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アルバート・フィッシュ (アメリカ)
【1870 ~ 1936】



フィッシュの裁判が開かれた。

検察側が
「フィッシュに強姦された子供たちは最低でも100人以上に上る」
と話すと、陪審員は驚きのあまり言葉を失った。

数人の陪審員はフィッシュの雰囲気を見ていてとてもそんな犯罪者には見えないと、冤罪に加担出来ないという理由で陪審を回避した者もいた。

しかし、結局、フィッシュは死刑が言い渡された。

判決を告げられると、フィッシュは

「電気椅子というのはどんな風になるのか。何しろ一生に一度しか味わえない事だから、今が人生で一番わくわくしているよ」

とその心境を語った。

フィッシュはすぐにシンシア刑務所に移送されたが、その護送中、殺人罪で逮捕されたストーンという男と一緒だった。

フィッシュはストーンと意気投合し、

「俺達はアメリカ革命にひと役買った」

と自慢気に話しをしていた。

フィッシュの息子アルバートは、当時の父親の奇行について語った。

ある時、アルバートが家に帰ると、フィッシュが全裸になって鋲を打ち込んだ板で自身の尻を叩き、血まみれになりながらも快感に悶えていたと、当時の様子を話した。

フィッシュは服役中、一切の反省を示さず、懺悔の時間ですら自慰行為に耽り、注意を受けた事もあった。


1936年1月16日、ついにフィッシュの死刑が執行される日がやってきた。

フィッシュのスペシャル・ミール (最後の特別な食事) は、Tボーン・ステーキのみだった。

フィッシュは電気椅子に腰掛けると、

「何故、自分がここにいるのかわからない」

と呟いた。

頭を剃られ、全身を固定されたフィッシュは肌に触れたベルトをしきりに気にした。

そして、マスクで顔を覆われると、

「何も見えないよ」

とこぼした。

執行人が
「ここには見えるものなんてないよ」
と答えると、フィッシュは何も発しなかったが、静かに微笑んだ。

享年66歳。

通常、電気椅子による死刑は3分もあれば終わると言われている。

だが、噂ではフィッシュの死刑は体内に残されていた多くの針等によって回路がショートして機械がストップし、頭から煙を立てたフィッシュが笑っていたとか、青い火花が両目から噴き出したという噂が広まった (あくまでも噂話。しかし、この噂が広がると、処刑を故意に中止させようと金属を飲む死刑囚が続出した) 。

この66歳というのは、当時のアメリカにおける死刑が執行された囚人としては最高齢であった (その後、記録は破られ、2005年12月14日に死刑が執行されたジョン・ニクソンは執行当時77歳と8ヶ月というのを記録した。ただ、ニクソンは致死量の注射による執行であり、電気椅子に限っては未だにフィッシュが最高齢記録) 。

また、執行されはしなかったが、死刑囚としての最高齢は、以前掲載したヴィバ・ナッシュの94歳であった (2010年当時) 。


⑤に続く