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ヘンリー・ルーカス (アメリカ)
【1936 ~ 2001】



そんな好き勝手にルーカスを育てていたヴィオラだったが、思わぬ邪魔が入る。

小学校教師のアニー・ホールとローリー・グローバーは、ルーカスの想像を絶する家庭環境に愕然とし、女装を強要する母親ヴィオラを訴え、法廷でヴィオラにルーカスの女装を強要しない事を誓わせたのだった。

また、ルーカスの為に新しい服を自腹で出して買い与え、髪も少年らしく短く切った。


しかし、この心優しい教師の行動に怒りを覚えたヴィオラは、より一層ルーカスに対して折檻し、暴行を加えるようになる。

そんなヴィオラの怒りが頂点に達した時、ヴィオラは顔を見上げたルーカスの顔面に角材で何度も殴りつけた。

ルーカスは一撃目で倒れたが、怒りが収まらないヴィオラは倒れたルーカスを執拗に何度も殴った。

この暴行でルーカスの頭の皮膚は剥げ大量の血が吹き出し、頭蓋骨は骨折した。

そして、ヴィオラはそんなルーカスを外に放り出すと、自分は部屋に戻りベッドの上で酒を飲みながら自慰行為に耽った。

その後、ルーカスをほったらかしたままヴィオラは眠ってしまった。


ルーカスに暴行を加えてから38時間後、ヴィオラのボーイフレンドが家にやって来る。

そのボーイフレンドが外で倒れているルーカスを見つけ、慌てて病院に連れて行った。

ルーカスは一命を取り留めたが、ヴィオラから
「私に殴られたと言うんじゃないよ。梯子から落ちたと言いな」
と強要された。

また、この頃からルーカスは怪我の後遺症の為か、癲癇や突然の発作に見舞われるようになる。


ルーカス8歳の時、たまたま通りがかったトラックの運転手に裸足で歩いている事に驚かれ、そのトラック運転手がルーカスに靴を買い与えた。

しかし、靴を履いて家に帰ったルーカスの姿にヴィオラは激怒し、今度は鞭でルーカスが気絶するまで殴った。


2週間後、ルーカスに靴を買い与えたトラックの運転手が、妻を連れてルーカスの家を訪ねた。

夫婦はルーカスを養子に迎えたいとヴィオラに頼んだ。

実はトラック運転手がルーカスに靴を買い与え家に帰ると妻にその事を話した。

すると、夫婦はルーカスを養子に迎えたいという事になったのだった。

しかし、ヴィオラがそんな事を許すわけがなく、
「この子は私の奴隷だ」
と話し、また、夫婦の妻を罵倒した。

その為、夫婦は諦めて帰って行った。


ルーカスが小学校高学年の時、ラバ (ロバの一種) を飼いたいと願い、たまたま近所の農家がルーカスにラバを与えた。

大喜びしたルーカスは家で寝食をラバと共にし、ラバもルーカスに良くなついた。

しかし、それが気に入らなかったヴィオラは、ルーカスの目の前でショットガンでラバを撃ち殺した。

そして、ラバに泣いて寄り添うルーカスに対し、ヴィオラは何度も罵声を浴びせ、しかも、そのラバを解体して売るようルーカスとアンダーソンに命令した。


ある年、ルーカスは左目部分をナイフで傷つけてしまう。

傷つけたのはルーカスの異父兄 (ルーカスとは一緒に住んでいない) であり、眼球は無事であったが出血が酷かった。

ヴィオラにバレるのを恐れた兄弟は、傷口を川の水で洗うと応急処置をして家に戻った。

ヴィオラはそんなルーカスを見て罵倒し、傷口をいじって痛みにもがくルーカスを見て喜んだ。

だが、ちゃんとした治療をしたわけではない左目は細菌感染により腫れ上がり、教師のホールが病院に連れて行った。


だがある時、グローバーが授業中、悪さをする少年に向かい定規を振りかざした事があった。

すると、少年が避けた為、後ろにいたルーカスの左目に偶然定規の先が刺さってしまい、眼球が破壊された。

これにより、ルーカスは義眼となってしまう。

この事でヴィオラはホールとグローバーがルーカスに関与しないという承諾を得る事に成功する。

これにより、ルーカスには更生や助かる道は完全に途絶えてしまったのである。


③に続く