ジェイニー・ギブス (アメリカ)
【1932 ~ 2010】
旧姓ジェイニー・ルー・ヒコックスは、1932年12月25日、アメリカ・ジョージア州で生まれた。
1949年、ジェイニー16歳の時、チャールズ・クレイトン・ギブスと結婚する。
そして、ジェイニーは長男ロジャー・ルディーン、次男メルヴィン・ワティス、三男マーヴィン・ロナルドを生んだ。
1966年1月21日、夫チャールズが39歳という若さで死亡する。
チャールズは以前、肝臓を患っており、それが死因だとされた。
同年8月29日、今度は三男のマーヴィンが死亡する。
この時、マーヴィンは13歳であった。
1967年1月23日、次男のメルヴィンが死亡する。
メルヴィンはこの時16歳であった。
ジェイニーは夫と2人の子供の死により、3万1000ドル (約1億1000万円) の保険金を手にした。
そして、ジェイニーは保険金の1割を教会に寄付した。
この時点で家族の唯一の生き残りは長男のロジャーだけであったが、ロジャーは結婚し、同年8月、ロジャーは子供ロニー・エドワードが生まれる。
ジェイニーからすれば初孫であったが、その初孫も同年10月28日、わずか生後6週間で死亡してしまう。
そして、最後に残ったロジャーも同年12月24日、胃痛に襲われ死亡してしまう。
この時、ロジャーは19歳であった。
ロジャーの死によりさすがに疑問を抱いたロジャーの妻は、すぐに夫の検死を要求し、検死を行うと体内から大量のヒ素が発見された。
これを受けジェイニーは逮捕された。
ジェイニーは相次ぐ身内の死に普通は疑われてもしょうがない状況だったのだが、保険金の一部を寄付した事や、隣人達にはとてもそのような母親には思えなかった為、当初は全く疑われる事がなかった。
その後、他の家族の検死解剖も行われると、同じくヒ素が発見され、全員がジェイニーに殺害された事が判明した。
また、ジェイニーは家族の1人に殺鼠剤を使用した事も認めた。
1968年2月、ジェイニーは裁判をまともに受けられる精神状態ではないとされ、1976年までの精神病院への入院を命じられた。
1976年、完治したとされ、ジェイニーは改めて裁判を受ける事となり、5人の殺害により終身刑が言い渡された。
後年、ジェイニーはパーキンソン病を患い、病気に苦しんだ。
1999年4月、ジェイニーは17回目の仮釈放申請が通り、仮釈放される事となった。
2010年2月7日、ジョージア州ダグラスヴィルの老人ホームにいたジェイニーは死去する。
後年はパーキンソン病が悪化し、車椅子生活であったジェイニーは享年77歳であった。
∽ 総評 ∽
保険金目当てに夫や子供、孫まで殺したジェイニー。
これまで夫や子供を次々と殺害する母親を何人も紹介してきた。
その場合、大抵が保険金目当てや代理ミュンヒハウゼン症候群の事が多かった。
このジェイニーもおそらく保険金目当てだと思われるが (何故、おそらくかというと全員ではないから) 、ジェイニーが少し異質なのは、殺害した年齢だ。
孫は生後6週間であるが、自身の子供は最低でも全員を13歳以上に育てており、通常、保険金目当てや代理ミュンヒハウゼン症候群の場合、生まれて間もない赤ん坊か数歳くらいまでに殺害するのが基本だ。
ジェイニーのようにここまで育て上げてから殺害するというのは非常に珍しい。
ジェイニーは刑務所を仮釈放されているが、おそらく年齢と病気が考慮されての事だと思われる。
ジェイニーは後年、パーキンソン病により車椅子となり、老人ホームで静かに死んでいった。
子供や孫がいたならば、おそらく家族に見送られ幸せな最後を迎える事が出来たであろう。
死ぬ間際、ジェイニーは一体何を思ったのであろうか。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★★☆☆☆
・殺人数 5人
《犯行期間:1966年1月21日~1967年12月24日》
コメント
コメント一覧 (6)
確かに自業自得ですね。
総評で死ぬ時に何を思ったのかと言いましたが、おそらく彼女は後悔などしてないと思うので何も思わなかったでしょう。
動機も殺害方法も女性特有という感じですね。
自分のさじ加減でどうにでもなる方法なので当初は保険金目当てだったかもですが、彼女は毒殺の魅力にとりつかれていたのかもしれません。
小説や映画では復讐の為に毒を盛るというケースはありますが、実際の殺人で毒が使われるときは保険金絡みか自分の実験欲をみたすためというのが殆どな気がします。あくまで個人的な考えですが、毒殺というのは一番我欲にまみれた殺し方ではないでしょうか。
本当ですね。
まるで義務感のように殺害しています。
仰る通り動機は女性特有という感じを受けますね。
毒殺の魅力にとりつかれた可能性はありますね。
なるほど、確かに毒殺の特殊性を考えると最も欲深い殺害方法かもしれませんね。
子供の反抗期が「愛する我が子」を「コントロール不能なモンスター」視させた可能性もありますね。
なるほど、確かにそのような考え方も出来ますね。
そうでもない限り13歳まで育ててから殺害する意味がわからないです。