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ローリー・ダン (アメリカ)
【1957~1988】



1957年、イリノイ州シカゴ近郊の町・グレンコーで生まれた。


少女時代は内気だったが、容姿端麗だったダンは魅力的で、高校時代はボーイフレンドが何人も出来るほどだった。


やがてアリゾナ大学に進学したダンは、医学部の学生と結婚を約束するほどの真剣な恋が始まる。


しかし、交際してから4年目に破局を迎える。


ダンがおかしくなり始めたのはそれからであった。


結局、大学を卒業出来ず、失意のうちにダンは実家に戻る。


2年後の1982年に、保険会社勤務の男性と結婚したが、この時、ダンは強迫神経症を患っており、酷い被害妄想に囚われていた。

精神科へ通院もしたが、良くならなかった。


そんなダンの結婚生活が長く続くはずもなく、夫は離婚を決意する。


ダンとの離婚調停が始まるが、遅々として進まない。

実はダンは別れたくないあまり、ありもしないDV被害を申し立て、調停を長引かせていたのである。

しかもその間、夫と親族にイタズラ電話を何度も掛けていた (証拠はない) 。


1986年、かつての恋人、現在は医師となった男性にダンは電話で、

「あなたの子供を妊娠したわ!」

と告げた。


すでに別れて5年の月日が流れてるというのに、ダンがかつての恋人の子供を妊娠するはずがない。

呆れた元恋人が電話を切ると、ダンは勤務先の病院に、

「私はあの男に緊急治療室で犯されました」

と申し立てた。

おそらく、よりを戻したかったのだろうが、そんな事されてよりを戻す男はまずいないだろう。


同年、ダンの夫が就寝中に何者かにアイスピックで胸を刺されるという事件が起こる。

夫は警察に

「おそらく別居中の妻の仕業だ」

と告げるが、証拠がないのでダンが逮捕されることはなかった。


1987年、離婚が正式に成立するが、その間、ダンは、

「夫にナイフで脅されて犯された」

「夫に実家を放火された」

など、警察に虚偽の申し立てを何度もおこなったという。


その後、ダンはベビーシッターのアルバイトで暇を潰していたが、ダンが派遣された先で苦情が殺到。

家具が壊されたり、食べ物が盗まれたり、全部ダンがやっていた。

その都度、ダンの父親が弁償した為、事件になることはなかった。


正直、子供を虐待されたり殺されたりしなかっただけ、まだましだったのかもしれない。


同年、ウィスコンシン大学の聴構生となり、現地の寮に引っ越すことになったのだが、ここでもトラブルが続出する。

寮の共用ソファーに生肉を置いたり、寮の郵便ポストにゴミを詰め込んだり、全裸で廊下を走ったりと、その奇行が次第にエスカレートしていく。


1988年3月、ダンは窃盗の容疑で逮捕される。

どうやらこの頃には、ダンはすでに将来の犯行の準備を考えていたと思われる。

その理由として、盗んだ物が変装用のウィッグだったからである。


しかも、図書館で毒物に関する本を盗み出し、主に砒素について学んだ。

また、拳銃を違法に沢山購入していたので、明らかに何か企んでいる様子であった。


窃盗に関してはまたもや父親が保釈金を払った為、何事もなく釈放となっている。


そして同年5月19日、まず手始めに砒素入りのシリアルやジュースを、別れた夫、元恋人の医師、知人たちの家に郵送する。

これらの郵送された食べ物は、非常に怪しかったので、幸い食べた者は誰もいなかった。


そして運命の5月20日、ダンはマグナムを含む拳銃3丁と、小型の爆弾、石油を積んだ車でベビーシッターを請け負ってる家庭に行き、なに食わぬ顔でいつも通り2人の子供を預かる。

子供たちを車に乗せると、地元の小学校に行った。


ダンは子供たちを車に置いて、爆弾を持って小学校に侵入する。

爆弾を爆発させるとダンは逃走。

爆発により火災が発生するも、大きな被害には至らず、負傷者は出なかった。


その後、2人の子供の家に戻ると、母親と子供2人を縛り上げ、地下室に閉じ込め放火し逃走。

3人はどうにか脱出して一命はとりとめた。


次にダンは先程とは違う小学校に向かい、拳銃を持って校内に侵入。

偶然通りがかった男子生徒を射殺。

ダンを目撃した生徒が非常ベルを鳴らし、その最中にダンは授業中の教室に入り、銃を乱射。

幸い死者は出なかったが、この発砲で5人の生徒が負傷した (意外かもしれないが、銃というのは適当に撃っていては命中率は相当低い。それなりの訓練を積まないとそう簡単に命中するものではない) 。


通報により警察が駆け付けたので、ダンは学校から逃走。

車で逃走するが、主要な道路を警察によって封鎖されてしまい、ダンは仕方なく車を捨て、近くの家に逃げ込む。


ダンは

「私はレイプされ、その相手を射殺して逃げている」

と自分の名前と立場を説明したが、その挙動が怪しかった為、夫人はダンを上手く言いくるめて警察に通報しようと外に出る。

その家の息子を銃で負傷させると、家の2階に立て籠った。

すでに家の周囲は警察に包囲されていた。


そして、警察が家の中に踏み込むと、すでにダンは銃を口にくわえ、自分の頭を吹っ飛ばし、自殺したあとだった。


結局、ダンによる被害は死者1名、負傷者6名であり、これだけの事を起こしたわりには被害者数は少ないような気がする。



∽ 総評 ∽

ダンがこれほどの凶行に走った理由は、はっきりいってよくわからない。

幼少時に虐待を受けたり、子供の頃は犯罪に手を出すようなこともなく、シリアルキラーにありがちな幼少を過ごしたわけでもない。


学生時代に4年間付き合った相手との破局からダンは明らかに変わったが、いくらショックだからといって殺人を犯すまで変貌するとは思えない。


男性の場合、衝動的にこのような凶行に出る事は多々あるが、ダンのような女性がこういった行動に出る事は極めて稀である。

ダンは謂わば究極のクレーマーで、その言動・行動は常軌を逸していた。

もし大学時代に付き合っていた男性と結婚していたなら、もっと別の人生を歩めたかもしれないが、ダンの場合、結局はその凶暴性が現れ始めたのではないだろうか。



【評価】※個人的見解
・衝撃度 ★★★★★★★★☆☆
・残虐度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
・異常性 ★★★★★★★★★★
・特異性 ★★★★★★★★☆☆
・殺人数 1人
(負傷者6人、他被害者多数)
《犯行期間:1988年5月20日》