ドナート・ビランチャ (イタリア)
【 1951 ~ 2020 】
1951年7月10日、イタリア・ポテンツァでビランチャは生まれた。
家族は当初はイタリア・アスティで生活していたが、その後、1956年にリグーリア州ジェノヴァに移動した。
ビランチャは両親に厳しく育てられた。
そんなビランチャは夜尿症 (おねしょ) に悩み、それを両親によく怒られた。
また、その頃にビランチャは列車のトイレの中で、子供の糞尿を丁寧に片付けている母親の姿を目撃する。
普段厳しい母親がトイレの汚物を片付ける姿を見たビランチャは、母親の愛と憎しみをトイレに見出だし、トイレに対する倒錯した感情を抱くようになる。
ビランチャ15歳の時、罪を犯し、初めて逮捕されている。
1972年、ビランチャは交通事故に遭っている。
1974年には窃盗で再び逮捕された。
1976年、更にビランチャは強盗で逮捕され、その後、刑務所に収監されたビランチャは脱獄する。
その後、ビランチャはギャンブルにのめり込んでいく。
この時、ビランチャは「ウォルター」と名乗っており、ギャンブルの世界ではその名を知らぬ者はいないほど有名であった。
1987年、ビランチャの弟マイケルが、ビランチャの4歳の幼い息子を抱いて列車に身を投げ自殺してしまう。
この事がビランチャの精神をついに破綻に導いてしまう。
1990年、ビランチャは再び自動車事故に遭い、重傷を負ってしまう。
この時もビランチャは数日間昏睡状態となった。
1997年10月16日、ビランチャはジョルジョ・センテナーロ (♂) を殺害する。
ビランチャはセンテナーロの自宅で粘着テープをぐるぐる巻きにして絞め殺した。
警察はセンテナーロの死因を心臓麻痺として事件性はないとした。
そもそもビランチャがセンテナーロを殺害した理由は、ギャンブルでセンテナーロがいかさまをし、ビランチャの顔に泥を塗った為であった。
同年10月24日、ビランチャはマウリッチオ・パレンティ (♂) とその妻カーラ・スコットを殺害するのだが、夫妻を殺害した理由は、センテナーロに顔に泥を塗られた際、夫妻も協力したと信じた為であった (実際夫妻は何の関係もなかった) 。
ビランチャは家から1300万イタリア・リラ (約100万円) と、家具を奪って家を去った。
同年10月27日、ビランチャはブルーノ・ソラーリ (♂) とその妻マリア・ルイジア・ピットの家に強盗に入る。
ビランチャはまず家の中から金品を奪い、その後、ゆっくりと夫妻を殺害した。
同年11月13日、ヴァンティミリアにある両替商 (両替商とは両替および金融を主な業務とする商店やその人を指す) に押し入り、その店の店主ルチアーノ・マーロウ (♂) を殺害する。
そして、4500万イタリア・リラ (約300万円) を奪って逃走する。
1998年1月25日、ビランチャはジェノヴァで警備員のジョルジオ・カニュ (♂) を殺害する。
カニュは宝石店等の警備員ではなかったが、殺害された理由は、ビランチャが日頃から抱いていた「警察への復讐」であった。
同年3月9日、ビランチャは売春婦のステラ・ツルヤを射殺する。
同年3月18日、ビランチャは売春婦のリュドミラ・ズブソコワを頭部を撃って射殺する。
同年3月20日、ビランチャは再び別の両替商に強盗に押し入り、店主のエンツォ・ゴルニ (♂) を殺害する。
ビランチャは車で逃走したのだが、ゴルニの弟に姿を目撃されている。
同年3月24日、ビランチャは性転換者のロレーヌを殺害しようとするが、ロレーヌは地域をパトロールしていた2人の警備員に助けられ、逃げた。
しかし、ビランチャは警備員2人を撃って動きを止めると、執拗にロレーヌを追い掛けた。
そして、追い付いたビランチャはロレーヌの胸を撃って射殺した。
その後、邪魔をした警備員2人の元に戻り、ビランチャに撃たれて倒れていた所を頭部を撃って射殺した。
同年3月29日、ビランチャは売春婦のテッシー・アドーボーを殺害する。
だが、この頃には警察はビランチャの犯行に対するかなりの情報を集めていた。
ビランチャが犯行に使用していた黒いベンツも警察には知られており、ビランチャは犯行手口を変える事にする。
