ジョン・ヘイグ (イギリス)
【1909~1949】
1909年7月24日、イギリス・リンカンシャー州スタンフォードでヘイグは生まれた。
ヘイグの家は狂信的なキリスト教徒で、ヘイグは理不尽なまでに厳しく育てられた。
子供の頃のヘイグは真面目で、頭も良く優等生であった。
それは、『聖書』を完璧に暗記するほどの頭の良さであった。
また、動物が好きで生き物に非常に愛情を注いだ。
しかし、一方で血を舐めて味わうという隠れた異常な趣味を持っていた。
ヘイグには幼少の頃から嗜血症の症状があった (この点はペーター・キュルテンと似ている) 。
成長したヘイグは常習的な犯罪者となっていく。
そんなヘイグは25歳の時、結婚する。
ヘイグの最初の殺人は、財産目当ての殺人であった。
ヘイグは目をつけた金持ちを工場におびき出し、銃で射殺する。
その後、ナイフで首を切り裂き、溢れる生き血を持参したコップに注ぎ、思う存分、堪能した。
満足するまで血を飲むと、工場にあったドラム缶に死体を入れ、硫酸で溶かした。
一気には溶けないので、何日もかけて硫酸を継ぎ足し、長時間かけて溶かしていた。
ヘイグは死体さえ見つからなかったら、事件そのものが存在しないことになり、 安全だと考えていた。
そのようにしてヘイグは殺人を繰り返した。
だが、いくら硫酸と言えども跡形もなく綺麗に無くなるわけではなく、胆石や入れ歯、骨などが多少は残った。
また、いくら死体が無くとも、殺害された人物には遺族や知人がおり、ヘイグと接触していたのを見たことがある人もいたのである。
重要参考人として警察の取り調べを受けたヘイグは、これまで6人を殺害したことを自供。
殺害方法、死体の処理方法、血を飲んでいたことなど、全て話した。
裁判でヘイグには死刑が言い渡された。
刑務所に入ったヘイグは、ペットの愛犬がどうなっているか心配し、自分が死刑になった後、どうなるか気にしていたという。
1949年8月10日、イギリス・ロンドンのワンズワース刑務所内で、絞首刑による死刑が執行された (現在は廃止されているが、この時代はまだイギリスも死刑があった) 。
享年40歳。
∽ 総評 ∽
『硫酸風呂の殺人者』と呼ばれ、死体を硫酸で溶かしたヘイグ。
かなり特殊な死体処理方法ではあるが、同じような方法で死体を処理しようとするシリアルキラーは少なからず存在する。
ヘイグの考え通り、基本的には死体が上がらないと事件にはならない。
ただ、それは殺害相手が天涯孤独で、周りに誰もいない時だけだ。
知人がいれば「最近見かけない」となるし、遺族がいれば行方不明となり、警察に捜索願いを出すのは当然だ。
ヘイグは結末は、自身の無知が生み出した当然の結果であろう。
【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★★★★☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★★☆
・特異性 ★★★★★★★★☆☆
・殺人数 6人 (一説には9人)
《犯行期間:1944年9月~1949年》
コメント
コメント一覧 (12)
双方向性のない、血の通わない規範を一方的に押し付けるコミュニケーションで、共感能力や自我が発達するとは思えません…
そういえば、私の親も話がまったく通じない人間で、これは自分を守り、要求を通すには暴力しかない、と思ったこともあります。勿論行動には移しませんでしたが。
そうした人もいたと思います。
栃木実父殺しみたいに
その対象が親じゃなかった人もいるでしょう。
抑圧され適切なコミュニケーションを学べなかった人間は、認知の歪みから、安易な実力行使で欲求を充たしてしまうのかもしれませんね。
人間は基本、他人からの命令や指示を嫌がります。
抑圧的に無理矢理押し付けると反発を生み、反発できない環境の場合、自分の心の中に押し込めます。
そうなると、やっぱり精神状態の安定性が欠落していくのだと思います。
あさんはそのような家庭環境だったのですね。
筆者の従兄弟も、幼い頃に両親が離婚し、母親 (叔母) に引き取られました。
叔母はすぐ再婚したのですが、その継父に従兄弟は虐待を受けたので、中学生くらいの時は手のつけられない非行少年になりました。
人間、家庭環境は相当大事ですね。
そうですね。
財産目当てのついでに血を飲んだのか、血を飲むついでに財産を頂いたのか、本人に聞いてみないとわからないですね。
どちらにしても猟奇的には違いありませんが。
以前、掲載したリチャード・チェイスみたいに、「血を飲まないと死んでしまう」という精神異常から飲むのならまだ理由としてはわからなくもないのですが。
そうだったんですね!
『クロックタワー』シリーズは好きでよくプレイしていたのですが、まさかモデルがいてしかもそれがジョン・ヘイグだったなんて。
たいへん勉強になります。
でも本当の意味は死体が見つからないことではない。犯罪を犯した事実がまったくないということだ。裁判ではどうせ処刑にはならないだろうとクロスワードをしてた。でもちゃんと彼が人を殺した証拠がたっぷりあったからすぐに有罪判決が出て処刑されてしまった。死んだあとでゲームや映画のモチーフになってしまった。死んでから硫酸野郎と言われ、永久に物好きの目にさらされる。なんとも愚かな殺人犯だ。
確かにかなり特殊な処理方法ですね。
仰る通り哀れな殺人鬼です。
仰る通りですね。
最後はすきっとしますね。
動物には優しかったのですかね??
確かにサイコパスの人は動物虐待は定番ですね。
詳細がないのでわかりませんが、どうだったのでしょうか。