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ポール・リード (アメリカ)
【1957 ~ 2013】



ポール・デニス・リードは、1957年10月12日、アメリカで生まれた。


リード5歳の時、煉瓦で頭を殴られ、脳にダメージを負った。


リード7歳の時、脳に受けたダメージの影響で、リードは脳障害に苦しむようになる。


1971年、リード13歳の時、自転車事故を起こし、頭蓋骨骨折の重傷を負い、再び頭部にダメージを受けた。


その後、リードは就職するが、職場で足を滑らせ再び頭部を強く打ってしまう。


1983年、リードはテキサス州ヒューストンにあるステーキハウスを武装強盗し、逮捕され懲役20年が言い渡された。


1990年、リードは刑期を7年務めた後、仮釈放となり出所した。


同年、リードは今度は自動車事故を起こしてしまい、またも頭を強打する。

この事故により、リードは脳震盪と意識障害を起こしてしまう。


1997年5月、リードの父親が死んでしまう。

リードは父親の葬式に参列するが、シャツやパンツ、テニスシューズという葬式には相応しくない格好で参列し、姉に帰れと言われた。

この時、すでにリードは言動に奇行が目立つようになっていた。

診察を受けたリードは、
「認知障害、反社会的人格障害、妄想型統合失調症」
と診断されている。


1997年2月15日、リードは働いていた職場を解雇される。

癇癪を起こしたリードが、同僚に対して皿を投げつけた為であった。


同年2月16日朝、リードはテネシー州ドネルソンのレバノン通りにある『キャプテンD's』という店を訪ねた。

店はまだ開店前だったが、リードは店で働きたいと話し、店の中に入った。

店に入ったリードはマネージャーのスティーブ・ハンプトン (25歳♂) と従業員のサラ・ジャクソン (16歳♀) を脅し縛った。

そして、2人に床に伏せるように指示し、その後、殺害した。

その間、リードは店のレジから現金を盗み、そのまま逃走した。

リードはその盗んだお金を車の資金にあてた。


同年3月23日夕方、リードはレバノン通りにある閉店した『マクドナルド (『キャプテンD's』から約5km離れた場所) 』の裏口で後片付けしていた2人の従業員に銃を突き付け、脅して店内に押し入った。

そして、アンドレア・ブラウン (17歳♂) とロナルド・サンチァゴ (27歳♂) 、ロバート・A・シューウェル (23歳♂) の3人の従業員を倉庫に連れ込み、射殺した。

その後、別の従業員ホセ・アントニオ・ゴンザレスも撃とうとするが、銃が故障してしまった為、リードはナイフで17回刺した。

リードは全員を殺したと判断すると、レジから3000ドル (約36万円) を奪って逃走した。

だが、17回刺されたゴンザレスは生きており、警察にリードの事を告げた。


同年4月23日夕方、リードはテネシー州クラークスビルで閉店間際の『バスキン・ロビンス (日本ではサーティワンアイスクリーム) 』を襲い、従業員のアンジェラ・ホームズ (21歳♀) とミシェル・メイス (16歳♀) の2人を誘拐する。

そして、ダンバー・ケーブ州立公園に連れて行き、2人の喉を切り裂いて殺害した。

最後は2人の死体を公園内にある湖に投げ捨てた。

2人の死体は翌日、湖に浮かんでいる所を発見された。


同年6月、リードは自身を解雇した職場の上司ロバーツの家に向かう。

リードは銃をポケットに忍ばせており、ロバーツを殺害しようと考えていた。

ロバーツの娘が玄関に出て来たが、ロバーツの妻がリードの雰囲気に異常さを感じ、妻はロバーツにリードを外に連れ出すよう話す。

ロバーツも銃を取り出し、玄関から外に出るとリードに銃を突きつけた。

しかし、リードが銃を持った事に気付き、ロバーツはリードに向かって1発撃った。

そして、玄関に戻りドアを閉めて鍵を掛けた。

玄関に戻る際、ロバーツもリードに背中から1発撃たれるが、運よく当たらなかった。


リードは逃走したが、同年6月25日、逮捕された。


裁判が開かれると、リードの弁護側はリードの精神状態を主張し、情状酌量を求めた。

しかし、リードは7件の殺人全てで有罪判決が下された。


1999年9月22日、リードには7つ分の死刑が言い渡された。

この7つの死刑判決というのは、テネシー州において1人に下されたものとしては史上最多であった。


リードの死刑執行日が2008年1月3日に設定された。

しかし、リードの精神状態やIQの低さが物議を醸した。

その為、リードの死刑執行は延長される事となり、結局、現在まで死刑は執行されていない。

また、実はリードは1993年1月8日に発生した未解決事件『Brown's Chicken massacre (ブラウンのチキン虐殺) 』の有力な犯人とされていた (この当時、事件はまだ解決していなかった) 。

リードはファーストフード店ばかりを襲撃していた為、『The Fast Food Killer (ファーストフード殺人者) 』と呼ばれており、この未解決事件もリードの犯行だと思われた。

しかし、結局、リードによる犯行は否定され、後に別の人間が逮捕され解決した (事件については以前掲載したのでそちらを参照) 。

また、1980年にテキサス州ヒューストンのボウリング場で発生した3人殺害事件に関してもリードとされた (すでに犯人は逮捕されていたのだが、本人が犯行を否定していた) 。


2013年11月1日、体調を崩したリードは、2週間前からナッシュビル総合病院に入院していたが、肺炎からくる心不全の合併症により死去した。

享年55歳。



∽ 総評 ∽

『The Fast Food Killer』と呼ばれ、強盗目的でファーストフード店ばかりを襲撃し、7人殺害したリード。

これまで色々な殺人鬼を紹介してきたが、殺害方法や相手にこだわるシリアルキラーは多い。

だが、その中でもファーストフード店ばかりを襲撃するというのはリスクを考えると非常に珍しいと言える。

リードは何度も頭部にダメージを受け、それがレイドを異常にしたのは疑いない事実だと思われる。

これほど何度も頭を打つというのは故意にぶつけていると思えてくる程だ (事故なので故意ではないが) 。

正直、診察した医師も何らかの対処を行ってもよかったのではと思える。

レイドはファーストフードを襲撃したが、開店前や閉店間際を狙うといった計画的で用意周到に事を起こした。

犯行を見る限り、IQが低く精神障害に苦しんでいたという事に疑問が残る。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★☆☆☆
・残虐度 ★★★★★★☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★☆☆☆☆
・殺人数 7人

《犯行期間:1997年2月16日~同年4月23日》