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ジュリア・マーフェルド (アメリカ)
【1991~ 】



ジュリアはアメリカ・ミシガン州マスキーゴン郡で、夫ジェイコブと2人の子供と生活していた。


ジュリアとジェイコブ夫妻は結婚5年目で、夫ジェイコブはアメリカ沿岸警備隊で働いていた。


一見、幸せそうに見える家庭生活であったが、ジュリアには不満が溜まっていた。

ジェイコブは仕事柄出張が多く、家を空ける事が多かった。

その為、家事や育児は全てジュリアに任せっきりであった。


そして、ジュリアが何より許せなかったのが、ジェイコブが夜な夜なインターネットでポルノサイトを観ている事であった。


ジュリアはパート先の仲間であるカルロス・ラモスに、

「沿岸警備隊は生きているよりも死んだ方が価値が高い」

と告げる。

「どういうことだ?」
とカルロスがジュリアに聞くと、

「沿岸警備隊は危険な仕事だから、生命保険がたっぷりとかけられている」

と返答した。

事実、アメリカ沿岸警備隊は、海難事故や密輸取り締まり等、危険を伴う仕事な為、生命保険の金額が高くかけられていた。


また、ジュリアはカルロスに

「夫には40万ドル (約4000万円) の保険がかけられている。つまり、夫にはそれだけの価値があるの」

と語った。

この時、カルロスはアメリカン・ジョークだと思って聞き流していた。


ジュリアはこのままジェイコブと一緒の生活では人生が終わると考え、離婚を考えるようになる。

そこで、色々調べてみるが、離婚すると親権問題や財産分与等で必ず揉め、しかも弁護士費用も高い事に気付く。


そこでジュリアが考えたのが、離婚が面倒なので、

「殺してしまえばいい」

というものであった。


そして、ジュリアはカルロスに

「家の窓の鍵を開けておくから、家に強盗のふりで入って来て欲しい。そして、寝室で寝ているジェイコブの頭を銃で撃って欲しい」

と頼み、更に、

「後は強盗殺人に見せる為に部屋を荒らせば疑われる事はない」

と話した。

カルロスが
「本気か?」
とジュリアに問いただすとジュリアは、

「もちろんタダでとは言わないわ。保険金でもらう40万ドルうち、5万ドル (約500万円) を報酬として上げるわ。それだけあればあなたの欲しがっている車も買えるでしょ?」

とカルロスを説得した。

しかし、カルロスは自分には無理だと断り、代わりに友人の殺し屋をジュリアに紹介する。


だが、カルロスはすぐに警察に通報。

警察はおとり捜査をする事に決め、捜査官がカルロスが紹介した殺し屋に扮し、ジュリアと会うことに決める。


2013年4月10日午後3時43分、待ち合わせした駐車場の車の中で、殺し屋に扮した警官が待っていると、そこにジュリアが現れた。

警官は証拠の為に小型のビデオカメラを仕込み、会話の一部始終を録画することにした。


殺し屋に扮した警官が
「とりあえず、どんな事を計画している?」
とジュリアに問い掛けると、ジュリアは

「夫が死んだら女友達が家に引っ越して来て一緒に住むの。だから家の中で殺して彼女を怖がらせたくない」

と言った。

「家の中で殺したくない?」
と聞くと、ジュリアは

「だって、家の中が汚れるでしょ?」

と笑いながら答えた。

また、

「もし、彼が死んだ事で私を驚かすのであれば、来週か再来週の木曜日がいいわ」

と、決行日を告げた。


翌日、再びジュリアは殺し屋に扮した警官と会うことになり、ジュリアは会うなり自分が考えた殺害計画を手渡した。

内容は家の間取りや、夫の写真など、綿密なものであった。

そして、殺し屋に扮した警官に100ドルを手渡した。


だが、ジュリアは契約が成立すると、

「出来れば彼を一番痛くない楽な方法で殺して欲しい」

と話し、

「なんか悲しくなってきた」

と言い、涙を流した。

また、

「夫とは別に仲が悪いわけじゃないの。聞こえは悪いけど、殺す方が離婚するより楽なの。それが家族に気を遣わせないし、彼の心を傷つけないやり方だと思う」

と発言する。

「とにかくどんな方法でもいいから、彼が苦しまないように殺して」

と念を押した。


このやり取りが証拠となり、すぐにジュリアは逮捕された。


2013年7月30日、殺人教唆で起訴されたジュリアは裁判で、涙を流しながら

「間違ったことをしたのはわかっています。この涙は同情を誘うものではなく、後悔の涙です」

と発言する。


夫であるジェイコブも出廷しており、裁判前にジュリアの殺人依頼の録画映像を観ていた。

自分の殺人教唆映像を観たにもかかわらず、ジェイコブは
「妻の罪を軽くして欲しい」
と切望し、更に、
「妻はまるで神のような女性です。それはこれからもずっと変わることはありません」
と、自分を殺そうとした妻をジェイコブはかばった。

このジェイコブの発言に裁判内はおろか、世間は騒然となる。


ジュリアは

「正直言うと、刑務所には行きたくありません。それは誰だってそうだと思う」

と裁判の最後でそう綴っている。


結局、夫の擁護もあり、ジュリアには禁固5年8ヶ月が言い渡された (殺人教唆は重ければ終身刑もあり得る重罪であった) 。


現在、ジュリアはミシガン刑務所に服役中であり、2018年に出所予定である。

余談だが、夫ジェイコブはジュリアとは離婚しておらず、ジュリアの帰りを待っている。



∽ 総評 ∽

夫殺害を「離婚が面倒だから」と殺し屋に頼もうとしたジュリア。

しかも、それはまるで友達と食事の約束をするかのような軽いノリで頼む異常さであった。

また、そのジュリアに殺されかけたにも関わらず、ジェイコブはそれでもジュリアを愛しているという変わらぬ愛 (?) が、全米の注目を集めた。


ジュリアがどのような幼少を過ごしてきたのかはよくわからないが、わずか16歳で結婚し、家事や育児を行った。

殺害を計画したのはわずか21歳の時で、ふと、このまま私の人生は、夫に尽くし子供を育てて死んでいくのだろうか?とでも考えたのだろう。

自分はまだ若い、女盛りのこの時期に私は家庭に追われていると考え、虚しくなったのかもしれない。

ただ、もちろんそんな人生を選んだのはジュリア自身だし、離婚が面倒だから殺そうというのは、さすがに異常だ。

もしそういう理由だったのなら、ジュリアも初めに考えた離婚をすればいい話だ。


唯一の救いは未遂に終わった事だろう。

ただ、夫ジェイコブはジュリアの帰りを待っているので、出所してジェイコブの下に戻ったら、再びこのような事件が起きるかもしれない。


ジュリアが夫殺害を依頼した映像は、現在もネットで視聴可能なので、興味のある方は観てみるといい。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★☆☆
・特異性 ★★★★★★★☆☆☆
・殺人数 0人

《犯行期間:2013年4月10日》