エドワード・アダムス (アメリカ)
【1887 ~ 1921】
エドワード・J. アダムス (通称「エディー」、元の名をウィリアム・ジョセフ・ウォレスといった) は、1887年、アメリカ・カンザス州ハッチンソンの農家の家に生まれた。
エディーが幼い時、父親が死に、母親は肉体労働者の男性と再婚する。
エディーは継父に馴染めなかったという事もあり、継父を嫌うだけでなく継父の肉体労働の仕事も軽蔑した。
1900年代、エディーは1人でカンザス州ウィチタに引っ越し、そこでジョン・キャラハン (♂) と出会う。
そして、エディーはキャラハンと共に自動車窃盗と強盗を行うようになる。
エディーはハンサムで、容姿や身のこなしが優雅であった為、多くの女性にもてた。
エディーは結婚するが、女遊びを止める事はなく、それに疲れた妻はエディーのもとを去って行った。
その後、エディーはウィチタでギャング団を結成し、カンザス州、ミズーリ州、アイオワ州に繰り出しては銀行強盗や電車強盗を行った。
そして、禁酒法が施行される頃にはすでに盗賊として名を馳せていた。
1920年、エディーはキャラハンを通じて犯罪者のレイとウォルターのメジャー兄弟と出会い、協力関係を築く。
同年9月5日、ハリー・トリューズデル (♂) が所有する悪名高いカンザスシティの違法賭博場で、エディーらはぼったくりを始める。
しかし、賭博場の従業員や賭博場の客にぼったくりがばれ、エディーらとの銃撃戦が展開される。
結局、この銃撃により客のフランク・ガードナー (♂) が死亡し、エディーは駆け付けた警官により逮捕された。
1921年2月、裁判でエディーには終身刑が言い渡された。
メジャー兄弟は強盗の罪を認める司法取引に応じ、5年の禁錮刑が言い渡された (余談だがメジャー兄弟は後に刑務所で殺されている) 。
エディーはミズーリ州の州都ジェファーソンシティの刑務所に移送される事となった。
その途中、エディーは電車から飛び降り、逃走を図った。
数日後、エディーはカンザス州カリソンに現れ、そこでジュリアス・フィニー (♂) と共に銀行と雑貨店を襲撃し、その後、エディーはカンザス州ウィチタのガーデン・プレインの近くで逮捕された。
裁判でエディーは銀行強盗の罪で有罪判決を下され、ミズーリ州では殺人罪で終身刑が言い渡された。
そして、カンザス州の刑務所で10年から30年務める事を言い渡される。
同年8月13日、エディーはランシング刑務所の発電所を破壊して、フランク・フォスター、ジョージ・ワイズバーガー、D.C.ブラウンと共に壁をよじ登って脱獄した。
ビリー・フィンテルマン (♂) が運転する逃走用の車に乗り込み4人は逃走、エディーらは逮捕されないようなるべく遠くに逃げるようにした (ブラウンは数日後に逮捕された) 。
その後、ギャング団に戻ったエディーは、同年9月までにカンザス州ローズ・ヒルや同州ヘイズビルで銀行強盗を行い、約1万ドル (約600万円) を強奪する。
ヘイズビルでの強盗の際、エディーは何の理由もなくジェームズ・クリーベル (82歳♂) を拳銃で殴り付けた。
クリーベルはその衝撃で頭蓋骨を骨折し、この時は死ななかったが後に死亡した。
同年10月8日、エディーらギャング団は、カンザス州オセオラ郡近くの銀行から500ドル (約3万円) を強奪した。
しかし、このエディー率いるギャング団に対して大規模な捜索隊が送り出される。
ギャング団はオセオラから2、3マイル (約3~5km) 離れた砂利道で休憩していた。
すると、その姿を見た近くで農家をやっているC.J. ジョーンズは保安官事務所に連絡する。
通報を受けた保安官が到着すると、エディーたちギャング団と撃ち合いが起こる。
そして、ギャング団を追っていた捜索隊も合流し、撃ち合いは激しさを増す。
この銃撃戦で捜索隊の何人かが負傷するが、撃ち合いは続いた。
ジョーンズは捜索隊に協力しようと、家に戻りショットガンを持って来て銃撃戦に参加した。
しかし、ジョーンズは参加する前に撃たれてしまい死亡する。
その後、ギャング団は逃走し、カンザス州ウィチタに戻って警察からオートバイを2台奪い、11もの店を襲撃する。
