趙 志紅 (ヂャオ・ヂーホン 中国)
【 1972 ~ 2019 】
1996年4月9日、中国・内蒙古自治区で、若い女性が公衆トイレに連れ込まれ、強姦され殺害される。
その夜、呼格吉勒図 (フーグェァジーラトゥ) が女性殺害により逮捕される。
呼格吉勒図は無実を主張する。
しかし、警察は犯人だと決めつけ、拷問を加えて自白を促す。
呼格吉勒図はあまりに激しい拷問の末、自分がやったと嘘の自白をしてしまう。
同年6月10日、裁判で呼格吉勒図は死刑が言い渡された。
呼格吉勒図の両親も息子の無実を裁判所に訴えたが聞き入れられず、呼格吉勒図は死刑確定からすぐに死刑が執行された (いつ執行されたかは不明。死刑が執行された際、呼格吉勒図は18歳であった) 。
しかし、呼格吉勒図が処刑されたが、同様の犯行が内蒙古自治区で続いた。
2005年1月2日、女性が行方不明となり、死体が同年1月7日に発見された。
警察は捜査を進めるが、犯人逮捕には至らず、同年2月25日、再び女性の死体が発見された。
警察は犯人逮捕に繋がる有力な情報提供者には20万元 (約2600万円) という破格の報酬金を提示した。
警察は2000年5月20日に発生した強盗と強姦事件の有力な容疑者であった内蒙古自治区烏蘭察布市涼城縣永興鎮出身の趙志紅 (1972年9月5日生まれ) が、一連の殺人事件の犯人と断定した。
そして、2005年10月23日、捜査の手が自分に進められていると知った趙は警察に自首し、その場で逮捕された。
逮捕された趙は1996年4月から2005年7月の間、強盗や強姦、殺人等の犯罪を最低27件犯した。
その内、殺人が10件、強姦が13件、殺人未遂や強盗等が4件であり、被害者は全員女性であった。
しかし、趙は呼格吉勒図が犯人とされて処刑された強姦殺人事件の犯人である事がわかる。
この趙の自白により呼格吉勒図が冤罪である事が判明した。
趙の裁判が開かれたが、趙の裁判は10年の長きに渡った。
その間、趙は政治的権利の剥奪、53000元 (約106万円) の罰金と、被害者への102768元 (約200万円) の支払いを命じられた。
呼格吉勒図の両親は息子の無罪を9年間訴え続けた。
2014年12月15日、呼格吉勒図の再審が認められ、無罪が言い渡された。
冤罪が確定した呼格吉勒図の両親には205万元 (約4100万円) が支払われる事となった。
2015年1月5日、趙の裁判が再開し、中国国民はその裁判に注目したが、午後から行われた裁判が非公開となった。
同年2月9日、趙には死刑が言い渡された。
死刑を言い渡された趙は、自首している事を主張し、刑を軽くしてくれるよう求め、すぐに上告した。
同年4月30日、趙の上告は棄却され、死刑が確定した。
裁判官は趙に対し、
「私は寛大な処罰を与える事を拒否する。彼の動機は残酷で卑劣、世間に与えた影響は甚だ深刻である」
と述べ、趙の行いを痛烈に非難した。
呼格吉勒図の両親はほぼ、毎日裁判所を訪れ、無実を訴え続けた。
しかし、そんな両親に対し、裁判所は中に入れもせず、門前払いした。
呼格吉勒図の無実が確定してから、呼格吉勒図の両親は病院での点滴を止め、長男に付き添われ趙の裁判の傍聴に訪れていた。
呼格吉勒図の父親は
「息子の無実は晴れたが複雑な心境だ」
と語り、母親は
「私たちの息子が最後の冤罪事件となって欲しい。今後、2度とこのような事が起きない事を願います」
と涙ながらに語った。
2019年7月30日、趙の死刑が執行された。
∽ 総評 ∽
『微笑殺手 (英名は『The Smiling Killer (笑顔の殺人鬼) 』) 』または『殺人狂魔 (狂った殺人鬼) 』と呼ばれ、10人の少女や女性を殺害した趙。
中国の死刑執行の早さは、以前何人も紹介している通り群を抜いている。
死刑が早いのは私は賛成で、日本でも法律上は死刑確定から半年以内に執行しなければいけない (ただ、現実は法務大臣が死刑を躊躇し、数年から数十年は執行されない) 。
死刑執行が早い事で起こるリスクは、この呼格吉勒図のように冤罪である。
正直、中国のように死刑が早くなければ、恐らく彼は死なずに済んだ可能性が高い。
私も冤罪には注意しなければいけないと思うが、だからといって死刑の執行を躊躇してはいけないと思う。
冤罪の可能性もなく本人が犯行を認めているのならさっさと執行すべきだ。
呼格吉勒図の両親は、常に子供は犯人ではない、犯人は別にいると訴え続けていた。
そして、実際に別の犯人が逮捕された時のショックは察するにあまりある。
冤罪は古今東西どこでも起こっている事ではあり、誰もがその被害者になる可能性があるが、何とかならないものかと思う。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★☆☆☆
・特異性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・殺人数 10人 (他犯罪多数)
《犯行期間:1996年4月9日~2005年7月》
∽ 総評 ∽
『微笑殺手 (英名は『The Smiling Killer (笑顔の殺人鬼) 』) 』または『殺人狂魔 (狂った殺人鬼) 』と呼ばれ、10人の少女や女性を殺害した趙。
