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イツコアトル・オカンポ (アメリカ)
【1988 ~ 】



イツコアトル・オカンポは、ラフュギオ・オカンポの長男としてメキシコで生まれた。

オカンポには他に弟と妹がいた。


父ラフュギオはメキシコで弁護士を目指し勉強していたが、1988年、一家はアメリカへ移住し、カリフォルニア州ヨーバリンダに住んだ。

そこで、父ラフュギオは倉庫の管理人として働き始め、後にヨーバリンダに家を買った。


2006年、高校を卒業したオカンポは大学には行かず、友人の影響で海兵隊に入隊した。


2008年、イラクに派遣されたオカンポは数ヶ月後、家族にメッセージビデオをイラクから送っている。

しかし、過酷な戦場での生活は次第にオカンポの精神を蝕んでいく。


そして、2010年、オカンポより先に入隊し、オカンポが影響を受けた友人のクラウディオ・パティーノ四世 (22歳♂) が、アフガニスタン・ヘルマンド州での戦闘で死亡してしまう。

このパティーノの死でギリギリの所で保っていたオカンポの精神はついに限界に達し、これ以降オカンポは別人のように変わってしまう (どのくらいショックだったのかというと、毎週2回、欠かさず墓参りに訪れる程) 。


同年、オカンポは軍を除隊し、家に帰ったのだが、そのオカンポの変わりように家族は驚く。

明るく闊達だった性格は影を潜め、陰鬱で不気味に物静かな青年へと変わっていた。

そんな息子の姿を見て父ラフュギオは幻滅してしまい、このオカンポの帰宅により家族の関係が壊れてしまう。

父ラフュギオはこのままでは家族が崩壊すると考え、1人家を出て行き、ホームレスとして生活するようになる。

しかし、父ラフュギオは別居生活となったといえ、家族とは仲は良く、毎日子供たちに会いに来ていた。

また、元妻はホームレスをしている父ラフュギオの為に毎日食べ物を持って行った。

この頃のオカンポは手の震えと頭痛に悩まされるようになる。

その苦痛から逃れる為に酒に溺れるようになり、アルコール中毒となった。

父ラフュギオはオカンポがPTSD (心的外傷後ストレス障害) を患っていると判断し、治療を受けるよう促すが、オカンポは拒否する。

そして、オカンポは

「世界の終わりが始まろうとしている」

と口ずさむようになる。

その後、オカンポは殺人を始める。


2012年10月25日、オカンポはラクエル・エストラダ (53歳♂) とファン・エレーラ (34歳♂) をナイフで刺し殺す。


同年12月20日、オカンポはカリフォルニア州プラセンティアのショッピングセンターの近くで、ホームレスのジェームズ・パトリック・マックギリバリー (53歳♂) をナイフで刺し殺す。


同年12月28日、オカンポはカリフォルニア州アナハイムでホームレスのロイド・ミッダー (42歳♂) をナイフで刺し殺す。


同年12月30日、オカンポはヨーバリンダにある図書館の近くで、ホームレスのパウルス・スミット (57歳♂) をナイフで刺し殺す。


2013年1月13日、オカンポはアナハイムのファーストフード店の近くで、ホームレスのジョン・ベリー (64歳♂) をナイフで刺し殺した。

しかし、このベリー殺害直後、オカンポは逮捕される。


逮捕されたオカンポは刑務所の独房に収容されたが、体を震わせ吐いた。

オカンポは刑務所で今後の裁判を待っている。



∽ 総評 ∽

戦争での極限状態で精神が破綻し、殺人に走ったオカンポ。

オカンポが標的にしたのが主にホームレスの男性であり、強姦目的や強盗目的の殺人ではなく、ただ目に付いて殺害し易い相手を狙った。

オカンポがこのように異常になったのは、軍人として戦地へ赴き極限状態を経験した事により、PTSDになったせいである。

アーサー・ショウクロスもベトナム戦争から帰って来て凶行に走った (ショウクロスの場合は戦争はきっかけであってもともと異常であった) 。

アメリカではベトナム戦争帰りの兵隊に始まり、現在もPTSDに苦しむ兵士が多く、社会問題になっている。

冷戦が終結し、現在、世界は今のところ歴史的に見れば比較的平和な時代と言える。

そんな時代に慣れた人間が、急にいつ死ぬかわからない極限状態に放り込まれれば、まともな精神を保つ方が難しいだろう。

ただ、今後、世界を巻き込んだ大戦が勃発した場合、PTSD程度では済まない事態が発生するだろう。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★☆☆☆☆
・残虐度 ★★★★★☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・特異性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・殺人数 6人

《犯行期間:2012年10月25日~2013年1月13日》