デビッド・バーグ (アメリカ)
【1919~1994】
デビッド・ブラント・バーグは、1919年2月18日、アメリカ・カリフォルニア州オークランドで生まれた。
バーグは1960年代後半、アメリカ・カリフォルニア州南部オレンジ郡のハンティントンビーチで、「キリストからの新しいメッセージ」を伝える布教活動を始める。
バーグが聞いたメッセージとは、キリスト教原理主義と、フリーセックスを混ぜ合わせたもので、当時流行していたヒッピーな若者たちの心を掴んだ。
信者は瞬く間に増え、1968年、バーグは新興宗教団体「神の子供たち」を設立する。
1978年、教団は「ファミリー・インターナショナル」と名を変え、「ザ・ファミリー」と呼ばれるようになる。
信者は世界中におり、その大半がコミューン (生活共同体) を形成し、集団生活を送っていた。
コミューンは「コロニー」と呼ばれていたが、現在では「ホーム」と名前を変えている。
バーグは自身のことを『世紀の預言者』と自称し、自分の発した言葉を『モー・レター』としてまとめ、これは神からの新しい啓示だとした。
信者はバーグの事を聖書における重要な預言者であるモーセにちなみ「モーセ・デビッド」と読んだり、親しみを込めて「ダッド (おとうさん) 」また「グランパ (おじいちゃん) 」と呼んだ。
バーグは「モー・レター」で、この世を動かす「システム」は、神が人間に与えてくれた性交渉の喜びを封じ込み、悪だと批難しているが、そもそも性交渉とは神から与えられた祝福なのだと説いた。
「自慰行為も性交渉も好きなだけすればいい。神が楽しむようにと与えて下さったものなのだから。恐れる事なく、非難されることなく、どんどんするべきだ」
と述べ、女性信者たちにはブラジャーを捨て、公共の場でもトップレスとして過ごすよう言い渡した。
1974年、バーグは女性信者に対して
「『キリストの娼婦』となり、性交渉を通じて神の愛を表現し、新しい信者を獲得する『浮気釣り』をする」
よう命じた。
簡単に言うと、信者の女性の身体を使って新たな男性信者を誘惑しろということであった。
このバーグの言葉を聞いた、普通のキリスト教信者達は大いに怒った。
キリスト教は基本的に配偶者意外との性交渉を禁じていたからだ。
「キリストの名を汚すたけで、風紀を乱すのは止めろ」
とバーグを痛烈に非難した。
イタリアではこの「浮気釣り」をした女性信者を、売春行為をしたとして逮捕し、裁判沙汰になったこともあった。
この「浮気釣り」は世界中で物議を醸し、1988年にやっと終了すると宣言されたのだが、バーグと「ファミリー・インターナショナル」が世間から最も非難された理由は、この「浮気釣り」もそうだが、幼児や子供にも性交渉させ、性の快楽の為には近親相姦も辞さないという歪んだ思想であった。
尚、「神の子供たち (ファミリー・インターナショナル) 」は、男性同士の同性愛、ホモセクシャルは固く禁じた。
だが、女性のレズビアンも罪だと禁じていたものの、バイセクシャルは良しとしており、これは乱交をする為の都合のいい教えであった。
バーグは「モー・レター」に、自身が3歳の時、ベビーシッターの女性が、バーグの目の前で自慰行為をし、バーグの幼い小さな陰茎を口でしゃぶり、気持ち良くしてくれたという思い出を綴っていた。
「近親相姦という近い者との性交渉は、天地創造から2600年後に作られたモーセの律法まで違法ではなかった」
「兄弟が姉妹と、母親が息子と、父親が娘と結婚することは、昔はごく普通のことであり、近親相姦だとタブー視されることはもちろんなかった」
と主張し、信者達に性的に興奮し欲するならば近親相姦しても良いのだと勧めた。
バーグの妻カレンは、1975年に「浮気釣り」で妊娠した男児を出産。
バーグはこの子を『神の王子』たとし、バーグの子育ての様子を写真や挿絵を沢山入れた本にした。
本は子育て日記のような構成になっており、「神の教えにそった新感覚の子育て」として紹介した。
その日記には、家庭教師サラ・ケリーや沢山の乳母が、男児の陰茎を綺麗にする為に舐めたり、大人が性交渉するのを見せたり、幼児にも性交渉で気持ちよくなってもらうという常識では考えられない異常な子育て方法を独自に展開した。
幼児の全裸写真や、サラと男児が性交渉する写真も貼られ、信者と子供としてコミューンで生活する子供に対する性的虐待だとして、各国で問題となった。
余談だが、サラと性交渉させられた男児は、後に脱退し、子供の頃のおぞましい性体験に悩み、精神的に病んでしまい、自分に性的な行為をした女性を殺害し、その後、自殺している。
元女性信者は、この男児が11歳の時、産みの母親カレンとインターコース (挿入を伴う性交) を行っているのを見たと証言しており、
「私も5歳の頃からバーグから性的いたずらを受けてきた。そして、12歳になった時、バーグに強姦された。女の子は皆、12歳になったらバーグと性交渉しなければいけない決まりだった」
と語り、「神の子供たち」は地獄であったと語っている。
男児は自殺する前に遺言ビデオを撮影しており、自分や姉、「神の子供たち」の子供達が幼い頃から受け続けた性的いたずらや虐待、近親相姦、強姦は許せないものだと主張していた。
この事件後、「神の子供たち」信者の両親のもとで生まれたという1人の女性が、女性誌『コスモポリタン』で、「神の子供たち」での狂気に満ちた性交渉、脱退に至るまでの経緯を告白し、大きな話題となった。
告白した女性はセレステ・ジョーンズといい、後に2人の妹と共同で「神の子供たち」に関する暴露本『Not Without Sisters』出版している。