同年4月12日、ビランチャはヴェネチアの列車のトイレでエリザベッタ・ゾペッティ (♀) を射殺する。
同年4月14日、ビランチャは売春婦のクリスティーナ・ヴァラを殺害する。
同年4月18日、ビランチャは列車のトイレでマリア・アンジェラ・ルビーノ (♀) を殺害する。
ビランチャの連続殺人は、マスコミによって大々的に報道され、イタリア全土を震撼させた。
それと同時になかなか逮捕出来ない警察に対して国民は憤りを感じていた (ただし、ビランチャの犯行は場所や相手、殺害方法に特徴がなかった為、プロファイリングがほとんど出来なかった) 。
同年4月21日、ビランチャはガソリンスタンドを襲撃し、従業員のジュゼッペ・ミレット (♂) を殺害した。
しかし、ビランチャが車を替えようと車を試運転したのだが、車は戻って来ず、その車を乗っていたのがビランチャであると断定される。
そして、事件現場付近に捨てられたタバコの吸殻やコーヒーカップから採取したDNAがビランチャのものと一致する。
同年5月6日、ビランチャはついに逮捕された。
そして、ビランチャは尋問の末、これまでの殺人を自白した。
2000年4月12日、裁判でビランチャには13の終身刑が言い渡された。
裁判官は判決を言い渡した後、
「彼は決して解放されてはならない」
と語った。
2020年12月17日、刑務所内でCOVID-19 (新型コロナウイルス感染症) に感染した後死亡した。
享年69歳。
∽ 総評 ∽
『Mostro della Liguria (リグーリア州の怪物) 』、『Serial Killer dei Treni (列車の連続殺人鬼) 』または『Serial Killer delle Prostitute (売春婦連続殺人鬼) 』等と呼ばれ、わずか半年足らずで無差別に17人殺害したビランチャ。
ビランチャがこれほど異常になったのは事故による頭部損傷が原因だと思われる。
ビランチャは強盗目的の殺人、怨恨による殺人、警察を恨んでいた為殺害した警備員、売春婦と相手も多種多様であった。
警察を憎んでいた為に警備員を1人殺害したが、それなら警官を殺害すればいい話だ。
結局の所、ビランチャは警察なら逆襲される畏れがあり、その為に警備員を狙ったに過ぎず、その犯行は身勝手極まりなく救いようがない。
ビランチャは1度殺そうとした相手を徹底的に追いかけ殺害し、また、その際、助けた警備員を撃って動きを止め、わざわざ戻って殺害した。
殺しに関しては異常なまでの徹底さと執念深さを見せており、危険極まりない非情な人間だと言える。
ビランチャは犯行の後半を列車のトイレの中で行ったが、これは前述した通り母親への愛憎によるものだろう。
ビランチャは家族や友人という心を許せる相手が存在せず、唯一仲間と呼べるのはギャンブル仲間だけだった。
しかし、その唯一の味方だと思っていた仲間に裏切られてしまう。
そして、殺害すると、ビランチャは殺人に対してこれ以上ない快感を得たと思われる。
実際、殺人を犯した犯人が、殺人の快感に目覚めたり、気が大きくなり別人のようになる事も多い。
イタリアは死刑がない為、ビランチャの終身刑というのはしょうがないが、こんな人間はさっさと処分するにこした事はない。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★★☆☆☆
・殺人数 17人
《犯行期間:1997年10月16日~1998年4月21日》
∽ 総評 ∽
『Mostro della Liguria (リグーリア州の怪物) 』、『Serial Killer dei Treni (列車の連続殺人鬼) 』または『Serial Killer delle Prostitute (売春婦連続殺人鬼) 』等と呼ばれ、わずか半年足らずで無差別に17人殺害したビランチャ。
ビランチャがこれほど異常になったのは事故による頭部損傷が原因だと思われる。
ビランチャは強盗目的の殺人、怨恨による殺人、警察を恨んでいた為殺害した警備員、売春婦と相手も多種多様であった。