その後、オートバイを燃やして再び逃走した。
同年11月5日、エディーはA.L.ヤングを襲撃し、射殺する。
ヤングはパトロール隊の隊員で、この日はたまたま当番であった。
その後、オタワ近くのサンタフェ急行列車から35000ドル (約2100万円) を強奪する。
これはエディーのギャング団で一番成功した強盗となった。
同年11月20日、エディーはフォスター、ネリー・マイルス (♀ エディーの妻の友人) 、ジョージ・J. マクファーランド (地元の密売人) と、2人の売春婦と共にウィチタで車を盗んで乗り回していた。
また、エディーの妻を乗せた車 (他に2名の無名の女性が乗車していた) がエディーの車に続いた。
すると、2名の白バイ警官がエディーの車に気付き、エディーの車の前に回り止まるよう指示する。
しかし、エディーはショットガンを警官に向かって発砲し、この発砲によりロバート・フィッツパトリック (♂) が射殺された。
エディーは白バイ警官射殺後、カウリー郡に逃走した。
その夜、ガス欠によりとある農場で立ち止まり、そこで、農家のジョージ・オールダムの車を盗もうとする。
しかし、オールダムに見つかり抵抗された為、エディーはオールダムを射殺した。
その後、エディーはフォスターと2人で盗んだ車でウィチタに逃走し、マクファーランドは1人で逃走した。
翌日の21日、エディーはフィンテルマンとマクファーランドに会いに家に行くと、そこには2人の警官がいた。
エディーはその1人レイ・キャンナーを撃って逃走した。
翌日の22日、エディーは数々の悪行により、地元のウィチタを2度と帰らないつもりで旅立とうとするが、ガレージの所有者が警察に通報する。
3人の警官が現場に到着し、到着してすぐエディーを撃った。
エディーもすぐに対抗し、チャールズ・ホフマン (♂) とチャールズ・ボウマン (♂) が負傷する。
しかし、残る1人D.C.スタッキーが柱の後ろに隠れ、そこからエディーに3発撃ち、射殺する。
エディーの死体は公的な場所に曝され、エディーの凶悪な犯罪による恐怖時代の終わりを大々的に公開した。
このエディーの死体を見る為に実に9000人が集まった。
余談だがギャング団のメンバー18人はエディーの取り巻きとして逮捕され、その内4人は終身刑が言い渡されている。
∽ 総評 ∽
ギャング団を率いて各州で強盗の限りを尽くしたエディー。
エディーは自らギャング団を率いて銀行強盗を得意とし、警官とも何度も銃撃戦を展開したある意味豪傑であった。
エディーによる襲撃は各州をまたいで行われ、近隣住民を恐怖に陥れた。
ただ、エディーは2度逮捕されて終身刑の判決を受けている。
もし、そのまま塀の中に居れば、被害が出る事はなかった。
いくら現代ほどセキュリティが厳しくない時代だったとはいえ、2度も容易に脱獄を許すのはなんとかならないのだろうか?
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★☆☆☆
・特異性 ★★★★★★★☆☆☆
・殺人数 7人 (他負傷者12人)
《犯行期間:1920年9月5日~1921年11月22日》
コメント
コメント一覧 (2)
地頭がいいタイプなのかな。自分の継父を馬鹿にしたのも自分の方が優れているという傲慢さと若いのに相手のことをすぐに見抜ける慧眼のせいだと思います。人を見透かせるからこそ人たらしもうまかったのかも…。
でも母親は息子の傲慢さと愚かさをどう思ったんでしょうね。夫を馬鹿にし上っ面だけで生きていこうとする息子を母は悲しんだんじゃないかな〜。と勝手に想像しました。
しかし銃撃戦もいいですが、ゴルゴ13みたいに腕のいい奴はいなかったんですかね。
昔はスナイパーとか配置してる暇なかったんでしょうね〜。それほど高性能なライフルもなかったのかな
確かにそうともいえますね。
頭の良い人の中には自分が優秀なので周りの人間がバカに見えてしまう人も多いでしょう。
自分より頭の悪い人間をバカだと見下すの自由ですが、見下すという事は傲慢さを生みます。
傲慢さは綻びを生み、必ずと言っていいほど自滅します。
優秀な人間はある意味諸刃なのかもしれませんね。