ウェンディ・アンドリアーノ (アメリカ)
【1970 ~ 】
ウェンディ・エリザベス・アンドリアーナ (旧姓オチョア) は、1970年8月6日に生まれた。
1994年1月、ウェンディは23歳の時、ジョセフ・アンドリアーナと結婚する。
結婚後、ウェンディは2人の子供に恵まれた。
しかし、結婚生活はすぐに翳りが見え始める。
1998年、結婚生活4年目に、ジョセフが腺嚢胞性癌にかかってしまう。
ジョセフはこの時まだ31歳という若さであった。
ジョセフは以前から体調が悪く、色々な病院に行くが誤診によりしばらく病状が判明しなかった為、癌はかなり進行しており、すでに末期症状であった。
ジョセフは早速治療を始め、2000年までに化学療法を行った。
アンドリアーナは、夫の治療費を稼ぐ為に仕事を始め、2人の子供を育てながら夫の見舞いに病院に行くという多忙な生活を続ける。
あまりの忙しさに次第にアンドリアーナは精神的にも肉体的にも追い詰められ、更に莫大な治療費により金銭的にも追い詰められていく。
そんなアンドリアーナは、現実から逃れるように夜な夜なバーに繰り出し、男漁りを始めるようになる。
そして、アドリアーノはついに凶行に出る。
2000年10月8日午前中、ウェンディはバー・スツール (主に北欧で使用される椅子) でジョセフ (この時33歳) を撲殺し、刃渡り13インチ (約33cm) のナイフでジョセフの首を刺した。
しかし、実はウェンディはジョセフ殺害1時間前に、911に連絡していた。
そして、ウェンディはジョセフの病状が悪化し、今にも死にそうだと話した。
連絡を受けた救急隊員が到着するが、ウェンディは部屋に入れようとせず、救急隊員に蘇生をさせようとしなかった。
仕方なく救急隊員は帰ったが、1時間後に再びウェンディは911に連絡した。
再度、駆けつけた救急隊員に、ウェンディはジョセフを叩いて突き殺したと話した。
しかし、それはあくまでも「自衛」の為だとウェンディは主張した。
ウェンディはジョセフに生前、精神的、身体的に常に虐待されていたと述べた。
だが、癌の末期であったジョセフがウェンディを虐待など出来るはずもなく、ウェンディの自衛の為という供述には無理があり、ウェンディはその場で逮捕された。
ジョセフの検死を行うと、頭部への23回もの殴打が確認され、また、体内からアジ化ナトリウムという農薬が検出された。
2004年8月23日、ウェンディの裁判が始まる。
検察官はウェンディの殺害動機をお金であると述べた。
ウェンディが癌の末期症状であったジョセフに無理やり生命保険を掛けようとしていた事がわかった。
また、ウェンディはジョセフが癌の症状を悪化させた原因が医者の誤診であるとして、医療過誤訴訟を起こしていた。
これは莫大な賠償金が手に入るとウェンディが知っていた為だと検察官は述べた。
結局、ウェンディの虐待の主張は退けられ、犯罪の凶悪さや堕落、そして、財政的な理由による殺人動機が裏付けられ、ウェンディには第一級謀殺で有罪判決が下された。
同年12月22日、ウェンディには致死量の注射による死刑が言い渡された。
ウェンディはすぐに控訴するが、2007年7月に棄却された。
ウェンディはアリゾナ州の刑務所に収監されているが、アリゾナ州では現在、このウェンディを含め女性死刑囚が2人おり、もう1人は以前掲載した2011年2月22日に死刑を言い渡されたショーナ・フォードであった。
《殺人数》
1人
《犯行期間》
2000年10月8日
∽ 総評 ∽
癌の末期であった生い先短い夫を死に追いやったウェンディ。
ウェンディは若くして癌になってしまった夫の治療費を稼ぐ為に働き始め、しかも、まだ幼い2人の子供を育てなければいけないという状況に精神的にも肉体的にも追い詰められた。