中国の死刑執行の早さは、以前何人も紹介している通り群を抜いている。
死刑が早いのは私は賛成で、日本でも法律上は死刑確定から半年以内に執行しなければいけない (ただ、現実は法務大臣が死刑を躊躇し、数年から数十年は執行されない) 。
死刑執行が早い事で起こるリスクは、この呼格吉勒図のように冤罪である。
正直、中国のように死刑が早くなければ、恐らく彼は死なずに済んだ可能性が高い。
私も冤罪には注意しなければいけないと思うが、だからといって死刑の執行を躊躇してはいけないと思う。
冤罪の可能性もなく本人が犯行を認めているのならさっさと執行すべきだ。
呼格吉勒図の両親は、常に子供は犯人ではない、犯人は別にいると訴え続けていた。
そして、実際に別の犯人が逮捕された時のショックは察するにあまりある。
冤罪は古今東西どこでも起こっている事ではあり、誰もがその被害者になる可能性があるが、何とかならないものかと思う。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★☆☆☆
・特異性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・殺人数 10人 (他犯罪多数)
《犯行期間:1996年4月9日~2005年7月》
コメント
コメント一覧 (15)
しかしこの犯人悪びれもせず、自首したのだから刑を軽くしてくれとは……。そう判決下されたならまだしも自分で言うか? ふざけんなですよ。
冤罪事件は多いですね。
死刑執行が早い事自体は問題ないと思うのですが、本人が犯行を否定しいたり、明らかに他にいるんじゃないか?という時は執行してはいけません。
それを利用してわざと判決を引き延ばしてくる犯人も沢山出てくると思いますが、それは仕方ないですね。
大体人種差別は中国とアメリカだけで、軽く、百科事典が作れる。
>しかし、警察は犯人だと決めつけ、拷問を加えて自白を促す。
呼格吉勒図はあまりに激しい拷問の末、自分がやったと嘘の自白をしてしまう。
岡田英弘さんの本を読んだことが有りますけど
中国で自白=有罪(死) らしいです
劉少奇は文化大革命で死にましたけど、死刑じゃなくて拷問で死んだんです。
毛沢東は死刑したかったのだろうけど自白しなかったからできなかったんですね。
本物の凶悪犯が判明した後
>趙の裁判が開かれたが、趙の裁判は10年の長きに渡った。
要するに
実際免罪は認めたくなかったと。
そして死刑。免罪で死ぬ人が多いというのは人の命の価値がこの国は低いのですかね。
もし趙 志紅が金持ちか、共産党員の御曹司だったら死刑にならなかったのかも。
なぜそう書けるのかというと、強姦事件の話ですがね、大紀元に日本ではあり得ない記事がありましたので。下がそのURL
https://www.google.co.jp/url?sa=t&source=web&rct=j&url=http://www.epochtimes.jp/jp/2013/07/html/d30817.html&ved=0ahUKEwjkgpm7k8TSAhUDTbwKHRy5Ds4QFggkMAM&usg=AFQjCNEJXLSkJsGM8224EZNHi17IBdOd2Q&sig2=bYufP28vzPJ0g046EogvoA
詳細はなかったですが、モンゴル人の可能性はありますね。
中国も差別は酷いと聞いた事ありますが、そんなに凄いんですね。
まあ中国は太古より「漢民族」以外を人間とみなしてなかったですからね。
なるほど、そう考えると10年の長きに渡ったのも頷けますね。
私が思うに裁判員制度は日本には不向きだと思います。
日本の裁判は起訴された時点で99%有罪が確定するので、裁判員の意味がほとんどありません。
冤罪は0にする事は不可能だと思いますが、限りなく0に近づける事は決して不可能ではありません。
特にこの事例のような本人が無罪を主張している場合は、時間をかけて証拠を導き出すようにすべきだと思います。
そうですね。
拷問で吐かせて「はい執行」という国ですから冤罪も当然うまれますよ。
私たちも含め中国は今や「世界の工場」ですからね。
仰る通り何か複雑ですよね。
ずさんな司法の犠牲になってしまった彼とその被害者に心からお悔やみを申し上げます。
聞いた事ない名前ですね。
今度調べてみます。
1924年から1951年までモンゴル人民共和国の大統領で、多数の人民を「敵国のスパイ」という理由で処刑しました。
モンゴルにも独裁者がいたんですね。
初めて知りました。
今度調べてみたいと思います。
真犯人が処刑されたのは喜ばしいですが 息子の冤罪は晴れても、もうこの世にはいない遺族の悲しみを考えると決してスッキリした結末では無いなと思いました
私は死刑には賛成な方ですが、こんな拷問した挙句無理矢理自白させた挙句、処刑するのは支持できませんね
こういった悲劇が二度と起きないことを、祈ります
そうですね。
私は日頃から死刑判決即執行を唱えていますが、それは本人も認め証拠もあり確実な場合です。
冤罪の可能性があるなら当然執行してはいけません。
今回の場合は口封じの意味も込めてさっさと執行したのでしょうけど、あまりに酷いですね。