セレステは13歳の時、母親が性交渉を強制される子供達を見ることが耐えられなくなり、弟と妹を連れて「神の子供たち」を脱退し、イギリスに帰国した。
イギリスに帰った母親は、カルト教団の実態を訴え、セレステを取り戻そうと必死に奔走した。
しかし、「神の子供たち」はセレステを国から国へと移動させ、イギリス大使館に保護されてしまうと警戒し、タイにセレステを監禁する。
セレステは18歳の時、ようやく脱退し、イギリスの親の下に戻る事が出来た。
「神の子供たち」の子供たちは、一般的な学校に行くことを禁じられ、時には道端を行き交う人にお金をねだるよう指示もされた。
些細なことで「罪な行為」だとして叩かれる事も日常茶飯事であった。
そんなセレステの暴露本により、
「子供を性奴隷として支配下におく、とんでもないカルト教団だ」
と世界中で非難する声が上がった。
1994年10月1日、バーグはポルトガルで死去する。
享年75歳であった。
バーグ死亡後、「ファミリー・インターナショナル」は、妻カレンが引き継ぎ、「ママ」や「ママ・マリア」などと呼ばれ、現在に至っている。
∽ 総評 ∽
独自の性思想により自身も含む信者にも徹底して科したバーグ。
基本的に教祖は自身だけ欲望を満たせればよく、信者を人間として扱わない傾向にあるが、バーグの場合は、信者に対しても独自の性教育を徹底的に仕込んだ。
それは近親相姦だろうが、幼児だろうが関係なく、脱退した元信者はそのトラウマに苦しんでいる者も少なくない。
この事は非常に珍しく、そういった意味ではバーグは教祖、信者問わず平等だと言える。
余談だが、俳優のリヴァー・フェニックスも被害者の1人で、フェニックスはわずか4歳にして童貞を喪失し、その後、この時のトラウマに悩まされ、後に薬物の過剰摂取により自殺している。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★★☆
・特異性 ★★★★★★★★★☆
・殺人数 0人
《犯行期間:1968年~ 》
コメント
コメント一覧 (12)
「愛の家族」とは別のイカレ教団なのでしょうか。
読ませていただいたばかりで検索もせずに感情にまかせて書いてごめんなさい。
別教団かどうかは自分で検索して調べてみます。
リバー・フェニックスの両親が宗教関係者だったとは彼の生前から
聞いていましたし、死因は芸能人に少なくはない(←偏見かも)
単なる薬物中毒と思い込んでいましたが、
その原因が、このイカレ教団による虐待だったとは・・
日本でも話題になったのは間違いないですね。
ただ、あまりに突拍子もない発想に、まともな日本人はついていけなかった様ですね。
私の掲載している事も本人から聞いたわけではないので、絶対とは言えないですが、まだ性的に発育していない時期の性行為は、後の成長過程において多大な影響を及ぼすのは間違いないと思います。
多分、リバー・フェニックスも、この事が原因で薬物等に手を出し、結果、自殺してしまったのではないでしょうか。
なるほど、仰る通りですね。
好きな事もずっとだと嫌いになる事多いですもんね。
特に5歳6歳なら性欲もないので性行為の楽しさなんて解らないので余計苦痛ですね。
国によって年令は違うでしょうが、十代前半と性行したら普通に刑法に引っ掛かるんじゃないのかなと…
不思議です
本当ですよね。
日本なんか比べものにならないくらい児童ポルノに厳しい国なのにって思います。
時代もあると思います。
ちょうどヒッピーカルチャーブームでしたから、そういった歪んだ思想がはやったのだと思います。
そうなんですね。
そのテレビドラマは知らなかったです。
仰る通り子供が最大の被害者ですよね。
親は好き勝手自由にすればいいですけど、子供を巻き添えにしないで欲しいですよね。
なるほどそうとも考えられますね。
みんな性のことについて集中するので、他のことについては無視状態ですけど、もちろん性の異常制が私たちにとって一番辛かったですけど、他もどこをとっても児童虐待でした。
ちなみにリヴァー・フェニックスは自殺ではなく、死んだ日時がちょうどイギリスの家庭裁判が始まる4日前というのもあって多分誰かはわかりませんが殺されてます。
トイレで通常は混ぜないような薬物を渡されて、ノリで飲んでしまって、そのまま死に至ったそうです。
上のURLにはリッキー・ロドリゲスの遺言ビデオが載っています。
このこと、誰に話しても信じてもらえず、苦しいです。
https://youtu.be/A4FGob-iR8Q
私も、詳しくはないですけど、この事について話してます。
このぐらいの経験をすると一番自分にとって辛かったことどうしても言えないので。
この事実を知って、あまりに変なことを言ってるようでまず信じない人が多いようですけど、誰一人自分の一番辛かったことは話していません。 自分でも受け入れるのが難しいので、口に出すまで自分を持ってこれないんですよね。 このくらいの経験をした人はほぼ全員そうなんじゃないかと思います。
確かにそうですね。
自殺ではなく殺された可能性が高いというのは何とも恐ろしい話ですね。
当然でしょう。
強姦された人が自分のされた事を見ず知らずの人に鮮明に堂々と話せるわけがありません。
私は中学生の時、担当の美術の先生が過去に生徒に強姦されていたのですが、もちろん聞けないし話す事もないです。
ただ、ある時、自分達生徒に教訓として少しだけ触れていた事がありましたが、先生は泣いていました。
自分達には想像のつかない程辛いというのが子供ながらにわかりましたね。