サミュエル・クーパー (アメリカ)
【1976 ~ 】
サミュエル・ジェームス・クーパーは、アメリカ・ノースカロライナ州ローリーに住んでいた。
クーパーは4人姉弟 (姉と妹弟) で、両親と6人で暮らしていた。
一見普通の家庭に思えるが、クーパーの父親は暴力的で残虐な人物であった。
日頃からクーパーやその姉妹を虐待し、その虐待は苛烈を極めた。
父親は箒やバット、革ベルト等でクーパーや姉妹たちを容赦なく滅多打ちにした。
そんな暴行はクーパーの母親ジャクリーンにも及び、母親は子供達が虐待されるのを止める事も出来ず、止めても自分がやられるだけなのでただ見守るしかなかった。
凄惨な虐待は何年にも及んだ。
その虐待の凄まじさはかなりのもので、クーパーの姉は自殺を考える程であった。
また、クーパーと2人の姉妹は父親を殺す計画を真剣に議論した事もあった。
そんな生活の中、クーパーがまともに育つはずもなく、完全に性格が歪んでしまう。
そして、クーパーは若い頃から常習的な犯罪を繰り返すようになる。
1999年、クーパーは犯罪を犯して逮捕されると、刑務所から逃亡を図った。
2006年5月12日、クーパーはオッサマ・ハジ=フセイン (43歳♂) を射殺する。
同年6月3日、クーパーはリロイ・ジャニガン (41歳♂) を射殺する。
2007年4月27日、クーパーはティモシー・バーンウェル (34歳♂) を射殺する。
同年10月12日、クーパーはリッキー・ハイ (48歳♂) を射殺する。
同年10月14日、クーパーはタリク・フセイン (52歳♂) を射殺する。
クーパーによる殺人は全て強盗目的であった。
同年11月21日、クーパーは銀行強盗を行う。
そして、逃亡するも警察の追跡にあい、クーパーは逮捕された。
逮捕されたクーパーだったが、銀行強盗の時に使用した9mmのルガー銃を調べた所、5件の未解決事件の際に使用された銃と同じ物だという事が判明する。
その事をクーパーに突きつけると、クーパーは5件の殺人を認めた。
クーパーは第一級謀殺で起訴された。
裁判が開かれると、クーパーの母親や姉妹が出廷し、証言台に立つとクーパーの生い立ちについて供述した。
クーパーの姉シャーリーン・マッコイは、父親との生活を「地獄」だと語った上で
「悪魔と一緒に住んでいるようだった」
と語った。
また、
「家に帰ると (父親が) 怒った次の日はどうなるか想像もつかなかった」
とも語った。
妹ダイアンは、
「兄が12、3歳の時、父親が野球のバットで執拗に殴り、あまりの酷さに救急車を呼んだ。もし、あの時、救急車を呼ばずに父から逃がれる事が出来なかったら兄は間違いなく殺されていた」
と供述した。
また、ダイアンは
「兄に対する暴行が続く中、兄は明らかに性格が変わっていった。年を取るにつれ兄は孤立していき父からの暴力にも泣かなくなった。それが余計父を怒らせ暴力が増した」
と語った。
母親ジャクリーンは、
「サミー (クーパー) は夫に暴力を受け、私の名前を呼んで助けを求めた。けど、私は助ける事が出来ず無力だった」
と語った。
更に母親はクーパーが父親から最悪の暴行を受けていたと話し、
「私たち家族は全員暴行を受けたが、サミーが最も殴られた」
と証言した。
クーパーは裁判ではほとんど感情を露にする事はなかったが、母親の証言には涙を浮かべ、手で涙を拭った。
クーパーの弁護側はこれら家族の証言を元に情状酌量を求めた。
しかし、検察官はクーパーの事を
「彼は被害者ではなく、冷血な殺人犯である」
と述べた。
2010年4月6日、クーパーは5件の殺人で有罪判決が下された。
同年4月20日、クーパーには仮釈放の可能性がない終身刑が言い渡された。
∽ 総評 ∽
凄惨な虐待を受けた結果、異常者となり5人を殺害したクーパー。
クーパーは家族の証言通り、幼少の頃の父親からの凄惨な虐待により性格が歪み異常者となってしまった。
アメリカでは以前から何人も紹介している通り、虐待により性格が歪み、殺人鬼となる事が非常に多い。
アメリカでは第一級謀殺で有罪判決となった場合、死刑も当たり前なので、このクーパーに下された終身刑というのは生い立ちが考慮されたとみていいだろう (クーパーが殺人を犯したノースカロライナ州は死刑が存在する) 。
どんな生い立ちだろうが罪は罪であり、生い立ちが可哀想だからと減刑にするのは個人的にはあまり賛成出来ない。
被害者は相手が誰だろうとやられた事は一緒であり、被害者側は相手の生い立ちやバックボーン等どうでもいいし、関係ない。
ただ、このクーパーにされた虐待はかなり過酷で凄惨なものだった。
家族が証言している通り、実際は相当なものでクーパーは異常者になるべくしてなったと言えるだろう。
クーパーの父親についてのその後の記載がなかったのでわからないが、父親もクーパーと同罪でもいいと思う。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★☆☆☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・特異性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・殺人数 5人
《犯行期間:2006年5月12日~2007年10月14日》
コメント
コメント一覧 (9)
今回のケースはそもそもの原因は父親にあるでしょう。虐待した親も裁いて欲しいものです。
被害者が中年の男性ばかりなのは父親に対する恨みが根底にあったからでしょうか。
こういう事件があるといつも思うのですが、こんなにも虐待する父親なのに、4人も子供作ってる母親も理解できない。けっこう虐待親は子沢山なこと多い。家庭内レイプが横行してそうだけど、なぜ逃げないんだろう。こういう生活が続くと逃げるという選択肢すら思い浮かばなくなってしまうのだろうか。
多いですね。
毎日記事を書いていて嫌気がさすくらいの多さですよ。
アメリカは家族とかを大事にする一方こういった虐待も非常に多い。
仰る通りそれはあったかもしれませんね。
標的はか弱い女性を狙った方が上手くいく確率が高まるはずなのに、あえて中年の男性服ばかり狙ってますし。
>さかもとさん
私も生い立ちには同情しますが、だからと言って罪が軽くなるというのは違うと思います。
詳細はなかったですが、彼の姉と妹弟は異常者にはなってませんし。
子供というのは1人で生きていけませんからね。
環境がどんなに地獄でもそこに居続けるしかないのかもしれません。
そして主様のコメントに少し俺の意見を
やはり逃げるという選択肢を考えてはいるものの探し出されて見付かったときに何をされるか分からないと言う恐怖心も有るのではないでしょうか
父親が逃げたら殺すとかのそう言う躾を加えたとしたらそう思うのかもしれませんが
いつも拝見して頂いているという事で、誠にありがとうございます。
恐怖は間違いなくあったでしょうね。
何せ怒ったら次の日どうなっているか想像もつかないくらいですからね。
もしかしたら怖過ぎて逃げるという選択肢は最初っからなかったかもしれませんね。
虐待で異常者になったケースは多いですね。
ある人は多重人格者。
ある者は虐待の張本人に死刑にしてほしいと言われ。
父親の責任は問われないのですかね。
多いですね。
子供の頃に虐待されると、感情を司る前頭葉の部分の成長が遅れ萎縮するそうです。
その為、良心の欠落した異常者が誕生してしまうようです。
残念ながら父親は子供の虐待で裁かれる事はないでしょうね。
私も気になったんですが、残念ながら詳細はなかったですね。