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ジャスティナ・モーリー (アメリカ)
【1988 ~     】



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エドワード・レイモンド (アメリカ)
【1986 ~     】



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ドミニク・コイア (アメリカ)
【1985 ~     】



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ニコラス・コイア (アメリカ)
【1986 ~     】



2003年5月30日、アメリカ・ペンシルベニア州フィラデルフィアで凄惨な事件が起こる。

ジェイソン・キール・スウィーニー (16歳♂) は、 フィラデルフィアで父親と一緒に建設現場で働いていた。

真面目に働くスウィーニーは、好意を抱いている女の子がいた。

その女の子はジャスティナ・モーリー (15歳) といい、モーリーは地元の高校に通う女子高生であった。

モーリーはスウィーニーが自分に好意を抱いている事を知っていた。

そして、スウィーニーが建設現場の仕事で500ドル (約5万円) を得たという情報を聞きつけると、モーリーはスウィーニーに

「抱かせて上げる」

と囁き呼び寄せる。

スウィーニーをデラウェア川の近く、フィッシュタウンの森の中に呼び寄せると、そこにはモーリーの他に、レイモンド (16歳) と、ドミニク (17歳) 、ニコラス (16歳) のコイア兄弟の4人が待ち構えていた。

モーリーを除く3人は、それぞれ煉瓦やハンマー、手斧等で武装していた。

実はその中のレイモンドは、スウィーニーとは小学4年からの親友であった。

しかし、モーリーの指示の下、3人はスウィーニーに襲い掛かる。

親友であるレイモンドは、スウィーニーの頭部を4、5回殴り付けた。

それが口火となり、3人は無抵抗なスウィーニーをよってたかっていたぶり、その暴行は凄惨を極めた。

ぐったりと動かなくなったスウィーニーの頭部に更に岩と手斧で殴り付け、スウィーニーの頭はぐしゃぐしゃになった。

それは、唯一残った原形が左の頬骨のみという非情なものであった。

殺害が終わると、お互い健闘を称え抱き合い、モーリーらはスウィーニーが持っていた500ドルを奪うと、それを山分けした。

そして、モーリーらはその奪ったお金で、マリファナやヘロインなどを買い、パーティーに出掛けた。


スウィーニー殺害はすぐに発覚し、モーリーら4人はあっさり逮捕される。

スウィーニーの死体を見た警官は、日頃からいくつもの殺人事件を見ているが
「初めて見た時、背筋が凍るような残虐さであった。とても少年少女が行ったと思えない残酷な事件だ」
と後にコメントするほどであった。


裁判が開かれ、ドミニクはスウィーニー殺害は何日も前から計画されていたと供述した。

また、殺害する前にビートルズを40回以上聞き、気持ちを高ぶらせていたこともわかった。

ドミニクの友人ジョシュア (18歳♂) は、レイモンドがスウィーニー殺害の日に、スウィーニーが給料をもらう事を知っていたと発言した。

また、ジョシュアはモーリーがスウィーニー殺害を3人に指示したとも述べた。

検察官はスウィーニー殺害後のモーリーらの様子をジョシュアに尋ねると
「彼らは非常に興奮していて、幸せそうだった」
と発言した。

モーリーらは全員麻薬常習者であったが、スウィーニー殺害前には使用していなかったことがわかった。

ドミニクに対する尋問では

「私は今と同じように正常でした」

と答えた。

また、レイモンドに親友のスウィーニーを最初に殴った時の様子を聞くと、スウィーニーは、
「殺さないでくれ」
と言っていたが、それでも殴り続けたとレイモンドは発言する。

