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ジョージ・ヘナード (アメリカ)
【1956~1991】



1956年10月15日、アメリカ・テキサス州ベルトンに、外科医の息子として生まれる。


外科医の子供として、何不自由なく育ったヘナードだったが、両親の離婚を期に、その性格がねじ曲がっていく。


そもそもヘナードは、日頃から高圧的な母親が嫌いで、友人に母親を殺したいと漏らすほどだった。


ヘナードの女性蔑視は、母親の影響が強く、母親のせいで女性が嫌いになったのは間違いない。


わざわざ説明する必要もないが、高圧的な女性は確かに存在するが、女性の中でも少ない方だと思う。

ヘナードはたまたま母親がそういう女性であっただけで、その点はヘナードにも同情の余地はある。


2枚目で筋骨逞しいヘナードは、仲間うちから「ジョー・ジョー」と呼ばれ親しまれていたが、

「世界の諸悪の根源は女だ!」

と公言して憚らず、強力な女性蔑視・女性嫌悪を抱いていた為、次第に仲間からも疎まれていく。


ヘナードは常日頃から

「アメリカ文明を衰退させているのはメス犬どもだ!」

と暴言を吐き、1991年には地元のFBIに出向いて、

「全世界の女を公民権侵害で訴える!」

と騒いだ事もあった。


ヘナードにとって女性とは『旧約聖書』で「アダムとイヴに知恵の実を食べさせて堕落させたヘビ」と同じであり、猛毒のマムシと一緒なのだ。


その証拠にヘナードは、近所に住んでいる顔見知りの女性2人に、

「男と女は果たして上手くやっていく事ができるのだろうか?そのうち、邪悪なマムシどもに思い知らせてやる日がくるだろう。女どもに俺の権利を踏みにじらせてばかりはさせない。このちんけなベルトンのメス・マムシどもを全滅させ、最後は俺様が勝利する!」

という内容の手紙を勝手に送ったこともあった。


1991年10月16日、誕生日の翌日、ヘナードは2丁の拳銃で武装すると、トラックに乗って30キロ離れたキリーンに出掛けた。

そして『ルビーズ・カフェテリア』という赤レンガのレストランに突っ込んだ。


昼時で、ただでさえ混んでる上に、10月16日はアメリカでは「ナショナル・ボス・デイ」なる日で、部下たちが上司を食事に招待するという特別な日であった。

この日もそうした会食が行われており、店内には200人以上の人でごった返していた。


ヘナードのトラックは窓ガラスが粉々になり、テーブルを吹き飛ばして停止した。

店内の客たちは、純粋なトラックによる追突事故だと思い、運転手のヘナードの安否を気遣ってトラックに近寄ったが、それが最悪だった。


運転席から現れたヘナードは、一番傍に寄って来た客をいきなり射殺。

そして、手当たり次第に銃を乱射。

「今日は報復の日だ!」

「こうなったのもみんなこの町が悪いんだ!」

「テキサスのメス犬ども思い知ったか!」

と、叫びながら銃を乱射し続けたと、生存者の1人は語る。


また、別の生存者は、
「彼は笑っていました。歯を剥き出しながら、まるで作り笑いをしているようでした」
と、当時の状況を生々しく語っている。


店内は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

ヘナードはまだ絶命していない犠牲者を見つけると、とどめの一撃を加えるほど非情であったが、子供を標的にはせず、4歳の女の子とその娘を連れた母親を逃がしている。


警官隊に包囲されても、ヘナードは殺戮を止めず、2発の銃弾を浴びると、ようやく銃撃を止めトイレに逃げ込んだ。


そして、ヘナードは自分の頭を撃ち自殺した。

享年35歳。

死者23人、重軽傷者22人の大惨事であった。



∽ 総評 ∽

このヘナードの事件は、1984年にマクドナルドを襲撃したジェイムス・ヒューバティの事件と、非常に酷似している。

共に混雑した飲食店を襲撃し、店内で銃を乱射して殺害した。

犠牲者の数もほぼ同じであったが、ヘナードとヒューバティの決定的違いは、ヒューバティは8ヶ月の乳児をはじめ、子供だろうが何だろうが容赦なく殺したのに対し、ヘナードは少女親子を逃がしている。

女性嫌悪のヘナードが、幼い少女を連れた女性は逃したのだ。

少女が今後、母親なしで生きていくのを憐れんだのだろう。

非情な中にも冷静さと哀れみの心を持っていたのだ。


この差は非常に大きい。

もちろん殺人自体は許される事ではないが、前述したヒューバティのように8ヶ月の乳児を殺した事に比べれば、ヘナードはまだ人間としての理性があったと思われる。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★☆☆☆
・残虐度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★☆☆☆☆
・特異性 ★★★★☆☆☆☆☆☆
・殺人数 23人
(負傷者22人)
《犯行期間:1991年10月16日》