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ジャン=クロード・ロマン (フランス)
【1954 ~ 】



1954年2月11日、ロマンはフランス・ジュラ県ロン=ル=ソーニエで、裕福な家庭に生まれた。

父親をエメ、母親をアンヌといい、両親は賢く優秀であった。

その為、ロマンは子供の頃、両親から厳しいほどの教育を受ける事となる。

両親は学校のテストでの失敗を許さず、勉強して一流の大学を出て、エリートにならないと人生は終わりだと幼いロマンを躾た。

その為、ロマンは失敗を極度に恐れるようになり、失敗した場合それを隠すような内向的な性格になってしまった。

しかし、ロマンはそんな両親の期待に応え、頭の良い賢い少年へと成長し、周囲から「神童」と呼ばれるまでになった。


その後、ロマンはリヨン大学医学部に進学する。

この大学在学時に同じ医学部にいたフロランスという女性と交際するのだが、ある時、フロランスから別れを告げられてしまう。

この振られたショックで大学の進級試験に失敗してしまい、ロマンは落第してしまった。

この時、母親アンヌから
「進級試験にはもちろん受かったのでしょ?」
という電話を受け、ロマンは

「試験には受かったよ」

とすかさず嘘をつき、失敗した事を隠してしまう。

その後、ロマンは進級している振りをして講義に出席し続けた。


順調に進んでいれば卒業する年であったある日、就職先を友人に尋ねられたロマンは、咄嗟に医学会最高峰の『WHO (世界保険機関) 』に決まったと嘘をついてしまう。

しかも、この嘘を知ったフロランスは、ロマンの事を見直し、再びロマンと付き合う事となった。


大学を卒業後、ロマンは無職だったが (表面上『WHO』に働いている振りをしていた) 2人は結婚した。

その後、夫婦には長女キャロリーヌと長男アントワーヌが生まれた。

ロマンはフロランスとの結婚後、上手く立ち回り『WHO』勤務の医師という嘘をつき続ける。

その為、それに見合った生活をする為、あえて豪奢に過ごし、週末には友人を呼んでホームパーティを開いた。

ロマンが月々使用していた金額は約20万フラン (約180万円) というものだった。

無職のロマンがこれほどの大金を使用出来た理由は、両親や親戚、友人から

「『WHO』の口座がスイス銀行にあり、金利が18%もある。そこに預けて運用してみてはどうだ?」

と持ち掛け、お金を騙し取っていたのだった。

実際、スイス銀行には高金利の『WHO』職員専用の口座が存在していた為、誰もロマンの発言を疑う事はなかった。

また、不倫関係の女性にも投資の話を持ち掛け、金を騙し取った事もあった。

ロマンはフランスのアン県プレヴザンにある自宅から、毎日『WHO』の本部があるスイス・ジュネーブに通っていた。

ここには図書館や銀行、旅行先代理店が併設されており、図書館で一日中医学書を読み知識をつけ、妻や友人には医学の話をして騙した。

また、妻フロランスには『WHO』に電話する事を理由をつけて固く禁じていた。


そんな偽りの生活を18年続けてきたロマンに、ついに終わりの時がやって来る。

家の隣にアンナという女性が引っ越して来たのだが、このアンナの夫は実際に『WHO』で働いていた。

そして、アンナから話しを聞くと、フロランスの知らない事が沢山ある事に気付く。

しかも、この頃金が底を尽き、銀行からその旨を知らせる手紙が家に届く。

これらの事で不審に思ったフロランスは、『WHO』に電話する。

すると、ロマンという人間は現在はおろか過去にも所属していない事が判明する。

この事をフロランスはロマンに問い詰めると、ロマンは適当な事を言ってその場をとりあえず凌いだ。

だが、すでに隠せないと悟り、しかも精神的にも金銭的にも追い詰められたロマンは、ついに凶行に出る。


1993年1月9日夜、ロマンはまずフロランスを鈍器で撲殺。

続いて娘キャロリーヌ (7歳) と息子アントワーヌ (5歳) を射殺。

その後、80キロメートル離れた両親の家に赴き、両親をも射殺した。

自宅に戻ったロマンは家に火を放ち、焼身自殺を試みたが、近隣住民の通報により駆け付けた消防隊により救い出された。

ロマンは警察により尋問を受け、犯行を自供。

ロマンは家族5人殺害で逮捕された。


裁判でロマンは18年間、1度も職に就く事はなく、朝家を出た後は公園を散歩したり、喫茶店で新聞を読んで時間を潰していた事が判明する。

また、その間に騙し取った金額の合計は約400万フラン (約4億円) という途方もないものになっていた事もわかった。

ロマンは法廷で

「僕はモンスターだ。生きているのが辛い」

と供述し、反省の意を示した。


1996年7月2日、ロマンには最低22年は仮釈放のない (1993年から2015年の22年間) 、終身刑が言い渡された。


最後にこんな名言で終わりたいと思います。

「嘘は雪だるまのようなものだ。転がせば転がすほど大きくなる」



∽ 総評 ∽

長年ついてきた嘘が発覚する事を恐れ、家族を皆殺しにしたロマン。

フロランスは所詮、男を地位や名誉でしかみていなく、こんな女性と一緒になったが為に、ロマンは嘘をつき続けなければいかなくなってしまった。

ただ、その程度の女性を好きになったのはロマンだし、ただ単に女性を見る目がないという他ないだろう。

確かにロマンがそのような性格になったのは両親のしつけの影響は否定出来ない。

以前にも紹介したが親の重圧に耐え兼ね凶行に出たという人物は何人もいる。

ただ、ロマンの場合は親の期待通りそれなりに優秀に育ち、普通に裕福な人生を送る事が出来た。

だが、それ以上にロマンの性格が歪んでしまっていたと思われる。

嘘というのは1度ついてしまうと、前述の言葉通りそれは次第に大きくなっていく。

もちろん、嘘の中でもついた方が相手の為になる事もあるし、全ての嘘が悪だとも限らない。

ロマンも初めから騙すつもりでついた嘘ではないだろうし、1度ついた嘘により引くに引けない状態になっていたと推測される。

ただ、それはもちろん容認出来ないし、結末を考えればとても許される事ではない。

しかし、これだけの長い間、騙し続けるというのは、語弊があるかもしれないが、見事と言う他ないかもしれない。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★★☆
・特異性 ★★★★★★★★★☆
・殺人数 5人

《犯行期間:1993年1月9日》