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ライアン・ハーバート (イギリス)
【1991 ~ 】



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ブランドン・ハリス (イギリス)
【1991 ~ 】



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ダニエル・マレット (イギリス)
【1990 ~ 】

ジョセフ・ヒューム (イギリス)
【1990 ~ 】

ダニー・ヒューム (イギリス)
【1991 ~ 】



2007年8月23日深夜、イギリス・サンフォードのスタブイリー公園で、ソフィー・ランカスター (1986年11月26日生まれの20歳♀) とボーイフレンドのロバート・モルトビー (24歳♂) はデートをしていた。

日付が変わり24日の午前1時10分から20分の間、ランカスターとモルトビーは帰ろうと公園の出入口に向かった。

すると、公園の出入口付近で瓶ビールを飲みながら騒ぐ10代の少年グループがたむろしていた。

10代の少年グループは、ランカスターとモルトビーを見ると2人を挑発した (後述するが2人は相当目立つ格好であった) 。

ランカスターとモルトビーは無視すると、少年たちが突如モルトビーに襲いかかった。

モルトビーは殴られた衝撃で気を失って倒れた。

ランカスターは倒れたモルトビーを抱き締め、
「やめて!やめて!」
と叫び、モルトビーを暴行から庇おうとした。

そんなランカスターとモルトビーに5人は更に執拗に暴行を加えた。

少年たちはランカスターの頭部を集中的に殴る蹴るの暴行を加えた。

この暴行の様子を15歳の少年が目撃しており、携帯電話で緊急サービスに連絡した。

連絡を受け警察が駆けつけた頃には少年たちはいなくなっており、警察はランカスターとモルトビーを見るが、2人の様子に唖然とし、
「頭部に酷い怪我を負っていて、顔が異様に腫れていた。それはどちらが男性でどちらが女性がわからない程だった。余程の暴行を受けたに違いない」
と後に語っている。

警察は目撃者の少年に話を聞き、少年は
「少年たちが彼女の頭を執拗に殴ったり蹴ったりしていた。また、頭を踏みつけ跳ね上がっていた」
とその時の恐ろしい様子を語った。

ランカスターとモルトビーはすぐに病院に搬送される。

ランカスターもモルトビーもどちらも昏睡状態で意識がなかった。

モルトビーは脳内を出血しており、一時危険な状態であったが、徐々に回復した。

しかし、モルトビーは脳損傷による永続的な後遺症が残ってしまった。

ランカスターは1度も意識が回復する事はなく、医師が2度と回復する事はない脳死状態だと両親に告げた。


同年8月24日、ランカスターの両親が生命維持装置を外す事に同意し、ランカスターは死亡した。

享年20歳という若さであった。

実はランカスターとモルトビーはゴス・サブカルチャーに傾倒したカップルであり、警察はそれが原因で襲われたのではないかと考えた。


そして、すぐに犯人らは逮捕された。

逮捕されたのはライアン・ハーバート (16歳) 、ブランドン・ハリス (15歳) 、ダニー・マレット (17歳) 、ジョセフ (17歳) とダニー (16歳) のヒューム兄弟の5人であった。

ランカシャー警察のミック・グラードウェルは、
「ハリスとハーバートは暴行を楽しみ激しさを増していった。私の長いキャリアの中で最も暴力的な事件の1つ」
とその悲惨さを語った。


同年9月6日、ハーバートら5人は殺人罪で起訴された。

裁判が行われると、ランカスターとモルトビーが「Goths」または「Moshers」という服を着ており、しかも、姿格好が目立った為狙われたとされた。


2008年3月27日、裁判が終わった時点で、ハリスは殺人罪で有罪判決を受けた。

そして、裁判官は裁判中隠されてきたハリスとハーバートの名前を世間に公開するよう命じた。


同年4月28日、裁判でハリスには最低18年は仮釈放のない終身刑が、ハーバートには最低16年3ヶ月は仮釈放のない終身刑が妥当だと審理された。


同年10月29日、ハーバートは最低16年3ヶ月だったのが15年6ヶ月に短縮された。
しかし、ハリスの18年は短縮されず、マレットには懲役4年4ヶ月、ヒューム兄弟にはそれぞれ懲役5年10ヶ月が言い渡された。

判決を言い渡した裁判官は
「まるで野性動物のような野蛮な行動である。あなた達の行いは人類を劣化させる」
とハリス達を痛烈に批難した。

ランカスターの両親はインタビューで、
「私たちは娘の事を誇りに思っていました。彼女は面白く親切で、愛情があり勇敢でした。彼女は社会的良心と価値観を持った美しい女の子でした。彼女の笑顔を見る事が出来ないのは耐え難い悲劇です」
と答えている。



《殺人数》
1人
(他1人重篤な後遺症)

《犯行期間》
2007年8月23日




∽ 総評 ∽

『Goth killer's (ゴスの殺人者達) 』と呼ばれ、カップルを襲撃して女性を殺害したハリス達。

カップルを襲撃した5人は全員未成年であったが、複数いた為におそらく暴走してしまったのだろう。

未成年による犯罪というとはこれまで何人も紹介してきた通り、世界各国で起こっており、珍しいという事はない。

ただ、未成年故に怖いもの知らずという事により犯行が過激に暴走する事が多々みられる。

このランカスターの事件と非常に酷似した事件が日本でも起きている。

1988年2月23日、アベックが未成年集団 (1人成人) に襲われ、残忍な犯行の末殺害された。

私のブログを読んでいる方なら『名古屋アベック殺人事件』を知らない人はいないだろうが、この事件は『日本三大未成年殺人事件』の1つといっても過言ではないだろう。

5人の判決に差があるのは、やはり役割の違いであり、恐らくハリスとハーバートが積極的に暴行を加えていたのだろう。

個人的には5人に何の差もないと思っているので、全員同じ刑 (もっとも重い刑) でいいと思う。

ランカスターとモルトビーはゴスに傾倒していた為、ハリスらに狙われたとされヘイトクライム (憎悪犯罪) ではないかと言われた。

ただ、ハリスらが本当にゴスを嫌っていたから狙ったのかたまたま目についたから狙ったのか定かではない。

イギリスがEUを離脱し、仮に死刑が復活したならば、ハリスとハーバートはおそらく死刑になるだろう。

そう考えると一刻も早く死刑が復活して欲しいと思う。