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フアン・ピオ・パイバ (パラグアイ)
【1940 ~ 】



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ダニエル・パイバ (パラグアイ)
【? ~ 】



2004年8月1日午前11時半頃、パラグアイの首都アスンシオン郊外のアルティアガス通りにある大型スーパー、イクア・ボラーニョスで、爆発が起き、直後に火災が発生する。

スーパーに併設されているレストランのガスボンベが、電気のショートにより爆発した事が原因と推測された。


当日は、給料日直後の日曜日で、天気や天候も良く、昼前という時間帯もあり、店内は買い物客でかなり混雑していた。


爆発により火が店舗内や階下の駐車場に一気に広がり、余りの勢いと速さに多くの買い物客が逃げ遅れた。

しかも、生存者は
「出火直後に出入口のシャッターが降り、閉鎖されて避難できなかった」
と証言しているのだが、実際出入口は封鎖され、逃げられない状況であった。


爆発に駆け付けた住民が、外から扉のガラスを椅子等で叩き、買い物客を脱出させようと試みるが、扉はビクともしなかった。


火災現場にはパラグアイ大統領ドゥアルテも駆けつけ、救出作業を指揮するという非常事態になった。


火が完全に鎮火するまで爆発から約7時間もかかった。


政府は調査に乗り出すと、恐ろしい事態が発覚する。

このスーパーのオーナー、ダニエル・パイバが、火事泥棒を恐れ、意図的に出入口のシャッターを閉めたという事がわかる。


ダニエルは爆発が起きた後、父親であるフアンに連絡し、指示を仰いだ。

フアンは

「金庫の金を全部持ち出し、火事泥棒を防ぐ為に扉のシャッターを閉めろ」

とダニエルに指示する。

ダニエルはフアンに言われた通り、金庫から全てのお金を持ち出すと、店から出たのだった。


爆発を糾弾されたダニエルは、テレビのインタビューを受ける際のふてぶてしい態度が、批判を受けた。

また、テレビに映るダニエルは相当大柄の醜い体格をしており、それも非難の的となった。


ダニエルの友人は
「彼は内向的な性格で自分の利益しか頭にない、悪いパラグアイ人の典型」
と痛烈に非難した。


同日、ダニエルは業務上過失致死の容疑で逮捕され、父親フアンもダニエルに指示を出したという事で緊急逮捕された。

また、警備員5人も業務上過失致死の疑いで逮捕された。


ダニエルは捜査には積極的に応じているが、従業員に出入口のドアを閉めるよう指示した事を否定した。

生存者の1人であるロサ・レスクインは、誰かが

「(出入口を) 全部閉じろ!全部閉じろ!誰1人支払いを済まさず出て行かせないぞ!」

と大声で叫んでいるのを聞いている。

また、事件後、火傷を負い病院で治療を受けていたパトリシア・ベニーテス (17歳) は、
「彼らは私達の目の前でドアを閉じました」
そして、
「外の人々が出口のドアを壊してくれて、はじめて私達は火事から逃げることができました」
と語った。


事件後、日を追うごとに死者や負傷者の数が増えていき、結局、死者464人、負傷者409人、行方不明者数十人という大惨事となった。


事件後、パラグアイでは毎年8月に、国をあげての合同葬儀が行われるようになった。



∽ 総評 ∽

商品の持ち逃げを許さずに出入口のドアを封鎖したダニエル。

この爆発による被害者数464人というのはパラグアイ史上最悪の事態となった。


フアンとダニエル親子は、客が商品を持ち逃げしようとするのをドアを封鎖して防いだのだが、客は爆発と火災から逃げようとしただけで、商品を故意に持ち逃げしようとしたわけではない。

まさにこの親にこの子ありである。


人命よりも商品の持ち逃げを防ごうとし、とにかく店の外に出さないようとした行為は、鬼畜の所業としか思えない。


事件後、遺体が並べられている写真は現在でも確認出来るが、丸焦げで性別も解らず、また、遺体から悶え苦しんだ様子が伺える。

ショッキングな画像なので、視聴される方は注意していただきたい。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★★☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★☆☆☆☆☆
・特異性 ★★★★★★☆☆☆☆
・死亡数 464人
(負傷者409人)
《事故発生日:2004年8月1日》