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ロバート・ディアス (アメリカ)
【1938~ 】



1938年、アメリカ・インディアナ州で13人兄弟の家庭に生まれた。


18歳の時、海兵隊に入るもすぐに脱走し、医者を目指し勉強するも、看護学校に入るのが精一杯だった。


ディアスは医者に対して強い憧れを抱いており、自ら「ドクター・ディアス」と名乗っていた。

その為、仲間から「ドクター」と呼ばれないと、腹を立て暴れていたが、実際は看護師であった。


また、自分は古代エジプトの王だったとか、11世紀のスペインの英雄ドリゴ・ディアスだったとか発言し、その妄想に拍車が掛かっていた。


夜間看護師として働くようになったディアスだが、夜勤の時に患者に注射することで、自分が医者になったと錯覚するようになる。

しかも投与する薬物は、リドカインという心臓病の薬で、この薬は強力な薬物であったが、ディアスは関係なく投与し続けた。


ディアスは容体の安定している患者に、

「この容体は一時的なもので、すぐに急変して亡くなる」

と予言し、その夜に患者にリドカインを注射し殺害する。

そして、自分の見立ては正しかったと自慢して回った。


ディアスは病院のモルヒネをくすね、自身もドラッグ中毒になっていた。


1981年4月、ロサンゼルスの検視官のもとに匿名の通報が入る。

ロス郊外ペリスのヴァレーズ・コミュニティ病院で、19名もの患者が謎の死を遂げているという。


早速、警察が調査に乗り出すと、2週間の間に少なくとも11名の患者が不審な死に方をしており、更に調査を進めると、別の病院でも1名が突然死しているという異常さであった。

計12名の患者 (年齢は52歳~95歳) が次々に亡くなったが、年齢的には決して若くなかったので、病院側は血液酸過多症であった。

しかし、どの患者も死亡時刻が同じなのが不思議であった。


捜査が進むと、集中治療室に関する極秘書類が盗まれていることがわかり、その容疑者としてディアスの名が浮上する。

ディアスの家を捜索すると、大量のモルヒネが発見され、病院で多くのリドカインがなくなっていることも判明する。


1981年11月、ディアスは逮捕され、12件の殺人で起訴された。


裁判でディアスは

「でっち上げだ」

と検察側を糾弾し、名誉毀損を理由に巨額の損害賠償を求める訴訟を起こす。

しかし、この訴訟は敗訴する。


1984年3月、殺人に対する裁判で、12件すべてで有罪となり、死刑判決を下された。

検察側は、
「彼は医師を演じながら、ひとえに自らの慰みと楽しみのために一連の殺人を犯したのだ」
と主張した。

しかし、ディアスはそのことを決して認めようとはしなかった。

ディアスは現在もなお死刑囚監房で再審を争っており、死刑は未だ執行されていない。



∽ 総評 ∽

看護師として患者を次々に殺害したディアス。

以前にも何人も紹介したが、医者や看護師といった医療従事者が殺人を犯す事は多々ある。

ただ、ディアスが特別なのは、殺人の快楽というよりも、医者に憧れ医者になったつもりで殺害したことだ。

医者への羨望が狂気へ導いてしまったのだが、そう言った理由で患者を殺す医療従事者は極めて稀である。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★☆☆☆☆
・残虐度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★☆☆☆
・特異性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・殺人数 最低12人以上

《犯行期間:1981年》