マイケル・テイラー (イギリス)
【1943~ 】
イギリス・ヨークシャー州オスィットで、テイラーは生まれた。
テイラーはごく普通の家庭に生まれ、何の問題もなく育った。
成人すると2歳年下のクリスティンと結婚もし、幸せな生活を送っていた。
1974年、そんなごく普通の生活を送っていたテイラーに異変が起こる。
テイラーが突如、熱心に『聖書』を読むようになり、キリスト教会に行くようになる。
しかも、それだけではなく、狂信的なキリスト教系カルト教団にも積極的に参加するようになった。
その理由は
「自分は悪魔に取り憑かれている」
からであった。
テイラーがそのように思い込むようになったきっかけは、この1974年に、映画『エクソシスト』が公開され、それをテイラーが観たからであった。
テイラーは映画を観て
「自分にも悪魔が取り憑いているのではないか?いや、絶対に取り憑いている」
と確信し、悪魔から助けてもらうべく、キリスト教に救いの手を求めたのだった。
当時は現在とは違い、こういったオカルト映画に大衆は慣れていなく、しかも、『エクソシスト』は「実話」として配給会社が売り出していた為、悪魔が憑いていると信じる人はテイラーだけではなく、世界各国で思いの他多くいた。
テイラーの「悪魔憑依」はエスカレートしていき、聖トーマス教会で悪魔祓いの儀式を受けるまでになる。
1974年10月6日、ピーター・ヴィンセント司祭 (悪魔祓いとして有名なエクソシスト) が、長時間かけてテイラーへに悪魔祓いを行い、無事に「40体の悪魔」を追い出す事に成功する。
テイラーはこの結果にたいへん喜んだが、とても疲れていた。
帰宅したテイラーだったが、突然、素手で妻クリスティンを殴り倒すと、両目を抉り出し、口に手を突っ込んで舌を引きちぎった。
次にテイラーはクリスティンの顔面の皮膚を爪と指で剥いでいった。
クリスティンは死亡し、全裸になったテイラーほ、クリスティンの血を身体に塗り外に出た。
通報によりすぐに逮捕されたテイラーは、クリスティン殺害について聞かれ
「妻には悪魔が取り憑いていた。だから殺したんだ」
と語った。
裁判が開かれ、裁判官は
「神経症の人間に悪魔祓いを行って心神喪失状態にし、殺人者にした」
と、聖トーマス教会を厳しく非難した。
これに対しピーター・ヴィンセント司祭は
「私たちは彼の身体から悪魔を追い出した。しかし、全員追い出したわけではない。その残った悪魔が彼に殺人をさせたのだ」
と答えた。
結局、テイラーは心神喪失で無罪となり、ブロードムーア精神病院に収容されることになった。
その後、完治したとして釈放されたテイラーだったが、2005年、少女を強姦して再び逮捕された。
逮捕されたテイラーは3年間の精神病院での治療を言い渡された。
最後に妻を殺害後、全裸で外に出た際に、テイラーが叫んだ言葉で終わりたいと思います。
「これは悪魔の血だー!」
∽ 総評 ∽
映画の影響で自分に「悪魔が取り憑ついている」と思い、悪魔が取り憑いている妻を殺害したテイラー。
悪魔崇拝者はシリアルキラーには多いが、自身に悪魔が取り憑いているといって人を殺すのは珍しい。
悪魔の是非については、正直何とも言えない。
ヨーロッパには確かにエクソシストというのは存在し、確固たる地位と権限を得ている。
ただ、私たち日本人からしてみれば、そういう思想は異質で、容易に受け入れ難い。
「ほら、そこに悪魔がいるよ」と言われても、幽霊と同じく目に見えないので、信じろというほうが難しい。
人間というのは何らかの影響を受ける。
それは良い事もあるが、悪いこともある。
よく悪影響を与えるものの代名詞として映画もそうだがゲームも言われる。
残虐なゲームは悪影響を与えるとして、18禁指定されたりしているが、確かに影響を受けて異常な行動に出る人間も少なからずいることはいる。
しかし、私がわざわざ言うまでもないが、ゲームをプレイした人のほとんどが異常な行動を起こさない。
要はプレイした本人次第であり、それをメーカー側に責めた所で何の解決にもならないし、責められてもただただ迷惑なだけだ。
メーカー側も誰も興味のないものを作るわけはないので、結局は大衆がそのような物を求めているのだ。
ただ、テイラーは退院後、少女を強姦しているが、これは悪魔についてどう説明するのか?
妻クリスティン殺害は、クリスティンに悪魔が宿っているので殺したという理屈があるが、少女強姦は悪魔と一体どういう関連があるというのか?
結局、テイラー自身が異常なだけで、悪魔とは何ら関係がないのだ。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★★★☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★★☆
・特異性 ★★★★★★★★☆☆
・殺人数 1人
《犯行期間:1974年10月6日》
コメント
コメント一覧 (6)
この先自分がもし失職、大切な人物との別れなど壮絶なストレスに見舞われた時、正気でいられるのだろうか…
ま、今は考えないでおこうε=ε=┏(・_・)┛
ごもっともですね。
他人事では決してないと思います。
誰だって可能性は秘めているでしょうね。
それにスタンフォード監獄実験の看守と囚人のように、悪魔憑きと悪魔払いと言う特殊なシチュエーションが重なり、事件になってしまったのでしょうね。
マロンさんが語られているように状況によっては誰でもそう言う事件を起こしてしまう可能性は秘めていると言えるとわたしも思います。
北九州の一家の殺し合いもありましたし、何がどう影響してどうなるか分からないですし。
わたしは好奇心もありますが、こういう記事の知識が少しでも予防線になればと思い、読んでる側面があります。
そうですね。
ファリスさんの仰る通り、誰でも可能性は秘めていると思います。
私も気を付けるようにはしていますが、どこでどうなるか解らないですよね。
「自分の中にはまだ悪魔が残ってる、しかも神父様にも払えなかった凶悪な奴ばかりだ…こいつが暴れだしたら絶対に大変な事になる」
ここまで悪魔に怯えていた人なら、こんな風に考えてもおかしくありません。
それが自己暗示みたいに働いて、ついに理性が崩壊してしまったのではないでしょうか?
そして、「まだ俺は悪魔に取り憑かれた悪い奴なんだ」という心理が残っていたため、再犯を犯してしまったとも考えられます。
いっその事、1度目の刑期満了(?)のあと、もう一度悪魔払いを受けさせたらあるいは、再犯だけでも防げたかな…と、思ってしまいます。
確かにそうかもしれないですね。
ただ「自分の中に悪魔がいる」というのが、映画を観てから感じるようになったというのが恐ろしい。
誰もが何かがきっかけでこのような異常な行為を犯す可能性を秘めているということですね。