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パトリック・バクスター (アメリカ)
【1969 ~ 】



1987年6月6日、アメリカ・ニューヨーク州ウェストチェスター郡ヨンカーズで、ミシェル・ウォーカー (14歳♀) が殺害される。

ウォーカーは暴行を受け、強姦された後、首を絞められて絞殺されていた。


1988年6月6日、ウォーカー殺害から丁度1年後、同じくヨンカーズでパトリシア・イングランド (19歳♀) が殺害される。

イングランドはグリーンバーグの森林地帯でバラバラにされていた。

イングランドは全裸ではなかったが部分的に服が脱がされており、強姦されていた。

当初、イングランドの元ボーイフレンドが疑われたが、現場に残された精液のDNAと元ボーイフレンドのDNAが一致せず、無実である事がわかった。


1990年7月17日、医療事務の受付をしているリサ・ギベンス (25歳♀) は、仕事に向かう為に午前8時頃家を出た。

ギベンスは普段利用しているクレストウッド鉄道駅に向かっている途中で姿を消した。

そして、1時間後、ギベンスの死体が発見される。

ギベンスは強姦され、その後、後頭部を撃たれて殺害されていた。

また、ギベンスの財布が盗まれ紛失していた。

このギベンス殺害もボーイフレンドが当初疑われたが、DNA検査により無実が証明された。


警察は捜査を進めていたが、当初は3件の殺人は同一犯によるものとは考えていなかった。

犠牲者の年齢や人種、殺害方法等に共通点がほとんどなかったからだった。

目撃者もいなかった為、犯人逮捕に至らず未解決事件となってしまう。

警察は1977年にニューヨークを震撼させた『サムの息子』ことデイヴィッド・バーコウィッツ以来の陰惨な殺害事件とした。

また、この殺人事件はウェストチェスター郡で最も古い未解決事件とされた。


事件はこのまま迷宮入りするかと思われたが、1997年4月8日、一連の殺人事件の犯人が逮捕される。

犯人はパトリック・バクスター (1969年4月28日生まれ) という自動車修理業の男性であった。

バクスターは18歳になった頃から比較的犯罪の少ない静かな地域に住んでいたが、殺人を行った1990年以降、様々な軽犯罪や重罪を犯し、何度も刑務所に入っていた。

イングランド殺害で当初疑われた元ボーイフレンドは、実はバクスターと同じ職場で働いており、しかも、友人であった事がわかった。

逮捕されたバクスターの血液を採取すると、殺害された3人に残された精液のDNAと一致した。


裁判でバクスターはウォーカーら3人の殺害で有罪判決が下され、2002年7月、バクスターには懲役75年を含む終身刑が言い渡された。

このバクスターによる連続殺人は、前述した通りニューヨーク州としてはバーコウィッツ以来、ウェストチェスター郡においては最も陰惨な事件の1つとされている。



《殺人数》
3人
(他犯罪多数)

《犯行期間》
1987年6月6日~1990年7月17日




∽ 総評 ∽

18歳から殺人を行い、合計3人殺害したバクスター。

バクスターの事件は、前述した通りニューヨーク州としてはあのバーコウィッツの事件以来、ウェストチェスター郡としては最も凶悪な事件とされた。

世界の約70%の連続殺人を占めるアメリカにおいて、このバクスターの事件はこれまで掲載してきた歴代の殺人鬼と比べてもさして珍しくもない。

そんなアメリカでも、犯罪が全米隅々で行われているわけではなく、平穏でのどかな場所も多く、このウェストチェスター郡もそうであった。

その為、近隣住民はこのバクスターの事件に震撼したのだった。

バクスターは18歳という年齢で殺人を行い、殺人後も犯罪まみれの人生を送った。

バクスターが何故、これほど異常になったか詳細がない為わからないが、恐らく幼い頃の家庭環境ですでに破綻していたと思われる。

バクスターの犯行は殺害方法が絞殺だったり射殺だったりとこだわりがなく、その為、同一犯による犯行だとは思われず、最初の犯行から約10年間捕まる事がなかった。

バクスターが犯人として捕まらなかったからだが、犠牲者のボーイフレンドが疑われるというのは気の毒で仕方ない。

もちろん、そういうパターンも非常に多いが、もっと慎重な捜査を行って欲しいものである。