警察を憎んでいた為に警備員を1人殺害したが、それなら警官を殺害すればいい話だ。
結局の所、ビランチャは警察なら逆襲される畏れがあり、その為に警備員を狙ったに過ぎず、その犯行は身勝手極まりなく救いようがない。
ビランチャは1度殺そうとした相手を徹底的に追いかけ殺害し、また、その際、助けた警備員を撃って動きを止め、わざわざ戻って殺害した。
殺しに関しては異常なまでの徹底さと執念深さを見せており、危険極まりない非情な人間だと言える。
ビランチャは犯行の後半を列車のトイレの中で行ったが、これは前述した通り母親への愛憎によるものだろう。
ビランチャは家族や友人という心を許せる相手が存在せず、唯一仲間と呼べるのはギャンブル仲間だけだった。
しかし、その唯一の味方だと思っていた仲間に裏切られてしまう。
そして、殺害すると、ビランチャは殺人に対してこれ以上ない快感を得たと思われる。
実際、殺人を犯した犯人が、殺人の快感に目覚めたり、気が大きくなり別人のようになる事も多い。
イタリアは死刑がない為、ビランチャの終身刑というのはしょうがないが、こんな人間はさっさと処分するにこした事はない。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★★☆☆☆
・殺人数 17人
《犯行期間:1997年10月16日~1998年4月21日》
コメント
コメント一覧 (14)
特に恨みもなさそうな被害者を追いかけてまで殺害するのが異常ですね。個人的に、快楽殺人者は被害者が逃げても『誰でもいいから、また次探せばいいや』って感じであまり標的に固執しないイメージなので。
仰る通りだと思います。
快楽殺人鬼は相手に固執する事はまずありませんね。
相手の種類にこだわる快楽殺人鬼は沢山いますが (年齢・性別・容姿) 、誰々という特定の人にこだわる事はそうはないですから、このビランチャはかなり異常ですね。
そうですね。
全てが悪い方に働いてしまったように思われます。
まあだからと言って許されはしませんが。
かなり自己中心的な性格なんでしょうね。
だから殺人でも邪魔される事を許せない。
プライドも人一倍高いのでしょう。
イタリアと言えばアマンダ・ノックスの事件が有名で衝撃的ですが (ノックス自身はアメリカ人だが) 、このような事件は確かにそうないですね。
というのが、昔の欧州の認識だったようで、欧州の推理小説でも、しばしば取り上げられていますね。
イタリアマフィアの「復讐を誓うと何があってもやり遂げる」所や、各種の処刑方は島嶼地方の伝統を色濃く残しているそうで…。
南部地域の特に島嶼でも、昔の復讐法が住民の心に今も生きている面があるそうで、数年前にも「娘が妊娠して捨てられた」と思い込んだ父親が「孕ませた男(無関係の他人)」の男の印を切り落とす。という事件が起きています。
復讐として、敵の一番可愛がっていた息子を、敵の前で道連れしてに死ぬ。という事件もありました。
本人に見せつけたのは、「その方がより苦しむから」という理由だそうで…。
その為に、敵の愛人にまでなって、敵の息子が自分になつくように可愛がっていたそうです。
ゾッとする話ではあります
あまりそういう印象がなかったですが、そうなんですね。
確かにイタリアマフィアとか怖いですよね。
復讐法ですか、恐ろしい話しですね。
復讐というのはある程度わかりますが、内容がエグいというか恐ろしいですね。
ただの復讐じゃない。
以前、紹介したドイツのマリアンネ・バッハマイヤーの復讐なんて可愛いものですね。
そうですね。
そういう血統なのかもしれませんね。
殺し屋気取りはあり得ますね。
自身の犯行に酔っている節がありますね。
目撃者殺害は基本的に事件の発覚を恐れるあまり行うと思うので、保身の為の可能性は高いので、彼は確かに小心者だったかもしれませんね。
犠牲者は本当に気の毒でありません。
彼は世界で初めて「無神国家」を作り、「アルバニア派」という社会主義の道を作りました。
しかし、鎖国を行い、アルバニアを貧乏国家にしてしまいました。
聞いた事のない独裁者ですね。
今度調べてみます。