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マイケル・ライアン (イギリス)
【1960~1987】




ライアンの父親アルフレッドは厳格者で、ライアンを厳しく躾だが、母親のドロシーは一人息子のライアンを溺愛した。

そんな母親は、ライアンの欲しがる物はなんでも買い与えた。


ライアン10歳の時、エアガンを買い与え、18歳の時には本物のショットガンを買い与えた。


学校での評判は良くなかった。

友達がわざわざ誘っても仲間に入ろうとせず、ただ遠くから眺めているだけであった。

ライアンはそんな根暗で内気な少年だった。

成績も悪く、いつも何を考えてるか解らない世にいう落ちこぼれだった。

隣人の1人は
「自分の世界に籠りがちでね。会話するだけでも、そりゃもう大変だった」
と語っている。


成人したライアンは、熱心に銃器やサバイバルグッズを集めるようになる。

また、ライアンは生粋の虚言癖で、

「以前、ガンショップを経営していた」

「自家用飛行機の操縦免許をやっと取れた」

「実は元パラシュート隊員なんだ」

「今度、知り合いの大佐からポルシェをもらうことになった」

などというものだった。


そして、勤務先である清掃会社の同僚たちが、ライアンのことを嘘つきだと警告した。

その事に怒りを覚えたライアンは、

「嘘つき呼ばわりするなら、全員撃ち殺してやる!」

と叫んだ。

普通ならそんな度胸もないくせにと思うものだが、ライアンが銃器が好きで持ち歩いていることを同僚たちは知っていた為、同僚たちは恐怖を覚えた。

同僚の1人は
「奴は本気でしたよ。怒りのあまりに歯ぎしりする音が聞こえたくらいですから」
と発言している。

畏怖した同僚たちが上司に
「ライアンはいつも銃器を所持している」
と告げ口し、その為にライアンは解雇されてしまった。


同僚たちには、

「大佐のおかげでもっと給料のいい仕事が見つかった」

と言って職場を去ったが、実際には良い仕事など見つかっていなかった。

そして、ライアンはセミオートマチック・ライフル2挺を購入する。


1987年8月19日、スーザン・ゴッドフリー (35歳) は2人の子供、ハンナ (4歳) とジェイムス (2歳) を連れてピクニックに出掛けた。

すると、ライアンが親子に近づいて来た。

4歳のハンナはその時の模様を後にこの供述している。
「男は銃を持っていました。ママと何かを話した後、私たちはママの車まで連れて行かれ、座席に座らされました。それからママと男は2人で森の中に入って行きました」
2人の間に何があったのかは判らないが、ライアンが銃で脅して強姦しようとしたのではないかと思われる。

スーザンは抵抗し、娘たちがいる車へと走った。

ライアンはその背後から銃弾を13発も撃ち込み、そして、ハンナたちをそのままにして自宅へと向った。


スーザンを殺害したライアンは、スタンドに立ち寄り、ガソリンを満タンにすると、銃で脅して代金を踏み倒し、逃走する。


自宅に戻って銃とサバイバルグッズを車に詰め込み、防弾ジャケットと黒のヘッドバンド姿に着替えた。

それはまるで映画『ランボー』のシルヴェスター・スタローンのような格好であった。


車に乗り発車するも、すぐにエンストになってしまい車が停止する。

腹を立てたライアンは車を銃撃し、ガソリンを自宅にぶちまけると火を放った。

そして、近隣住人を手当り次第に銃撃し始め、15人が死亡、負傷者15人という大惨事となった。

その死者の中にはライアンの母親であるドロシーも含まれていた。


やがて母校のジョン・オゴーント・スクールに侵入し、立て籠ったライアンは、自らの頭部を撃ち自殺する。


最後に死ぬ直前に交渉役の警官に釈明した言葉を掲載したいと思います。

「車のエンジンさえかかれば、こんなことにはならなかった」



∽ 総評 ∽

ライアンは典型的なスプリー・キラーであった。

ライアンは恋人どころか友達もいなく、これは瞬間大量殺人鬼に顕著にみられる傾向である。

取り柄は射撃がうまいことだけだったが、
「ガンマニアの割にはヘタだった」
と指摘する者もいる。

ライアンは最後、警察に車が動けばこんなことにはならなかったと言っているが、そんなことはなかったと思う。

確かに、車が動かない事にキレて周囲の銃撃を行ったが、銃を持ち出していることから、いずれ同じような事を行うのは明白だ。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★☆☆☆
・残虐度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・特異性 ★★★★★★☆☆☆☆
・殺人数 15人
(負傷者15人)
《犯行期間:1987年8月19日》