻の唯一の子供であった。


父グレッグは2000年に交通事故に遭い、外傷性の脳障害となり、夫妻は離婚した。

シェリアは母タラに引き取られ、タラは自動車販売代理店の会計士として働いたが、生活は苦しかった。


2010年10月、タラはジム・クランデンという男性と再婚し、一家はウェストバージニア州モーガンタウンに移り住んだ。

シェリアは地元のモーガンタウン高校に通い、成績は良く優等生であった。


レイチェル・ショーフは、1996年6月10日に生まれ、モーガンタウンで育った。

父親をラスティー、母親をパトリシアといい、レイチェルも夫妻の唯一の子供であった。

レイチェルはモーガンタウン高校でシェリアと出会い、友人同士となった。


スカイラー・アネット・ニースは、1996年2月10日、モーガンタウンで生まれた。

父親をデイブ、母親をマリーといい、スカイラーも夫妻の唯一の子供であった。

デイブは世界最大のスーパーマーケットチェーン、ウォルマートで製品組立の仕事をしており、マリーは心臓研究所の管理助手として働いていた。

スカイラーはモーガンタウン高校に通い、将来は刑事事件の弁護士に成りたいと考える程、成績優秀な優等生であった。

スカイラーはシェリアとは子供の頃から親友同士であり、レイチェルとは高校で出会い、3人は仲良くなった。

3人は一緒にウェンディーズ (アメリカ創業のハンバーガーを中心とするファーストフードチェーン) でバイトを始めた。


2012年7月5日、ウェンディーズのバイトを終え、スカイラーは自宅のアパートに帰った。

深夜、スカイラーはシェリアとレイチェルに呼び出される。

実はスカイラーは当初、時間が遅かった事もあり出掛ける事を躊躇したが、シェリアらに説得され出掛ける事にした。

日付は変わって6日午前0時30分頃、スカイラーは玄関から出ると両親を起こしてしまうと考え、窓から外に出てシェリアの車に乗った。

スカイラーは携帯電話の充電器を持たず、窓も開けたままであった (その為、すぐに戻るつもりであった) 。

スカイラーはシェリアのセダンの車後部座席に座った (この時の様子は後にアパートの防犯カメラで確認された) 。

3人が乗った車はスターシティからルート19を経由し、北へ向かった。

その後、ルート7を走る予定であったが、州警察の車を見つけ、別ルートを走る事となった。

シェリアとレイチェルは最終的にペンシルベニア州の州境を越え、目的地に到着した。

この場所は時折3人が訪れてはマリファナを吸っていた場所であった。

3人は車を降りると、シェリアとレイチェルはマリファナを吸う為のライターを車に忘れたとスカイラーに話し、取って来るよう頼んだ。

スカイラーは車に戻りライターを取って戻って来ると、シェリアとレイチェルが突如、

「3!2!」

とカウントダウンを始めた。

そして、

「1!」

と言い終わった瞬間、シェリアとレイチェルが用意していた包丁でスカイラーを刺し始めた。

突然の出来事に驚いたスカイラーは走って逃げようとするが、激痛の為、数フィートも走れず地面に倒れた。

レイチェルは倒れたスカイラーに馬乗りになり、更に刺し続けた。

スカイラーは刺される間、必死に抵抗した為、レイチェルは膝を切った。

シェリアは刺すのを止め、レイチェルが刺し続ける様子をただ見守っていた。

結局、スカイラーは50ヶ所以上も刺され死亡した。

その後、シェリアとレイチェルはスカイラーの死体を処分する為、車に積んで走らせた。

2人は川沿いの道を進んだ遺跡の側で土を掘って埋めようと考えており、目的地に到着するとスカイラーの死体を車から降ろして引きずって運んだ。

そして、目的地の場所で土を掘り始めたのだが、予想以上に土が硬く、埋める事を断念する。

その為、2人はスカイラーの死体を置いたまま、岩や落ちていた枝等で隠した。

2人は車に戻ると血が付着した衣類を脱ぎ捨て体を拭き、新しい服に着替えて家に戻った。

シェリアとレイチェルは数ヶ月前からスカイラー殺害を計画しており、方法や場所についても事前に下見をしていた。

殺害に使用した包丁やペーパータオル、漂白剤や服、シャベル等を事前に用意し、車のトランクに隠していた。

朝になると、スカイラーの両親は娘が部屋にいない事を知り、部屋の様子から事件に巻き込まれたと考え、警察に通報した。

警察はすぐに捜査を始めるが、当初、警察はスカイラーが自らの意思で家を出て行ったと考えていた。

その為、スカイラーに対するアンバー・アラート (児童誘拐警報システムの事で、1996年にアメリカで制定された) が発動されなかった。

捜査を開始してしばらくすると、ノースカロライナ州で身元不明の少女の死体が発見され、スカイラーだと思われたが別人だと断定された。

スカイラーの両親はスカイラーのチラシを作成し、ウェストバージニア州モノンガリア郡で配った (このチラシ配りをシェリアも協力している) 。

警察は防犯カメラで確認されたスカイラーが乗ったセダンの持ち主であるシェリアに話を聞いた。

シェリアはスカイラーを乗せたのは事実だが、1時間後に降ろしたと述べた。


同年9月10日、警察はスカイラーが通っていたモーガンタウン高校で聞き込みを始めた。


2013年1月16日、スカイラーの死体が発見される。

スカイラーの死体は遺跡の側で見つかり、場所は家から30マイル (約48km) 程離れた所であった。


事件から約10ヶ月後の同年5月1日、スカイラー殺害容疑でシェリアとレイチェルが逮捕された。

逮捕された2人はスカイラー殺害を認めた。

事件が世間に知れ渡ると、その犯行の様子から全米が騒然となった。

肝心の2人の殺害動機だが、レイチェルは

