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マイケル・ブリーロ (アメリカ)
【 1981 ~      】



2012年11日29日、アメリカ・オハイオ州クリーブランドの市警本部を通過した際、ティモシー・ラッセルと、マリッサ・ウィリアムズのカップルの乗る車が、バックファイアー (エンジンのシリンダー内部の吸気管が逆流を起こす現象) を起こした。

このバックファイアを警官らが銃声と勘違いしてしまい、すぐに車を追尾した。

市警本部前ということもあり、すぐさま60台以上の警察車両で追跡した。

ラッセルとウィリアムズの乗る車は、時速190キロ以上で逃走。

それを60台以上の警察車両で追う様子はかなり危険であり、異様であった。

その後、ラッセルとウィリアムズの車は停止し、警察車両が車を包囲する。

そして、ブリーロを含む12人の警察が、車に向かい137発もの銃弾を発砲。

更にブリーロはボンネットの上にのぼり、15発の銃弾を発砲する (ちなみにブリーロはボンネットからの15発以外にも34発、合計49発も1人で発砲していた) 。

ブリーロが放った銃弾の1発がラッセルを、2発がウィリアムズに致命傷を与え、死亡させた。

ラッセルとウィリアムズは武器を一切所持しておらず、事件当初から
「やり過ぎだ!」
という声が多く届き、また殺害されたのが黒人カップルで、射殺したのが白人警官ということもあり、
「黒人差別だ!」
と警察に対して抗議が相次いだ。

非難の声を受け、ブリーロは緊急逮捕され、殺人罪で起訴された。

裁判が開かれるが、法廷は終始ブリーロを擁護するような流れで進む。

ブリーロが故殺だったとする場合、
「合理的な疑い」
を超える証拠が必要だとされた。

また、
「状況は緊急で、武器を所持していたかどうかわからない中、早まった発砲とは言えない」
と指摘された。


2015年5月23日、裁判所はブリーロに対して「無罪」を言い渡した。

裁判官は判決で
「経験を積んだ警察官にとっても難しい状況の中の行動だった」
との判断を下した。

判決を受け、市内では多数の住民による抗議デモが発生する。

実は同市では、2014年11月に、エアガンを持った黒人少年が警官に撃たれて死亡するという事件があり、警察への不信感が高まっているということもあり、今後、デモは大規模になる可能性が高い。



∽ 総評 ∽

無抵抗な黒人カップルを射殺したブリーロ。

ブリーロからしてみれば、仕事を忠実に遂行したまでだろうが、事件をみる限り、ブリーロがやり過ぎたと言われてもしょうがない。

事件の内容を読んで「警察に否がない」と直感的に思う人はどれだけいるだろうか?

私も初めて読んだ時、書いている通りやり過ぎだと感じた。

確かに、バックファイアだったならラッセルは逃げる必要はなく、190キロも出して走れば危険であるし、そこまでして逃げるからには何らかの原因があると判断してもおかしくはない。

ただ、皆さんも1度は経験したことあると思うが、車で普通に走ってて、警察に出会うと、何も悪いと事をしていないのに緊張したりするものだ。

しかし、ボンネットの上にのぼり、追い討ちをかけるように15発も撃ったのは明らかに過剰だ。

アメリカではこのような事件が多く、問題となっている。

仮にこれがブリーロ自身も重傷を負って、2人を殺害しなければもちろん問題になることはない。

撃たれるのは誰でも嫌だし、死ぬのも誰でも嫌だ。

ただ、アメリカのような銃社会において警察になるということは「もしかしたら撃たれるかも」という覚悟があるはずで、それは日本の警察の比ではない。

誰もブリーロに頼んで警察になってもらったわけではなく、ブリーロ本人がなりたくてなったのだ。

もし、そんな危険な目に遭いたくないのなら、警察になんかならなければいいだけの話だ。

私は警察になったこともなく、警察の知り合いもいないので、偉そうなことはいえないが、そもそもブリーロの警察官という覚悟が足りなかったのではないのだろうか。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★☆☆☆
・特異性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・殺人数 2人

《犯行期間:2012年11月29日》