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マイケル・X (トリニダード・トバゴ)
【1933~1974】



本名マイケル・アブドゥル・マリクは、1933年8月17日にトリニダード・トバゴで生まれた。

父親はポルトガル系の入植者で、母親は黒人女性であった。


マイケルはロンドンに行き、ノッティング・ヒル地区に住み、この地で結婚する。


やがてマフィアと関係を持ち、悪名高いピーター・ラッチマン一家と悪行を重ねた。


1960年代、マイケルはアメリカのブラック・パワー (黒人の力) 運動に魅せられる。

特にイスラムのブラック・パワーの指導者マルコム・Xに心奪われ心酔する。

そこでマイケルは、人種調整行動協会というものを自らの設立し、人種差別弾丸演説を行った。


マイケルは白人の男性と黒人の女性が一緒にいるところを見たら、すぐさま射殺すべきだと声高に語った。


これが原因で新しく制定された人種関係法で、1967年に逮捕され、1年の懲役刑を宣告された。


翌1968年に出所すると、今度は窃盗に手を出し、再び逮捕されてしまう。


翌1969年、マイケルは保釈中に逃亡し、更に翌1970年にはトリニダード・トバゴに姿を現す。

この地でマイケルは富裕層が住む住宅街に家を購入し (金の出所は不明) 、ここで裕福な人達と親しくなった。


そして、この地で革命的活動を始めた。

トリニダード・トバゴの多くの人が白人を憎んでいた為、このマイケルの活動に共感した人々がブラック・パワーの行進が何度も繰り返された。

しかし、その行進は警察により鎮圧され、マイケルは指導者としての地位が危うくなり、お金もなくなり、家の購入残金に追われてしまう。

そして、マイケルはお金欲しさに本格的に犯罪に手を染め、女性の売買、武器の密輸、強盗などを繰り返すようになる。


1972年2月8日、マイケルは警察襲撃の命令に従わなかった理髪師のジョセフ・スケリットという若者を処刑することに決める。

マイケルはジョセフに溝堀りの作業に加わるよう命じた。

ジョセフは作業中に仲間にナイフとカットラスで襲われ、最後の一撃はマイケル自らが行って殺害した。


死体は首と胴体がほとんど離れた状態で、溝に埋められた。


ゲイル・ベイソンという女性も消えた。


その少し後には、スティーブ・イエーツというもう1人の手下が、海水浴の途中で行方不明となる。


同年2月19日、マイケルは妻と4人の子供を連れ、トリニダード・トバゴを出る。


同日の夜、マイケルの家から出火し、家が全焼してしまう。

マイケルは弁護士を通し、家には誰も入れないよう手配するが、間に合わず、警察がマイケルの家の庭を掘り起こすと、スケリットの死体が発見される。


そして、ゲイルの死体も見つかる。

ゲイルの死体を検死すると、ゲイルは穴に落とされ、這い上がろうとした時にカットラスで喉を刺されていた。

そして、肺の中に土が検出された事から、生きたまま埋められ、窒息していたことが判明する。


マイケルと3人の手下が逮捕され、殺人で追及された。

マイケルには死刑が言い渡されるが、何度も上告した。


1974年11月、マイケルに絞首刑が執行された。

享年41歳であった。



∽ 総評 ∽

黒人差別という名目のもと、民衆から指示を得たマイケル。

ただ、マイケルの活動は、それほど黒人差別にしっかり取り組んでいる様子はなく、ただ単に人々から指示を得たかっただけのように思える。


こういった組織や宗教は、必ずと言っていいほど内部で反発や反抗等により、殺害が起こる。

それは何もマイケルだけにかぎった話ではない。

古今東西問わず、大体がそのようになっていくものなのである。


所詮、マイケルは宗教家としても人間としても小者の域を出ない。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★☆☆☆☆
・残虐度 ★★★★★☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★☆☆☆☆
・特異性 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
・殺人数 最低3人

《犯行期間:1972年2月8日》