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ベスター・フラナガン (アメリカ)
【1974 ~ 2015】



2015年8月26日、アメリカ・バージニア州モネタで衝撃的事件が起こる。


同日午前6時45分頃、WDBJテレビがショッピングモールから生中継していた。

記者アリソン・パーカー (24歳) が、地元モネータ地区スミスマウンテン湖畔にある商業施設『ブリッジウォータープラザ』で、商工会議所事務局長ヴィッキー・ガードナーにインタビューしていた。

カメラマンはアダム・ワード (27歳) という男性であった。


すると、生中継の現場に突如銃声が轟き、リポーターのパーカーが悲鳴を上げて逃走。

カメラマンのワードはその場に倒れた。


結局、パーカーとワードの2人が死亡、インタビューを受けていたガードナーは背中を撃たれ負傷し、病院に搬送され手術を受けた (一命はとりとめた) 。


生中継であった為、現場とスタジオはもちろん繋がっており、銃撃後、すぐにスタジオに切り替わったが、アナウンサーの女性は唖然として言葉が出なかった。


犯人はベスター・リー・フラナガンという名の男性で、実はフラナガンはWDBJテレビ局の元社員であった。

勤務していた時はブライス・ウィリアムズと名乗り、リポーターをしていた。


フラナガンは銃撃後、現場から車で逃走したが、すぐに警察がフラナガンを追尾した。

そして、警察がフラナガンの車に追い付いた所、観念したフラナガンは自らを銃で撃ち、自殺を図った。


フラナガンはすぐに病院に搬送されるが、同日午後1時半頃、病院で死亡が確認された。


事件後、WDBJテレビの社長は、メディアに対しフラナガンを2年前に解雇した事を告げた。

理由はフラナガンは勤務中、よく怒りを前面に出し、仕事に支障をきたしていたからというものだった。


ABCテレビによると、事件が起こる約2時間後 (この時、フラナガンは車で逃走中) に、フラナガンから23枚ものファックスが届いた。

ファックスには

「6月にサウスカロライナ州モネタの教会で9人の黒人が射殺された事がきっかけで事件を起こした」

という趣旨や (教会を襲撃したディラン・ルーフの事件の事を言っている。気になる方は以前掲載したのでそちらを参照)

自分が黒人の同性愛者として差別を感じてきたこと、過去の銃乱射事件を起こしてきた実行犯への敬意等が記されていた。


また、事件後、午前11時15分頃に、「Twitter」に自身から見た銃撃場面の動画を2つ投稿した。

1つはパーカーに銃口を向けたもので、もう1つは銃撃した瞬間の動画であった。


その他のツイートとしてフラナガンは

「パーカーは人種差別的なコメントをした」

「彼らはその後、彼女を雇ったって?」

等と述べていた。


最後に犯行声明文に記されていたフラナガンの言葉で終わりたいと思います。

「私は人間火薬庫だった」



∽ 総評 ∽

生中継のカメラの前で銃撃し、リポーターとカメラマンを射殺したフラナガン。

銃撃事件自体以前にも何人も紹介している通り、アメリカでは日常茶飯事で、特に珍しいという事はないが、カメラの前、しかも生中継中に発砲するというのはさすがにそうはない。

動画を見る限り、リポーターのパーカーは逃げたように思えるが、殺害されてしまった。


発砲の理由が黒人差別と解雇された恨みであるが、フラナガンはこのテレビ局に働く前から素行が悪く、職を転々としていた。

正直、黒人差別云々ではなく、フラナガンの性格にかなり問題があるだろう。


また、フラナガンはディラン・ルーフの銃撃事件でたがが外れたと言っており、過去の銃乱射事件の犯人を尊敬している事からかなり危険な思想を持っていたのは間違いない。


こういった銃撃事件の場合、無差別に行われる事が多いが、フラナガンはインタビューを受けていた女性は殺しておらず (怪我は負っているが) 、完全に相手を狙っている。

しかも、いくら元社員だとしても、当日、その場所で生中継される事を普通はわからないだろう。

元同僚に教えてもらったのか、独自のルートなのかわからない。


尚、この発砲の映像は現在もネットで視聴可能であるが、なかなかショッキングな映像なので、観る際は注意して頂きたい。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★★☆
・残虐度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★☆☆☆☆
・特異性 ★★★★★★★★★☆
・殺人数 2人
(他負傷者1人)
《犯行期間:2015年8月26日》