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ケーシー・アンソニー (アメリカ)
【 1986 ~      】



2008年7月15日、警察に年配の女性から通報が入る。

その女性は1ヶ月ほど前から孫のケーリーが行方不明であると言うのだった。

その女性はケーリーに会ったのはちょうど1ヶ月前の6月16日で、その後、自身の娘でケーリーの母親であるケーシーにいくら頼んでも会わせてくれなかった。

ケーシーが言うには

「テーマパークでの仕事が忙しい」
「ベビーシッターに預けてあるから」

と言っては会わせようとしなかったのだ。

通報を受けた警察が捜査に乗り出すと、5ヶ月後の12月になり、実家裏の林の中から白骨化したケーリーの遺体が発見された。

真っ先に疑われたのが母親のケーシーであった。

まず、ケーシーが母親に「テーマパークの仕事が忙しい」と言ったが、ケーシーはテーマパークで働いて等いなかった。

また、「ベビーシッターに預けてあるから」というのも嘘で、ケーシーはベビーシッター等雇っていなかったのだ。

ケーシーはこれらの件で、虚偽陳述及び育児放棄により、逮捕されることになる。

事件が報道されると、ケーリーの可愛らしさに加え、母親ケーシーの美しさが話題を呼び、事件は全米の注目を浴びた。

マスコミの報道は連日過熱していき、ケーシーの過去の行状まで露になる。

ケーシーは娘が行方不明である1ヶ月もの間、警察に通報しないどころか、ボーイフレンドとパーティーで夜な夜な遊び歩いていた。

この時のナイトクラブで浮かれているケーシーの写真が流出した。

裁判で検察側はケーシーがケーリーの口や鼻を粘着テープで窒息死させ、数日後に遺体を遺棄したと主張する。

一方、ケーシーの弁護側は、ケーリーが自宅のプールで遊んでいる時に溺れ、水死してしまったことに慌ててパニックとなり、隠蔽したと主張した。

裁判の様子は生放送されたが、法廷に映し出されるケーシーのふてぶてしい表情に、視聴者は不快感を示し、ケーシーに対する風当たりは強くなっていった。

ケーシーの嘘だらけの主張に、視聴者は犯人はケーシーと確信し、有罪となることを信じていた。


だが、2011年7月5日、陪審員によって出された判決は「無罪」であった。

ケーリーの遺体の白骨化が進み、死因と死亡時刻が特定出来ず、ケーシーが殺害したという決定的な証拠がなかった。

また、検察側はケーシーを第一級殺人で起訴しているのだが、これはもし有罪となったなら、死刑になることを意味している。

証拠は不十分、しかもまだ25歳のケーシーを有罪にすることに陪審員達が躊躇してしまったのだ。

しかも、アメリカの司法制度では、原則、検察側が判決が不服だからといって控訴することはできない。

ケーシーはその為、ケーリー殺害については無罪となり、偽証罪でのみ有罪となり禁固4年、罰金4000ドルの支払いを言い渡した。

しかし、すでに起訴後、3年近く拘留されている事を考慮され、更に拘置所での態度が良かった為、ケーシーはすぐに出所した。

この判決にアメリカ国民が激怒する。

裁判で無罪が言い渡された際のケーシーの不適な笑みに、視聴者から反感が相次ぎ、矛先はケーシーを無罪にした陪審員たちにも及んだ。

陪審員たちには多数の脅迫が届き、とあるレストランでは
「アンソニーを無罪にした陪審員お断り」
とわざわざ謳う所もあったほどであった。

その反面、アメリカポルノ誌がケーシーに出演交渉を行うなど、ケーシーの話題性を利用しようとしたメディアも多数存在した。


最後にケーシーの左肩に刻まれた刺青の文章を掲載したいと思います。

『美しき人生』



∽ 総評 ∽

わずか2歳の娘が行方不明だというのに、ボーイフレンドとパーティーに出掛けていたケーシー。

正直、陪審員たちがケーシーを「無罪」とした理由は理解できない。

前述したとおり、確たる証拠がなかったとしても、ケーシーの言動は嘘まみれで、娘が行方不明というのにまるで気にしないかのように遊び呆けている。

誰がどうみてもケーシーが無実だとは思えない。

弁護側の主張した「自宅のプールで溺れ、パニックになって隠蔽した」というのも、明らかに苦しい言い訳にしか聞こえない。

仮にそうだとしても、その後、娘が死んでしまったことを両親に言わないのはおかしいし、娘が死んだ直後にナイトクラブで遊びまくるのはどうみても普通じゃない。

もし本当にケーシーが無実であるならば、もっと行動を慎むべきだったであろう。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★★☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★★☆☆☆
・殺人数 1人

《犯行期間:2008年6月》