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レイモンド・オイラー (アメリカ)
【1971 ~ 】



2006年10月26日、アメリカ・カリフォルニア州パームスプリングス西で大規模な火事が発生する。

この火事の一報を聞き付けたカリフォルニア州アイディルワイルド=パイン・コーブにある消防隊が火事現場に急行した。

すでに火事はかなりの範囲に広がっており、燃え盛っていた。

駆けつけた消防隊員は、民家の方へ燃え広がろうとしている火事を食い止めるべく、必死の消火作業を行った。

しかし、火の勢いは衰える事なく、しかも、風向きが変わり消防隊員の方へ火が襲い掛かってくる。

余りの急な出来事になす術なく、消防車操作者ジェス・マクレーン (27歳♂) とマクレーンの補助ジェイソン・マッケイ (27歳♂) があっという間に火に巻かれ焼死してしまう。

そして、2人を助けようとしたダニエル・フーバー・ナハラ (20歳♂) も同じく焼死する。

キャプテンのマーク・ローツェンハイザー (43歳♂) と消防士パブロ・チェルダ (23歳♂) も巻き込まれ、重度の火傷を負ってしまう。

ローツェンハイザーとチェルダはすぐに近くの病院に搬送されるが、5日後の31日に火傷の傷がもとで死亡する。


最終的に火事が鎮火したのも同年10月30日であり、実に鎮火まで4日もかかった。

結局、火はシャパラル・バイオーム (カリフォルニアの植物相地域) の40200エーカー (163km² 、東京ドーム約3482個分) もの広大な土地を燃やし尽くした。

この火災による被害総額は推定で900万ドル (約10億円) 以上と言われ、これは1994年以降、アメリカにおける最悪の火災事故となった。

すぐに調査を開始するが、早い段階でこの火事が放火によるものであると断定された。

放火犯に繋がる情報提供者には60万ドル (約7000万円) の報酬が支払われる事となった。

この報酬金は、政府といくつかの企業によって提供されたものだった。


そして、同年10月31日、ローツェンハイザーとチェルダの2人が火傷により病院で息を引き取ったこの日、1人の男が逮捕される。

名をレイモンド・リー・オイラーというテキサス州ボーモントで自動車整備をしている男性であった。

オイラーの車の中から放火に使用されたいくつかの道具、そして、火災現場からオイラーのDNAが付着したタバコの吸殻が見つかった。

また、オイラーは事件後、ガールフレンドに火事の事を自慢していた事も判明した。

実はオイラーはもっと前に放火をするつもりだったが、ガールフレンドが「そんな事をしたら別れる」と告げた為、6ヶ月間思い止まっていた事もわかった。


裁判でオイラーは17件の放火の罪で起訴された。

検察はオイラーが2006年の夏にも25件もの放火を行ったと主張した。

また、オイラーは消火されないように工夫していたと、その悪質さを主張した。


同年11月11日、2003年に発生した火事の有力な容疑者でもあると発表された (この事件では別の男性が有罪判決を受けている) 。


2009年3月6日、オイラーは火事により死亡した5人の消防士に対する第一級謀殺により有罪判決を下された。


同年6月5日、オイラーには死刑が言い渡された。

この放火犯による死刑判決というのは、歴史的にみても異例中の異例な事であった。



∽ 総評 ∽

『The Esperanza Fire (エスペランサの火) 』と呼ばれ、オイラーの起こしたこの火災はアメリカ史上最大の被害をもたらした火災の1つとなった。

オイラーは典型的な放火魔であり、その犯行は悪質極まりない。

日本でも2006年に『くまぇり』こと平田恵里佳が放火を繰り返し捕まっているが、放火魔というのは何度も行い、徐々に過激になっていく傾向にある。

オイラーも何年も前から放火を行い、そして、最後は大規模な火災を引き起こすほど、犯行が過激になっていった。

殺意をもって行う純粋な殺人とは種が異なり、オイラーはもちろんこの消防士5人を初めから殺そうとしていたわけではなく、5人の死は偶然と言えば偶然ではある。

しかし、火事の規模を考えれば怪我人や死亡する可能性も十分にあり、いくら殺す予定ではなかったとしてとても許される事ではない。

また、単純な被害だけを考えれば (森林破壊、貴重な自然や動物等) 、被害総額からもみてとれるようにその損害は計り知れなく、普通の殺人よりある意味罪深いのかもしれない。
 
 

【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★★★☆☆
・殺人数 5人
(他被害多数)
《犯行期間:2006年10月26日》