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金 賢姫 (キム・ヒョンヒ 北朝鮮)
【 1962 ~      】



1962年1月27日、金は北朝鮮平壌市東大院区域東新洞で生まれた。

父親はキューバ駐在の北朝鮮大使館三等書記官であり、母親は教師であった。

金は生まれて間もなく父親の赴任先であるキューバへ行く事となり、首都ハバナで暮らす事となる。

しかし、金4歳の時、再び平壌市に戻る事になった。


1968年9月、金は平壌市西城区域下新洞の下新人民学校に入学する。

小学3年生の時に『社会主義の祖国を訪ねた英秀 (ヨンス) と栄玉 (ヨンオク) 』という映画に出演している。


1972年9月、金は平壌市の中新中学校に入学する。

1年生の時に今度は『娘の心情』という映画に出演する。


1977年9月、金日成総合大学生物学部に入学する。


1978年9月、平壌外国語大学日本語科に入学する。


1980年3月、大学在学中に朝鮮労働党中央委員会調査部の工作員に選抜され、金玉花 (金玉華) と言う偽名を名乗るようになる。

これ以降、金は7年半に渡って対外工作訓練を受ける事となる。


同年4月から1年間、金日成政治学軍事大学工作員情報クラスに入学し、韓国化教育を受ける。


1981年7月から1983年3月までは日本人化教育を受ける。

この時、金を指導したのは日本で拉致された田口八重子氏 (李恩恵) と見られている。


1982年4月、金は朝鮮労働党に入党する。


1983年3月から1986年7月の間、金はスパイとしての教育を徹底的に受ける。


1984年8月15日から10月にかけて、金勝一 (キム・スンイル) と初めて任務につく。

この金勝一とは後の大韓航空機爆破の際も行動を共にする事になる。


1985年1月から6月にかけて、金淑姫に中国人化教育を受ける。

この金淑姫とはその後共に自炊生活を始める。


1987年10月4日、金は金勝一と共に任務を言い渡される。

その任務とは
『翌年に開催されるソウルオリンピックの単独開催と、東側同盟国の参加申請妨害』
というものであった。


同年11月28日バグダッド発、ソウル行き大韓航空858便の韓国の飛行機を落とすという具体的な任務を与えられる。

しかし、この任務を伝えられた金勝一は、当時『イラン・イラク戦争』が行われており、空港の検問や検査が厳しいと反対したが、金日成直筆の親書があり、計画の変更は認められないと告げられる。


計画実行の日、偽造パスポートで日本人親子 (金が「蜂谷真由美」で金勝一が「蜂谷真一」) になりすました金と金勝一は、平壌からモスクワ、そしてオーストリア、セルビアの首都ベオグラードを経てイラクの首都バグダッドに到着する。

バグダッドの空港の待合室で、金は9時間後に爆発するようラジオに仕込んだ時限爆弾を起動させる。

その後、2人は予定通り858便に搭乗し、時限爆弾を仕込んだラジオと、ウイスキーに見せかけた液体爆弾を座席上にある荷台に置いたまま、経由地のアブダビ空港で降りた。


翌日の29日、パイロットからラングーン (現在のヤンゴン) の航空管制官に
「バンコク国際空港には定刻どおりの到着予定」
という無線連絡を最後に音信不通となる。

その後、午前2時21分、金らが仕掛けた時限爆弾が爆発し、空中分解する。

乗客乗員115人全員が死亡した。

機体が行方不明となった時点で事故やハイジャックではなく、テロだと発覚する。

アブダビ空港で降りた2人はその後、バーレーンに飛んだ。

日本政府は「日本人による反韓テロ事件」ではないかと懸念し、バーレーン日本大使館が入国記録を調べた所、金のパスポートが偽造パスポートである事が判明する。


同年12月1日、バーレーン空港で出国手続きをしていた際、日本旅券を偽造した疑いで現地警察に逮捕された。

逮捕される際、金勝一はタバコを吸う振りをして青酸系の毒薬を飲んで服毒自殺を遂げた。

金もマルボロの箱に隠しておいた金勝一が飲んだ毒薬と同じカプセルを口に入れるが、警官に妨害され噛み砕けなかった。

しかし、毒薬が口の中で少し漏れた為、気を失ってしまう。


3日後、金は息を吹き返し、同年12月15日、金は韓国に移送される。


1989年、金には死刑判決が言い渡されるが、翌年に韓国政府により特赦となり釈放される。


1997年、金はボディーガードだった男性と結婚する。

そして、男の子を出産する。


その後、紆余曲折を経て現在はソウル市内でひっそりと暮らしているが、2010年7月20日、金は来日し、拉致被害者家族と面談し話題となった。



∽ 総評 ∽

スパイとして航空機に爆弾を仕掛け100人以上を死なせた金。

事件当時、私は子供であったがその衝撃は今でも鮮明に覚えている。

子供ながらに金の美しさと、こんな女性がスパイだったという事実が、何とも言えなかった。

また、死刑判決を言い渡されたにもかかわらず、翌年に特赦となった事で、数々の疑惑が囁かれた。

『韓国政府による自作自演説』や、金の容姿が綺麗な事で特別に許されたなど、様々な憶測が流れた。

私も子供の頃に、母親から
「美人だから許された」
と言われ、子供ながらに
「美人て得なんだな」
と思った記憶がある。

母親の言葉は、世間話好きの一主婦として述べただけの何の根拠もない発言に過ぎないが、この金の件は別にしても、美人が得なのは事実であり、残念ながらそれはしょうがない。

以前掲載したアマンダ・ノックスやダイアン・サモラ等はその容姿により注目を人一倍浴びたのは事実だ。

ただ、100人以上も殺害しておいて、現在は普通の生活 (監視下にあると言われているが) を送っている金に対し、遺族からしてみれば納得出来るはずもなく、1度死刑判決が出たのなら予定どおり執行して欲しいものだ。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・特異性 ★★★★★★★★☆☆
・殺人数 115人

《犯行期間:1987年11月29日》