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サミュエル・アイバリー (アメリカ)
【1957 ~ 】



1992年8月15日午後、サミュエル・リー・アイバリーは、帽子を被り旅行鞄にナイフとハンマーを隠して、アラバマ州モービルにあるコンビニエンスストアに侵入した。

店に侵入したアイバリーは、店内にいる客がいなくなるまで約30分待った。

客がいなくなったのを確認すると、出入り口を封鎖し、店員のデボラ・ルイス (27歳♀) をナイフで脅した。

アイバリーはまず現金を要求し、ルイスはレジにあった現金302ドル (約3万8000円) を渡した。

その後、アイバリーはルイスを床に押し倒し、目や口、手をダクトテープで縛り、被っていた帽子を顔に被せた。

そして、ナイフでルイスの顔や首を滅多刺しにして殺害し、逃走した。

警察は強盗殺人事件として捜査を進める。

すると、店内に防犯ビデオが設置されている事がわかり、ビデオを確認すると、そこには犯行の一部始終が映し出されていた。

警察はアイバリーが被っていた帽子が、犯行当日の朝にとある店で買った物だとわかった。

警察は犯人がアイバリーだと特定し、アイバリーを調べると襲撃した店の元従業員だという事が判明した。


犯行の翌日、アイバリーは逮捕された。


裁判が開かれると、数人の証人が法廷に出廷した。

事件直後に旅行バッグのような物を持ち、数ブロックを走り去って行くのを見たと証言した。

しかも、その時、逃走した男性のシャツには血のようなものが付いていたとも証言した。

また、アイバリーは事件の後、ダウンタウンの北にあるショッピングセンターに向かったのだが、そこで、アイバリーは血のついたシャツを洗っていた。

ショッピングセンターの食料雑貨店警備員はその事を問い詰めると、アイバリーは

「足を切った時についた」

と述べたと証言した。

また、警備員はアイバリーの旅行鞄についても違和感を感じ、鞄について聞くとアイバリーは

「ショッピングセンターにある店で200ドル (約2万5000円) で買った」

と述べたとも証言した。


同年8月27日、警察はアイバリーが住まいとしていたダウンタウン周辺の放棄された家屋に向かうと、そこで凶器のナイフや帽子が見つかった。

ナイフにはアイバリーの指紋が検出された。

しかし、アイバリーは精神科医の診断を受け、精神疾患であると診断される。

その為、アイバリーの弁護士は、無罪を主張した。


しかし、1994年、アイバリーには死刑が言い渡された。

死刑を言い渡されたアイバリーだが、他にも余罪があるとされた。

1992年7月に、イリノイ州イースト・セントルイスで若い女性が殺害された事件があったが、この事件はアイバリーで間違いないとされた。

更にアリゾナ州とカリフォルニア州で起きた2件の殺人事件もアイバリーによるものだとされた。



《殺人数》
1人
(4人の可能性大)

《犯行期間》
1992年8月15日




∽ 総評 ∽

強盗殺人を犯し、他にも殺人を行ったとされるアイバリー。

アメリカで強盗殺人は珍しいという事はないが、通常、強盗殺人を行う場合、レジの店員を射殺してレジから現金を奪って逃走するのが基本だ。

しかし、アイバリーは店員を縛り、時間を掛けて殺害した。

元働いていた店なので、怨恨というのもあったのかもしれない。

アイバリーは他の州での殺人事件 (詳細はないがおそらく強盗殺人) の犯人ではないかとされているが、通常、アメリカでは他州での犯行の容疑にかかる事はあまりない。

その為、警察も他の3件の事件はアイバリーでほぼ間違いないという確証があるのかもしれない。