ファリオン・ウォードリップ (アメリカ)
【1959 ~ 】
ファリオン・エドワード・ウォードリップは、1959年3月6日、アメリカ・インディアナ州セイラムで生まれた。
1984年12月1日、テキサス州ウィチタで、看護学生テリー・リー・シムズ (20歳♀) が、自宅で襲われる。
シムズは強姦され、刃物で突き殺されていた。
シムズは抵抗した跡があり、手は電気コードで縛られ、家のドアは壊されていた。
シムズの検死を行うと、シムズは刺された後、数分間生きていた事が判明した。
警察はシムズの靴から精液のサンプルと指紋を採取した。
シムズの遺体はウィチタ・フォールズのクレストビュー共同墓地に埋葬された。
1985年1月19日、ウィチタ総合病院で働く看護師トニ・ジーン・ギッブス (23歳♀) が姿を消した。
ギッブスが行方不明となって2日後の21日、ギッブスの車が病院から2、3マイル (約3~5km) 以内の場所で見つかった。
しかし、ギッブスの姿は車内にはなかった。
同年2月15日、ルート281の近くの荒野でギッブスの死体が発見される。
ギッブスもシムズ同様、強姦され突き殺されていた。
ギッブスの死体のすぐ近くに乗り捨てられたバスがあり、そこでギッブスは襲われたと推測された。
また、ギッブスはバスの中から100フィート (約30m) 程を這って逃げようとした事がわかった。
警察が捜査を進めると、ダニー・ラフリン (24歳♂) という男性が容疑者として名前が挙がる。
ラフリンは毎日ナイトクラブにギッブスを迎えに行っており、警察はラフリンを尋問した。
しかし、ラフリンはポリグラフテストは問題なく、裁判の末、釈放された (精液のDNAサンプルを採取したが後の犠牲者と一致しなかった為) 。
ギッブスの遺体はニューメキシコ州クレイトン基地に埋葬された。
同年3月24日、デブラ・スー・テイラー (25歳♀) が殺害される。
実はテイラーは殺害される直前、夫と喧嘩となり家を出てバーにいた。
そこで、テイラーはウォードリップと出会う。
2人は意気投合し、バーで踊った。
その後、ウォードリップはテイラーを家に送りたいと告げるが、テイラーが拒否した為、ウォードリップはテイラーを殺害した。
ウォードリップはテイラーの死体を建設現場に捨て、死体は1週間後に見つかった。
当初、テイラーの夫が疑われたが、ポリグラフテストでは問題ないとされ釈放された。
テイラーの遺体はテキサス州フォートワースのシャノン・ローズヒル共同墓地に埋葬された。
同年9月20日夜、エレン・ブラウ (21歳♀) が職場を出た後、行方不明となる。
ブラウはレストランのウェイトレスとして働いており、車に向かった時、ウォードリップに襲われた。
ウォードリップはブラウの首をへし折って殺害すると、ブラウの車に死体を乗せ、車を走らせた。
ウォードリップはウィチタ・フォールズの閑静な地域に向かい、ブラウの財布から現金を奪った。
ブラウの死体はすぐに発見されるが、下着が下げられており、強姦された可能性があった (真意は不詳) 。
ブラウの遺体はコネチカット州ニューヘーブンのジナゴーグ共同墓地に埋葬された。
1986年5月6日、ティナ・キンバリュー (21歳♀) が自宅で殺害される。
キンバリューの死因は枕を押し付けられた事による窒息死であった。
しかし、キンバリュー殺害直後、隣人が野球帽を被った茶色の髪の毛の背の高い白人男性が逃げ去る姿を確認し、警察に通報した。
同年5月9日、ウォードリップは逮捕される。
逮捕されたウォードリップはキンバリュー殺害を認めた。
裁判でキンバリュー殺害によりウォードリップは懲役35年が言い渡された (キンバリューの遺体はバーノンのウィルバーグ共同墓地に埋葬された) 。
1997年12月11日、ウォードリップは仮釈放され、その後、結婚し、イリノイ州オルニーへ引っ越した。
1999年、刑事のジョン・リトルが、シムズ、ギッブス、ブラウ、テイラーの未解決事件の調査を行っていた。
シムズとギッブスから採取された精液のDNAが一致し、同一の人物に殺害された事が判明する。
実はこの一連の殺人が異なる管区内で行われた為、捜査が遅々として進まず、また、1人による犯行だとは考えられていなかった。
しかし、リトルはウォードリップと犠牲者たちとの知られていない接点を見つける。
ブラウとシムズはわずか1ブロックの所に住んでおり、ギッブスが働いていた病院の管理人として、当時、ウォードリップが働いていたのだ。
リトルはウォードリップのDNAサンプルを採取する為に、仮釈放後に働いていた工場に向かい、ウォードリップが飲んで捨てた紙コップと、タバコの吸い殻を押収する。
そして、検査を行った所、シムズとギッブスから採取され精液のDNAと一致する。
1999年2月13日、ウォードリップは逮捕され、拘留中、ウォードリップはシムズ、ギッブス、ブラウ、テイラー殺人を白状した。
また、ウォードリップはギッブスが行方不明となった際、ギッブスを捜索するボランティアに参加していた事が判明した。
同年11月9日、裁判でウォードリップには死刑が言い渡された。
2011年6月14日、ウォードリップの刑が死刑から終身刑に変更された。
∽ 総評 ∽
若い女性ばかり5人殺害したウォードリップ。
ウォードリップはキンバリュー殺害後、逮捕され、懲役35年を言い渡されたが、仮釈放でわずか10年足らずで釈放されてしまった。
ただ、もし仮釈放されずにずっと刑務所にいた場合、他の事件が解決しなかった為、良かったと思う (仮釈放後、ウォードリップは特に犯罪を犯してない) 。
ウォードリップは典型的な強姦殺人鬼であったが、何故、これほどの異常性を備えたのかよくわからない。
幼少の詳細がわからない為、どんな生活環境だったのわならないが、おそらく恵まれた環境でなかったと思われる。
ただ、ウォードリップと結婚した妻は、ウォードリップの過去の犯罪を知った時、一体何を思ったのだろう。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★☆☆☆☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★☆☆☆☆
・特異性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・殺人数 5人
《犯行期間:1984年12月1日~1986年5月6日》
コメント
コメント一覧 (2)
…しかし、残念なのはリトル刑事以外の警察官がウォードリップにたどり着けなかったということでしょうね。
無駄に殺して回るアホが相手なのだから、被害者の一貫性をなかなか見出せなかったのも無理もない話なのかもしれませんが、もう少し頑張って欲しかったかも。
その通りですね。
日本人の感覚だとこれほどの事件なら誰かわかるんじゃないのか?と思えるんですが、連続殺人が日常茶飯事のアメリカでは難しいんでしょうね (世界の連続殺人の実に70%はアメリカで起こっている) 。