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トッド・コールヘップ (アメリカ)
【1971 ~ 】



トッド・クリストファー・コールヘップは、1971年3月7日、アメリカ・フロリダ州で生まれた。

コールヘップはサウスカロライナ州やジョージア州で育った。


コールヘップ2歳の時、両親は離婚し、母親は翌年に再婚した。

コールヘップは継父とうまくいかず、関係は最悪であった。

その為、コールヘップは離婚した実の父親と一緒に暮らしたいと思っていた。

コールヘップは子供の頃から問題児であった。

保育園に通っていた時、他の子供を積極的にいじめ、物を盗んだり問題行動を繰り返した。

その為、コールヘップはわずか9歳にしてカウンセリングを受ける程であった。

また、この頃、コールヘップは金魚をクロロックス (漂白剤) で殺害したり、犬を捕まえてはBBガンで撃って殺すという動物虐待を行う。

この頃のコールヘップについて周囲の人達が
「衝動的で爆発的であった」
と後に語っている。

コールヘップは他の子供と全く馴染めず、友人はいなかった。

そして、ジョージア州の精神病院に3ヶ月半入院した。


1983年、母親が継父と離婚し、コールヘップは実の父親とアリゾナ州で生活するようになる。

コールヘップの父親は銃器を集める事が趣味であり、コールヘップも父親の血を受け継ぎ、銃器にのめり込むようになる。

そして、コールヘップは父親に爆弾の作り方を教わる。

コールヘップは父親との関係は悪くなかったが、父親が家に連れて来た多くのガールフレンドとコールヘップは馴染めなかった。


1986年11月25日、コールヘップはアリゾナ州テンピで、14歳の少女を22口径のリボルバーで脅して誘拐する。

そして、家に連れ込むと、縛り付け強姦した。

その後、コールヘップは少女を解放したが、もし、強姦した事を誰かに告げれば、少女の兄弟を殺すと脅した。

犯行時、コールヘップは15歳であったが、誘拐に強姦といった凶悪な事件を平然と犯した。


1987年、コールヘップは逮捕されたが、誘拐罪のみで有罪判決が下され、懲役15年が言い渡された。

コールヘップは境界性人格障害と診断されており、IQは118以上である事が判明する。

また、コールヘップは性犯罪者登録された。

判決を言い渡した裁判官は
「彼は行動的かつ感情的であり、非常に危険である」
と述べ、リハビリ出来ない可能性が高いと指摘した。


コールヘップは投獄中、暴力行為等の違反行為を繰り返し、釈放されたのは2001年8月で、実に14年間刑期を務めた。

釈放されたコールヘップは母親が住むサウスカロライナ州へ移住した。


コールヘップはアリゾナ大学に通い、大学ではコンピューター・サイエンスの学士号を取得した。


コールヘップは2002年1月から2003年11月まで、サウスカロライナ州スパータンバーグにある会社にグラフィックデザイナーとして働いた。

退職後、コールヘップはグリーンビル・テクニカル・ガレッジで勉強を始める。


2003年11月6日、サウスカロライナ州チェズニーにある『スーパーバイクモータースポーツ』というオートバイショップ内で、オーナーのスコット・ポンダー (30歳♂) 、サービスマネージャーのブライアン・ルーカス (30歳♂) 、メカニックのクリス・シャーバート (26歳♂) 、ポンダーの母ビヴァリー・ガイ (52歳) の4人が殺害される。

4人は全員が射殺されていた。

警察は捜査を行い、犯人が店の裏手から侵入し、まず、シャーバートを殺害した。

その後、ショールームの中央にあるトイレの外でガイを殺害し、メイン出入口でルーカスを、そして、最後に駐車場でポンダーを殺害したと考えていた。

この事件は長らく未解決事件となっていたが、2016年にコールヘップが告白した事で解決に至った。

ポンダーの妻によると、コールヘップは事件の前に何回も店を訪れており、よく店に対して不満を述べていたという。

また、コールヘップの母親によると、コールヘップが店でバイクを購入したが、返却しようと店を訪れると、従業員にバカにされ笑われ、返金に応じなかったと述べていたという。


2004年、コールヘップはサウスカロライナ・アップステート大学に移り、2008年に卒業するまで経営管理やマーケティングを学び、科学の学士号を取得した。


2006年6月30日、性犯罪者として登録されていたコールヘップだったがそれを偽り、不動産ライセンスを取得する。

そして、コールヘップは代理店を持つ会社を建設し、十数人を雇用した。

コールヘップは優秀な販売員として認識されていたが、接客を受けた顧客はコールヘップがしばしば銃器について話していたと後に述べている。

また、コールヘップと仕事をしていた銀行員によると、コールヘップは職場で頻繁にポルノ映画を観ていたという (結局、コールヘップの会社はコールヘップが逮捕された事で倒産した) 。


コールヘップはパイロットライセンスを取得し、2014年5月、ムーアから9マイル (約14km) 離れた所にある約100エーカー (40ヘクタール) の土地を30万5632ドル (約3100万円) で購入した。