また、スウィーニーは
「お願いだ。止めてくれ」
と言ったが、再び手斧で殴ったとレイモンドは発言した。

最後はスウィーニーの左顔面に大きな岩を落としたと、当時の状況を語った。


裁判ではレイモンドとコイア兄弟は、それぞれモーリーに指示されたと発言した。


1988年3月7日生まれのモーリーは、わずか10歳からマリファナを吸い始め、その後、コカインにも手を出し始めた不良少女として有名であった。


また、10歳の頃から手首を切る自傷行為を繰り返していた。


2002年、モーリー14歳の時、自傷行為を繰り返していた為、精神異常と判断され入院した。

薬を飲むが一向に良くならず、モーリーは家に帰してくれないのなら自殺すると、母親に告げる。

病院も承諾し、母親はモーリーを引き取って帰った。


また、モーリーはスウィーニーを殺害する数日前、ヘロイン欲しさにニコラスとレイモンドと性交渉を行っており、自身の体を使い、少年たちを肉欲の虜にして支配した。

モーリーの弁護士は、モーリーがこのような事件を起こした理由に、幼い頃からの自傷行為を繰り返す精神的不安定さと、薬による情緒不安定に苦しんでいたからだと、裁判官に力説する。

精神科医ウィリアム・ラッセルも、モーリーがスウィーニー殺害の前年にも2度自殺を図ったと説明した。

しかし、スウィーニーの弁護士は、スウィーニー殺害におけるモーリーの重要な役割を指摘する。

裁判官もスウィーニーの弁護士の意見に同意し、モーリーは未成年ながら大人と同じ方法で裁くと判断する。

だが、裁判官はモーリーの精神状態や証言を引き換えに第三級謀殺で、懲役35年をモーリーに言い渡した。

レイモンドとコイア兄弟も、モーリーに指示されたと言えど、その罪に差はなく、また、モーリーよりも歳が上と言うこともあり、モーリー同様大人として裁かれることになった。

第一級謀殺及び共謀行為、強盗と犯罪道具の所持で裁かれ、一時は死刑判決もあり得る状況であった。


2005年3月、3人には仮釈放なしの終身刑が言い渡された。


最後に刑務所内でモーリーが書いた手紙の一部を紹介して終わりたいと思います。

「私は人を操る事が非常に楽しい」



∽ 総評 ∽

わずか500ドル欲しさに殺人を行ったモーリーと少年たち。

しかも、そのお金でコカインやヘロインを買い、何もなかったかのようにパーティーに出掛けるという異常さであった。

モーリーに至っては体を餌に呼び寄せ、しかも、少年たちをコントロールし、殺害までさせている。

正直、レイモンドら少年3人はおまけみたいなもので、モーリーの残虐ぶり冷酷さは群を抜いている。

日本でも集団リンチや殺害等は起こっているが、これほど短絡的で安直な発想での殺害はそうあるものではない。

また、首謀者が少女で一番年下であり、しかもわずか15歳 (しかも15歳になったばかり) という構図が、よりこの事件のインパクトを助長している。

スウィーニーはモーリーからの誘いを断れば、死なずに済んだかもしれない。

ただ、好きな女の子と性交渉できるとなれば、16歳の特に多感な時期の少年に断れという方が酷かもしれない。

だが、その一時の行動で人生が終わってしまった。

このモーリーの残忍さは、以前掲載したメアリー・ベルと似ている。

仲間を操り対象を躊躇もなく惨殺する。

良心というものが完全に欠落し、人を人とも思っていない。

また、裁判でドミニクが

「モーリーが僕たちを言葉巧みに操った」

と発言したが、モーリーは

「まったくその通り」

とドミニクの発言に対して否定しなかった。

普通、裁判では減刑を求める為、裁判官や陪審員の心証を良くしようと嘘でも「そんなことしてない」等言いそうなものだが、モーリーはそんな気はさらさらなかった。

個人的意見だが、このモーリーは女性殺人鬼としてはトップクラスに入る恐ろしさだと感じた。



§ 追伸 §

以前、大松さんからのリクエストで、今回の記事掲載に至りました。

本件は日本語での文献が非常に少なく、私なりに英語を解釈して掲載しました。

その為、実際の内容と若干異なる点があるかもしれませんので、その点はご了承下さい。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★★★
・残虐度 ★★★★★★★★★★
・異常性 ★★★★★★★★★☆
・特異性 ★★★★★★★★☆☆
・殺人数 1人

《犯行期間:2003年5月30日》