「彼女が好きではなかった」

と述べただけだった。

だが、スカイラーの父デイブは、日頃からシェリアとレイチェルとは仲が良く、親友であったと語った。

シェリアとスカイラーは子供の頃から仲が良く、幼なじみであったが、高校の時にレイチェルと出会った事で3人の関係に緊張が走った。

シェリアはレイチェルと親密になり、3人で会っていた時、シェリアとレイチェルが性行為に及んだ。

それをスカイラーに目撃されてしまい、シェリアとレイチェルは2人の関係を誰かに暴露される事を恐れ、犯行に及んだとされた。


同年9月4日、検察はシェリアを大人として裁くと発表した。

だが、レイチェルは司法取引に応じた為、未成年として裁判を受ける事となった。


2014年1月28日、シェリアは最低15年は仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された (本来、シェリアには死刑が言い渡される可能性が非常に高かったが、ウェストバージニア州では死刑を廃止していた為、終身刑となった) 。

レイチェルは司法取引に応じた為、10年から30年の不定期刑が言い渡された。


事件後、アンバー・アラートについて疑問の声が上がった。

そもそもアンバー・アラートは、
①子供が誘拐されたと考えられる
②年齢が18歳未満である
③子供が死亡または重傷を負う可能性が限りなく高い
④アンバー・アラートが機能するのに十分な情報がある
というのが発動条件であった。

誘拐ではなく家出とか、死亡または重傷を負う可能性が高いというのは、判断する人間の匙加減となってしまい、曖昧で不正確さが問題であった (もちろんある程度基準はあると思われるが) 。

また、最も問題とされたのが、行方不明とされてから48時間経過しなければならないというもので、それでは大概手遅れとなってしまうのは明白であった。

ウェストバージニア州の議員は子供が家出なのか誘拐なのかは関係なく直ちに公表するようアンバー・アラートを修正する新たに「スカイラー法」を採択し、提出した。

2013年3月27日、ウェストバージニア州議会で「スカイラー法」は98―0で承認された (この時点ではまだシェリアとレイチェルは逮捕されていなかった) 。

同年4月12日、ウェストバージニア州は満場一致で法案を可決し、同年5月にウェストバージニア州知事アール・レイ・トムブリンが法案に署名した。


2014年3月7日、NBCテレビはスカイラー殺人事件を『Something Wicked』というエピソードで放送した。


同年4月12日、『デス・クリーク』というドラマが放送されたが、これは、スカイラー事件の影響を受けて作られたドラマであった。


同年7月18日、ABCの『20/20』という番組の「Unfriended」というエピソードで、スカイラーの話を取り上げられた。


同年10月22日、LMN (アメリカのデジタル・ケーブル及び衛星テレビネットワーク) の「Real Life Heathers」というエピソードで、親や友人のコメントを紹介してスカイラーの話を取り上げた。


同年11月14日、『Investigation Discovery』というドキュメンタリー番組で「Skylar Neese」という題名でエピソードを紹介した。


2016年3月26日、『Reelz Channel (テレビ番組のネットワーク) 』の「Copycat Killers」で、「Heathers」というエピソードでスカイラーの話を取り上げた。


同年10月28日、『Investigation Discovery』で「消えた娘」という題名でスカイラーのエピソードを紹介した。


最後に逮捕後のシェリアの発言で終わりたいと思います。

「スカイラーの首から音が鳴り響いていた。その音が鳴り止むまでスカイラーを刺し続けた」



《殺人数》
1人


《犯行期間》
2012年7月6日




∽ 総評 ∽

友人をよってたかって刺して殺害したシェリアとレイチェル。

このスカイラーの事件は数多くの番組で取り上げられたが (上述したものは一部) 、それほど世間に与えた衝撃の高さが窺える。

2人の殺害動機はレイチェルが「好きではない」と述べたが、シェリアとレイチェルのレズ関係を暴露される事を恐れての凶行であった。

ただ、レイチェルが特に恨みを持っていた事を考えると、シェリアとスカイラーの昔からの仲の良い関係に嫉妬していた可能性も否定出来ない。

通常、この年代による殺人は珍しくはないが、少女による場合はほとんどが痴情のもつれが原因であり、それは大抵が異性間の話であり、同性というのは珍しい。

レイチェルは「好きではない」と言っているが、スカイラーの父親が親友だったと述べているほど、少なくとも表面上は仲が良かった。

3人は親友と呼べる程の友人関係であり、その仲睦まじさは日頃から周囲に知れ渡っていた。

その様子を3人はSNS上で数多くの写真として公開しており現在も確認出来る。

それはアメリカの高校生らしいものであり、その仲の良さそうな雰囲気は少なくとも写真からは滲み出ている。

しかし、そんな3人の内2人が結託し、1人を殺害するに至った。

これは完全に個人的感想で申し訳ないが、女性はどんなに嫌いな相手でも、表面上笑顔で接し、さも仲が良いように見せる事が上手な人が多いと思う。

この3人の関係も写真を見る限りまさにその通りであり、女性というのは色々な意味で心底恐ろしいと痛感させられる。

ただ、未成年の少女に対して普通に終身刑 (州が違えば死刑であった) が言い渡されるアメリカの司法に恐れ入ると共に、日本も少しは見習って欲しいと思う。