その状況は非常に大変だったと思うが、ウェンディは現実逃避するようにバーに行き男漁りを始めた。
世の中、同じような境遇で必死に生きている人は沢山おり、確かに厳しい状況ではあるがとてもウェンディを擁護出来ない。
ウェンディは1度救急隊員を呼んで帰させたのは、あまりに早く来てしまい慌てた為の行動であろう。
ウェンディの自衛というのは誰がみても無理があり、すでに病気で余命幾ばくもなく、仕事でお金を稼ぐ力がないばかりか、治療費で家計を逼迫するジョセフの存在を疎ましく思ったのだろう。
ただ、こういった女性による殺人を今まで何人も紹介してきたが、いつもながら女性の淡々と殺人を行う様子に恐ろしさを感じる。
コメント
コメント一覧 (10)
伴侶が癌を患い、杜撰な医療機関による誤診で既に末期症状、高額な治療費を捻出する為に仕事に出て、子供を2人の面倒を見ながら夫の見舞い・・・・・壮絶な負荷だったと思います。
それで夜な夜なバーで男漁り・・・・・ココ迄は息抜き(※イキ過ぎですが・・・)と責められません。
これで夫を苦しませずに殺害していたなら「安楽死させた」と同情されたと思われます。
しかし、椅子で26回も殴打しトドメで刺して殺害・・・しかも強引に保険金加入させたとあっては誰も同情しないでしょう。
末期癌で衰弱し切っている夫が虐待し正当防衛を主張するなんて、通ると思っている事が精神破綻を感じさせます。
一部同情する点はありますが、死刑はやむを得ない。
「こんなに苦労させやがって。簡単に死ねると思うなよ」
というような気持ちがあったのでしょうか。
憎しみが相当強かったんでしょう。
しかも、折角殺すのならお金ももらってしまおうという考えもあったんでしょうね
子供が一番可哀想ですね。
殺害時、彼女は三十そこそこですよね? まだ若いのに何故夫のせいで自分だけこんな苦労ばかりしなきゃならないんだ、という考えばかりがエスカレートしていったのでは。
子供を虐待したという記述がない事が唯一救いでしょうか。精神的に追い詰められて我が子の虐待に走るという親もいますから。
快楽のみや強盗のみで殺人を行う輩とは確かに比べるのは可哀想ですが、仰る通り擁護も出来ませんね。
私もそう思います。
周りの人達は幸せな生活を続けているのに自分だけがこんなに辛い思いをしている。
人間なら誰しもそういう感情を抱くと思います。
ただ、だからといってやった事は許されませんね。
日本だったらため息の出るような軽い刑でしょうね、これ(笑)
OJシンプソン事件のような首を傾げるような判決も多いのですが、一方で有罪となった犯罪者に容赦のない米国の姿勢は、裁きというものの本来あるべき姿だと思います。
保険金を掛けたり殺害方法が残酷だったり、重い刑になりそうな要素はありますが、それ以上に夫の病気の介護、仕事に育児とその部分が情状酌量となり、重くとも懲役10年くらいでしょうね。
私も最低でもアメリカくらいの厳罰で臨んで欲しいと思います。
横暴で横柄なクズ人間だった可能性。。。
可能性はありますね。
ただ、そんなクズな人間が癌にかかって余命幾ばくもないのであれば「ざまあみろ」とわざわざ殺害する必要はないような気もします。
「病気で死ねるなんて思うなよ」と思うほど恨んでいた可能性もありますが。
こういう事件であっさり死刑が宣告されているのに、とんでもない事件の加害者がいつまでものうのうと刑務所で生きているのが不思議でならない。
アメリカは確かに治療費の問題を現在でも抱えていますね。
仰る通りアメリカの判決には色々疑問がありすね。
基本的に日本よりも厳しいのは間違いないのですが、私も記事を作っていて「何でこんな刑なんだ?」と思う事が多々あります。