ダグラス・シャイン (アメリカ)
【 1993 ~ 】
ダグラス・シャインは、生まれてわずか6ヶ月の時、母親が刑務所に4ヶ月間拘留された (詳細不明) 。
そして、釈放された後、母親は頻繁に身体的に精神的にシャインを虐待した。
母親はシャインの名前を呼ばず、誕生日を祝う事をしなかった。
また、革紐でシャインを殴り、更に母親はシャインの兄にベルトでシャインを殴るよう命じ、殴らせるというものだった。
しかも、母親はシャインが小学校に通う時、シャインが学ぶ学校の教育を拒否した。
そんな過酷な生活の中、シャインはサッカーに興味を抱き、サッカーに没頭するようになるが、8歳の時、母親によりサッカーを禁止された。
シャインは唯一の拠り所であったサッカーまでも母親に取り上げられた。
そんなシャインは成長するにつれ、人格障害を患うようになる。
シャインは10歳の時には軽微な犯罪を行うようになる。
そして、シャインは当時、オハイオ州クリーブランドで幅を利かせていた『The Heartless Felons (ハートレス・フェロン) 』というギャングに加入する (1970年代から1980年代にかけてクリーブランドで頻繁に暴力で暴動を起こしていた) 。
2015年1月、クリーブランドで同じく幅を利かせていた『The Loyal Always (ロイアル・オールウェイズ) 』というギャングと、1週間に渡って銃撃戦が行われる。
シャインはギャングの一員として抗争に参加し、相手ギャングのメンバー、ウォルター・バーフィールド (23歳♂) とバスの中で銃撃戦を行う。
この時、13発を撃ち合ったが、両者共怪我を負う事なく痛み分けとなった。
同年2月13日、シャインはバーフィールドがワーレンズビル・ハイツにある『Chalk Linez Barbershop』という床屋にいるという情報を掴み、向かった。
フード付きの服に身を包んだシャインは、店に入るなりバーフィールドを確認すると、バーフィールドに向かい16発撃ち込んで射殺する。
そして、その時、店にいたブランドン・ホワイト (31歳♂) とウィリアム・ゴンザレス (30歳♂) にも数十発撃って射殺した。
また、その他3人が負傷した。
シャインは逃走したが、事件当時、アーロン・ラドソンという男性が、床屋での銃撃を車の中で聞いており、警察に知らせた。
そして、警察が捜査を進めると、犯人がシャインだとわかり、警察はシャインの家を取り囲んだ。
すると、シャインは抵抗せず素直に投降した。
裁判でホワイトの母親は証言台に立ち、
「これは母親にとって最悪の出来事です。まさか、私は自分が死ぬ前に息子を埋葬するとは思わなかった」
と証言した。
検察は
「彼はギャング同士の抗争に対する報復を行う冷血な親和性の欠いた殺人犯である」
と痛烈にシャインを非難した。
シャインを診断した心理学者は
「家族のサポートや適切な治療による薬の投与を行えば、おそらく彼は一切の事件を起こさなかった可能性が高い」
と話した。
裁判官がシャインに、
「最後に何か言いたい事はありますか?」
と問われた際、シャインは
「言いたい事は全て言った」
と答えた。
2016年12月19日、シャインは仮釈放の可能性がない懲役380年と4つの終身刑が言い渡された。
実は当初、陪審はシャインに対する刑として死刑を勧めていた。
しかし、裁判官がその陪審の提案を棄却したのだった。
この陪審の決定が棄却されたというのは、アロンソ・ライトが1986年に殺害したグローバー・ロング殺人事件の裁判で、1987年に陪審の全面的な死刑勧告をフランク・ゴーマン裁判官が覆し、懲役30年を言い渡して以来の出来事であった。
《殺人数》
3人 (他負傷者)
《犯行期間》
2015年2月13日
∽ 総評 ∽
ギャングの一員として、復讐の為に床屋を襲撃し、3人殺害したシャイン。
アメリカのギャング同士のいざこざは日常茶飯事であり、特に変わった所はないが、わざわざ復讐の為に床屋を襲撃するというのはかなりの執念である。
それほど、バスで行ったバーフィールドとの銃撃戦に恨みを抱いてたのだろう。
シャインは母親の執拗な虐待により精神が歪んでしまった。
シャインの凶行は少なからず母親の責任ともいえる。
裁判官が陪審の意見を却下してまで何故、シャインの死刑を止めたのかわからないが、これは非常に珍しい事であった。
遺族からしてみれば、とても納得出来ないであろう。
詳細がなかったのでわからないが、バーフィールドの他に殺害された2人はおそらくギャングとは関係なく、たまたまそこに居合わせた事で巻き添えをくらってしまった。
こういう事件を知ると、人間どこでどうなるかわからないと痛感させられる。
コメント
コメント一覧 (9)
疑似家族のようなコミュニティがあるのでしょうか。
親から虐待された、或いは親から見捨てられた荒れた若者が、
ギャングの世界にコミュニティを求めているのかも知れません。
少なくとも彼は、幼少期は真面に生きる意思があったし、
母親に人生を台無しにされたのは残念と言えます。
ギャング自体は危険な存在ですが、ギャングに入ったから
危険な人間がより危険になったとは言い切れないと思いますね。
それはあると思いますね。
様々な辛い理由で集まった集合体の為、結束も固く、より堅固な精神を持ち合わせているように思えます。
ギャングに加入した事で異常性が増したのかと思います。
虐待を受けて変貌したのでは無くて本質的な人格で愛情を甘受出来なかった為に本質的な人格が尖鋭化したと感じます。
※5年前に亡くなった実弟は幼い頃から乱暴で後先を省みない性格で死ぬ直前でも変わりませんでした。
鬼畜の母親もよくもヌケヌケと証言台に立てて証言を言えるモノですね。
しかも、死刑を前提に証言していて「お前が怪物を育てた張本人だろうがっ!」と言ってやりたい心境に駆られました。
「家族のサポートがあれば、このような事件は起こさなかった・・・云々」を弁護士ではなく、裁判長が述べて陪審員が死刑を推奨したのに拒絶し、懲役380年って馬鹿ですか?
陪審員は国民から選抜された国民の声そのものです!
それを裁判長ごときが無視するのは非常に憤りを覚えます。
ifは現実的では無い事象で起きてしまっている事件にifを当て嵌めるのは絶対に法に反しています!
380年×40000$=15200000$を愚かな裁判長に支払わせるべきですね。
なるほど、確かにそうとも言えますね。
母親もわが子ながら他人事なんでしょう。
だから証言台にのうのうと立てる。
「別に私が起こした事件じゃないし私のせいでないし」とでも思ってたのでしょう。
私もこれでは陪審員の意味がないと思いますね。
裁判長は陪審員の意見に耳を傾け、基本的に従うべきでないと存在自体が意味をなしませんね。
>悪趣味レディさん
私もそう思います。
虐待した者も同等に裁くべきです。
仰る通り、もし虐待していなければもしかしたら彼は異常者になっていなかった可能性はあります。
もちろん元々異常者だったかもしれませんが、可能性はあくまでもあったと思いますね。
確かにそうですね。
虐待が減れば異常者も間違いなく減ると思います。
ただ、虐待は日本も近年増えているそうなので、難しいでしょうね。
圧力が怖かったというのはあり得ますね。
裁判長も命は惜しいでしょうし。
仰る通り税金の無駄遣いです。