そして、その土地に8万ドル (約800万円) 投資してフェンスで囲った。


2015年12月22日、ジョニー・ジョー・コクシー (29歳♂) とその妻ミーガン・リー・マクロー (26歳♀) が行方不明となる。

結局、ジョニーとミーガンは見つかる事はなく、行方不明のままであったが、後にコールヘップが逮捕された際、本人の自供により判明した。

ジョニーとミーガンは行方不明となる前にコールヘップに雇われていた事がわかった。

コールヘップの告白を受けて捜査を進めると、2人の遺体を発見する。

ジョニーは胴体に銃創が見つかり、12月19日にミーガンは頭部に銃創が見つかり、12月25日または26日に殺害された事がわかった。


2016年8月31日、カラ・ブラウン (30歳♀) とブラウンのボーイフレンド、チャールズ・デイヴィッド・カーバー (32歳♂) が行方不明となる。

警察は捜査を進めるが、2人を見つける事が出来なかった。


しかし、同年11月3日、警察はブラウンとカーバーの携帯電話が最後に発信された場所を突き止め、その場所に向かった。

その後、農場にある南京錠の掛かった金属製のコンテナの中から携帯電話が鳴るのを確認する。

南京錠を破壊し、コンテナの中を確認すると、そこには首を鎖で繋がれている女性が発見された。

女性はカーバーと共に行方不明となっていたブラウンだと確認された。

警察がブラウンにカーバーの事を聞くと、ブラウンは

「コールヘップが彼の胸を3発撃った」

と述べた。

警察はこの農場の所有者であるコールヘップを探し、すぐに逮捕した。

ブラウンとカーバーはコールヘップに使用人として雇われていた事がわかった。

また、コールヘップの母親によれば、カーバー殺害の理由は、コールヘップがカーバーのスマートな口調が気に入らず殺害に至ったと述べた。

コールヘップはブラウンは殺したくないと考え、監禁して捕虜としておくと言い、1日1回、食事を与えていた。

そして、逃げないようにブラウンに他の犠牲者の墓を見せ、脅していた。

逮捕されたコールヘップは、カーバー殺害と、コールヘップの農場の敷地内から見つかったジョニーとミーガン夫妻の殺害も認めた。

また、2003年のオートバイショップ襲撃の犯人であるとも告白し、これまで7人を殺害したと供述した。

コールヘップの家を捜索すると、半自動ライフルに9mm銃、サプレッサー等数多くの銃器や弾薬が見つかった。

警察はコールヘップが銃器を購入した際のバックグラウンドの記録が一切なく、銃器を違法に取得した可能性が極めて高いと判断した。


同年11月18日、テンピ警察はコールヘップには他にも余罪があるのではと考え、過去30年間の未解決殺人事件の調査を始める。

そして、特に1983年から1986年、2001年8月から同年11月に焦点を当てて調べた。

コールヘップは4件の殺人とブラウンの誘拐で起訴された。

その後、誘拐と武器の不法所持、カーバーとコクシー夫妻殺害でも起訴された。


2017年5月26日、コールヘップは7件の殺人と2件の誘拐、1件の強姦を認めるかわりに死刑を回避する司法取引に応じ、仮釈放の可能性がない7つの終身刑が言い渡された。


最後に自身の性格について述べたコールヘップの言葉で終わりたいと思います。

「性的な内容に心を奪われていた」



《殺人数》
7人
(他犯罪多数)

《犯行期間》
2003年11月6日~2016年8月31日




∽ 総評 ∽

女性を約2ヶ月間監禁し、他に7人を殺害していたコールヘップ。

コールヘップはオートバイショップを襲撃して4人殺害し、その後、コクシー夫妻を殺害した。

そして、カーバーの殺害と全ての殺人が本人の自白のみで発覚するという珍しい人物となった。

コールヘップは子供の頃から問題児であり、おそらく両親の離婚に継父と合わなかった事で性格が歪んでしまったのだろう。

コールヘップは動物虐待を行ったが、これは典型的なシリアルキラーの幼少の頃の行動であり、この時点でコールヘップには何らかの対処が必要であった。

ただ、コールヘップはIQが118と高く、会社を経営する手腕もあり、典型的なサイコパスと言える。

カーバー殺害理由もスマートな口調が気に入らなかっただけという身勝手この上なく救いようがないものだった。

コールヘップが強姦で捕まった時、裁判官がコールヘップはリハビリ出来ない可能性が高いと、的確な分析を行った。

しかし、裁判官の分析とは裏腹にコールヘップは釈放されてしまう。

この時に更生は不可能と判断し、一生刑務所に閉じ込めておけば、後の被害は防げた。

そう考えると悔やまれてならない。



* 追伸 *

以前、はるさんからリクエスト頂き掲載に至りました。

近年に発覚した事件としてはなかなか衝撃な部類に入ると思います。